実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 55 | テクノファ

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このコーナーは、テクノファキャリアコンサルタント養成講座を卒業され、現在日本全国各地で活躍しているキャリアコンサルタントの方からの近況や情報などを発信しています。今回はM.Iさんからの発信です。

「キャリア・カウンセリングの役目」
キャリアコンサルタントとして、求職者、企業の管理者、従業員の方々を対象にしたキャリア・カウンセリングを実施することが増えています。それぞれの方々の「仕事のこと」や「働くこと」についてお聴きする中で、キャリアコンサルタントとしての役割について色々考える場面があります。

また、職業訓練指導員講習【48時間講習】や導入レベルのキャリアコンサルティング講習で講師を担当する際にも、「相談」や「面談」について解説します。
先日も職業訓練指導員講習で「訓練生の心理」という章を担当した時、訓練生が抱える課題とキャリア発達理論について解説しました。その中で「エリクソンの心理社会的発達課題」についての部分があり、人が生きていく中での「危機」(転換点、分岐点)における肯定的な面と否定的な面との葛藤を取り上げました。

心理社会的発達課題の考え方は、人生を8つの発達段階(乳児期、幼児期初期、遊戯期、学童期、青年期、成人前期、成人期、老年期など)に分け、それぞれに発達課題(葛藤)があるとしています。人はその発達段階に応じた課題を解決していくことで「強さ」を獲得できます。「強さ」を獲得するには、葛藤を自分の力で克服することが重要であり、直面する発達課題に対して向き合い、成功と失敗の両方を体験し乗り越えていくことで次の発達課題への準備が整う、というものです。

もし自分の発達段階に応じた課題を解決していけないと、次の発達段階での成長に影響(ゆがみ)が生じるとしています。人は成長していくに従って、成長段階に相応しい様々な課題に直面し、悩んだり不安になったりする中で、自分の力で乗り越えていくことが大切である。その課題を避けたり、解決を先延ばしにすることは、その人の成長の妨げになる、ということなのではないかと思っています。

このような考え方を通してキャリア・カウンセリングを考えると、キャリアコンサルタントはクライエントの「葛藤」に焦点を当てて話を聴くことで明確にし、クライエントが自らの置かれた状況を整理できるよう支援する役割を持っているのではないでしょうか。
そしてキャリアコンサルタントが解決策を考え、アドバイスすることで解決に向かうより、クライエントが自分自身の葛藤・発達課題を理解し、成功や失敗を体験しながら乗り越えていくことで必要な強さを獲得できるようサポートすることが重要なのだと思います。

現在のように、社会の変化が激しい中では、自分の身に降りかかった課題や葛藤に対して、どのように向き合えばいいのか見失い、混乱する場面もあると思います。
一人で向き合うことを不安に感じたり、どうすればいいのか決断できない状況に陥ったりすることもあると思います。
キャリア・カウンセリングではキャリアコンサルタントの転換点に共に立ち、どちらの道を選択するのか、どちらに進んでいきたいのか、について対話を重ね、クライエントが自分で決め、その結果を引き受けることができるよう寄り添っていくものなのかもしれません。

そして、獲得した「強さ」を頼りに、自分の人生の次の課題に向き合っていけるよう支えていくことが大切なのではないかと思っています。

(つづく)M.I

-実践編・応用編

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