テクノファがキャリアコンサルタント養成講座の展開を模索していた10数年前、既にキャリアコンサルタント養成講座は12機関もありました。しかし、当社の担当事務局に調べてもらうと必ずしもチャレンジできないことはない、まだ参入のチャンスはありそうだということでした。そうは言っても先行する各社さんが種々築いているノウハウは我々には窺い知れないものでしたので、社会に貢献できるのか正直戸惑いもありました。しかし、組織のマネジメントシステムの中心にいるのは人であり、その組織の多くの人は世の中の激しい変化に対応できずにいる現状をなんとかしたいとの「思い」は強いものでした。
テクノファはISOマネジメントシステムを中心に研修をやってきましたので、どちらかというと、人事労務範囲や管理系の部分には弱いものですから、まず講座を運営するには、専門家の力が絶対必要だと思いました。そしていろいろな人的チャンネルの中から元モービル石油人事部長であり、その後キャリアカウンセラー分野で功績のあった横山さんに巡り合いました。
しかし、当時、横山さんは厚生労働省のキャリアコンサルタント能力評価試験の判定委員をされており、利害相反の関係から協力はしていただけませんでした。しかし、ありがたいことに、まさしく「求めれば与えられる」を地に行ったかのように、今野さんという当時のキャリアカウンセラーの世界での新進気鋭の講師に巡り合えることができました。その頃、我々は新規コース(ISOマネジメントシステム)の開発を半年くらいで行っていましたので、今回も「半年で何とかならないでしょうか」と単刀直入に申し上げたところ、今野さんから「半年では無理。最低限1年はかかります」ということで、その後、今野さんにはテクノファの顧問になっていただきご協力いただくことになりました。 それから、毎月1回、今野顧問に参画いただいて、コース開発と能力評価試験の準備を行っていきましたが、厚生労働大臣認定キャリアコンサルタント養成講座実施機関の認定を受けるまでには、今野さんがおっしゃたようにちょうど1年かかりました。
ここからはテクノファの厚生労働大臣認定キャリアコンサルタント養成講座の考え方、特徴を述べていきたいと思います。
1.キャリアコンサルタントは、人のキャリアに関わるプロフェッショナルとして、「キャリア」とは何か、「カウンセリング」とは何かについての正しい認識と十分な専門知識を併せ持った人材でなければ、相談にくるクライアントの真のニーズに応えることはできないと考えます。
2.キャリアコンサルタントには非常に高いカウンセリングの専門性と適性、そして経験が求められますが、その第1歩としてのキャリアカウンセリングの技能を学んでいただきます。
3.テクノファのミッションは、「キャリア」と「カウンセリング」に関する正しい認識と十分な専門知識を併せ持ち、クライアントが能力開発と自立的意思決定ができるように支援する能力を有する「キャリアコンサルタント」を一人でも多く輩出することにあります。
4.コースの特徴は「内的キャリア※」に重点を置いている点です。肩書社会である日本におけるキャリア開発に必要な内的キャリアについての理解を深める講義、演習を特徴としています。
5.養成コースはインタラクティブ(双方向)な講義、ケーススタディー(事例研究)、ワークショップ(演習)といったアクティブ(参加型)なコースを通じて内的キャリア認識を深めるように設計されています。
6.養成コースの中で合宿形式のCDW(キャリア開発ワークショップ)を実施しています。CDWそのものがカウンセリングプロセスになっており、このプログラムの中で受講者には自己理解を深めていくプロセスを体験していただくことになっています。このプロセスを通じて自分を理解することが出来て、初めて他の人たちはどう考えているのだろうか、クライアントの心中はどのようなものかを客観視することができるようになります。
- 内的キャリアは人の心にある「やりがいなどの仕事の価値観」を意味する言葉、それに対して外的キャリアとは学歴、肩書、社会的地位などをいう。(平林良人)
(続く)