テクノファで行っているキャリアコンサルタント養成講座は、民間教育訓練機関におけるサービスの質の向上のガイドラインである「ISO29990(非公式教育・訓練のための学習サービス- サービス事業者向け基本的要求事項)」のベースとなっているISO9001に沿って行われています。厚労省はISO29990を踏まえ、民間教育訓練機関が職業訓練サービス(キャリアコンサルタント養成講座)の質の向上を図るために取り組むべき事項を具体的に提示したガイドラインを発表しています。
以下、厚労省「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン(以下ガイドライン)」を紹介していきます。
(つづき)
4.4 記録及び文書管理
【指針】
民間教育訓練機関は、ガイドラインの適用及び遵守の状況を文書により記録するとともに、講師及びスタッフ(協力者を含む)による閲覧手順を確立し、文書管理に関する必要な事項を定めた規程等を作成する。
また、職業訓練サービス(キャリアコンサルタント養成講座)を利用する受講者及び受講者が所属する事業所等に関する様々な情報を記録するとともに、それらの情報の適切な管理を行う。
【指針の補足説明】
(1) このガイドラインの適用状況等を文書により記録し保存する手順を確立します。
※ 文書管理の手順は、過去の対応状況等を残しておくツールであるとともに、PDCAサイクルの構築の効果的な推進のためのツールとしても活用することできます。
(2) 記録及び管理している文書は、民間教育訓練機関の講師及びスタッフ(協力者を含む)が、いつでも閲覧できる手順を確立します。
(3) 文書管理に関する必要な事項を定めた規程等を作成しておきます。
(4) 3.1 職業訓練のニーズ等の明確化」、「3.3 職業訓練サービスの実施」、「3.4 職業訓練サービスのモニタリング」及び 「3.5 職業訓練サービスの評価」で入手又は取得した受講者及び受講者が所属する事業所等の情報は、個人情報の保護等に関する法令を遵守するとともに、保有個人情報を適切に管理し、個人の権利利益を保護します。
4.5 財務管理及びリスク管理
【指針】
民間教育訓練機関は、職業訓練サービス(キャリアコンサルタント養成講座)の提供に関連する事業の継続性を確実なものとするため、以下のことを実施し、文書により記録する。
・財務管理
① 職業訓練サービスに係る財務状態及び運営状況の透明性の確保
② 財務を管理するための仕組みの確立及び適切な運用
・リスク管理
リスクを管理するための仕組みの確立及び適切な運用
【指針の補足説明】
(1) 財務管理
① 職業訓練サービス(キャリアコンサルタント養成講)に係る財務状態及び運営状況を明らかにし、適正かつ効率的な業務を運営するため、民間教育訓練機関の会計規程等において、財務及び会計に関する基準並びに会計責任者の設置等の必要な事項を定めます。
② 会計責任者は、当該会計規程等に基づき、職業訓練サービスに係る財務及び会計に関する事務を適切に行うとともに、帳簿等に必要な事項を整然かつ明瞭に記録及び保存します。
(2) リスク管理
職業訓練サービスの提供が継続できなくなる主な原因(自然災害や事故又は犯罪の発生、インフルエンザ等の疾病の伝染等)を把握した上で、現状の対策について検証し、改善するための優先順位を割り振ります。
割り振られた優先順位にしたがって、各リスクに対応するための適切な改善方策を講じる手順を確立し、危機管理マニュアル等を定めます。
4.6 人事管理並びに人的及び物的資源の管理
4.6.1 人事管理並びに人的及び物的資源の選択、配分及び配置
【指針】
民間教育訓練機関は、受講者や事業所等のニーズ、その他多様なニーズにも配慮しながら、必要な講師及びスタッフ(協力者を含む)並びに職業訓練サービスの提供のための人的及び物的資源を選択、配分及び配置する手順を確立するとともに、当該人的及び物的資源の維持又は管理を行う。
【指針の補足説明】
1.講師やスタッフ等の配分及び配置については、個々のニーズや訓練効果も考慮し、適正な人的及び物的資源を配分するとともに、その手順に従って配置します。また、提供する職業訓練サービスによっては、受講者のニーズが多様化する場合もあるため、必要に応じて以下の例に配慮して配分及び配置します。
(多様なニーズの例)
① 言語に関するニーズ
② 文化に関するニーズ
③ 読み書き能力に関するニーズ
④ 家庭環境(母子家庭等)に関するニーズ
⑤ 障がいに関するニーズ 等
※ 関連事項として「3.1.1 ニーズ等の把握」の【指針の補足説明】の(4) を参照してください。
2.人事管理については、必要な講師やスタッフの役割と、その役割を担うための能力要件を明確にし、要件を満たす人材を確保し、より効果的な職業訓練サービスを提供できるよう、人材の採用を計画して実行するとともに、実態を評価して必要に応じて改善に努めるようにします。そのため、要件を満たす人材の確保、定期的な能力の測定、能力の開発等、職業訓練サービス(キャリアコンサルタント養成講座)の質を向上させるための人材の能力等の管理、人材育成の手順を確立します。
3.施設及び設備、機器等の配分及び配置については、上記(1)と同様に個々のニーズと訓練効果を考慮して配分及び配置します。このため、必要な施設、設備及び機器等の管理方法と効果的かつ効率的な運用を確立します。なお、設備及び機器については、労働安全衛生法等の安全衛生に関する法令に基づいて配分及び配置します。
4.また、利用者が直接使用する教材等についても個々のニーズと訓練効果を考慮することはもちろんですが、ほとんどの場合、受益者負担となる場合があり、教材のコストにも配慮した教材の作成方法、配布の基準を定めておきます。
(つづく)平林良人