実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 53 | テクノファ

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平成28年にスタートしたキャリアコンサルタント国家試験制度は今年令和3年には約5万人の人が資格保有者となり、キャリアコンサルタント国家資格制度は10万人保有者登録に向けて順調に進んでいると評価できると思います。一方で、数が増えると質が落ちるというすべての世界に共通の現象がキャリアコンサルタント国家資格制度にも忍び寄っているのではないかと危惧します。

前回に続きキャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、既存のスーパーバイザー養成等の実態把握の、スーパーバイザー養成の考え方、養成方法の部分から記述します。

1.モデル実施
(1)モデル実施協力機関・スーパーバイザー・スーパーバイジーの選定
①モデル実施協力機関
選定条件を設定し対象機関を調整して選定。
②スーパーバイザー
1級キャリアコンサルティング技能士、団体認定スーパーバイザー等を要件とし、14 名(男女各7名)を選出した。
③スーパーバイジー
各モデル実施協力機関に所属するキャリアコンサルタントを原則として24名(男性 13名、女性11名)選出した。

(2)スーパービジョンのモデル実施
①実施概要:
期間 令和元年7月~9月
実施総数 41回
スーパーバイザー数 14名
スーパーバイジー数 24名
相談者数 37名
②実施パターン:
スーパービジョンモデル実施のバリエーションを想定し、クライアントが同一人物の場合、異なる場合、また実施回数での場合分けを行い、4パターンに分類した。
③実施形態:
スーパービジョンの実施形態は「個別」「グループ」等があるが、今回のモデル実施は全て「個別」 にて行われた。
④実施方法:
スーパービジョンの実施方法は「対面」や近年増加している 「Web会議システム」等があるが、今回のモデル実施は41回中、「対面」が39回(95%)、 Web会議システム」 が2回(5%)にて行われた。
⑤使用記録:
スーパービジョンにおいて使用される記録は「逐語記録」「ケース記録」等があるが、 今回は「逐語記録のみ」が17回(41%)と最も多く、次いで「ケース記録のみ」が14 回(34%)、「逐語及びケース記録」が5回(12%)等だったが、それらに加えて「組織、背景の説明資料」が使用されているケースが計3回(7%)あった。

2.アンケート・実施報告書の分析
(1)アンケート・実施報告書等の実施と様式
①キャリアコンサルテイングの効果に係るアンケート(相談者向け)
相談者を対象としたアンケートは、面談後にキャリアコンサルタントが直接アンケー ト用紙を手渡し、回答はスーパービジョン検討委員会事務局(以降、事務局)宛の返信用封筒にて回収した。
②スーパービジョンのモデル実施に係るアンケート(スーパーバイジー用)
スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)を対象としたアンケートは、スーパー ビジョン受講後、一回ごとに回答する形とし、パスワードで暗号化されたアンケートファイルを事務局宛にメール添付の形で一週間以内に送付することとした。
③スーパービジョンのモデル実施に係る実施報告書(スーパーバイザー用)
スーパーバイザーを対象とした実施報告書は、スーパービジョン実施後、一回ごとに回答する形とし、パスワードで暗号化された実施報告書ファイルを事務局宛にメール添付の形で、実施月の月末までに送付することとした。
④スーパーバイザーアンケート
スーパービジョンモデル実施後にスーパーバイザーに求められる水準を調査する目的で実施し、回答はパスワードで暗号化されたアンケートファイルを事務局宛にメール添付する形とした。
⑤スーパーバイザー追加アンケート
スーパーバイザーアンケート実施集計後、本委員会にて「組織領域に対応している」 と回答したスーパーバイザーに対し、カウンセリング中心のバックグラウンドからどのように組織領域へと対応を拡大したか確認のためのアンケート実施が決定し、追加で行った。回答はパスワードで暗号化されたアンケートファイルを事務局宛にメール添付する形とした。
⑥職務と学びの経歴書
本委員会にて指定のあった組織領域に対応している4名のスーパーバイザーに対し、今後のスーパーバイザー育成につなげるためのしっかりした経歴(キャリア、学び)の確認が必要と決定し、ヒアリング及びパスワードで暗号化された職務と学びの経歴書ファイルを事務局宛にメール添付で回答する形とした。
(つづく)木下 昭

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