実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 58 | テクノファ

投稿日:2021年4月11日 更新日:

キャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、スーパービジョンのモデル実施及びアンケート・実施報告書の分析の部分の、分析結果から記述します。

(3)分析結果
ここでは、スーパービジョンのモデル実施に係る相談者・スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)・スーパーバイザーのアンケート、スーパーバイザーの実施報告書の分析結果を示すが、本事業のモデル実施が次の状況下において行われていることに留意する必要がある。
・スーパーバイザーとスーパーバイジーの関係性は、約8割がモデル実施のスーパービジョンにおいて初めて構築されたものであること。
・スーパービジョンは、モデル実施の実施期間の制約により、1回又は2回といった限られた回数により行われたものであること。
・モデル実施の中で行われたスーパービジョンであり、スーパーバイジー(キャリアコンサルタント)自身がスーパー ビジョンを受ける動機が必ずしも明確であったとは限らないこと。

①キャリアコンサルティングの効果に係るアンケート(相談者)の結果
①―1相談者の属性
相談者37名の属性は男性15名、女性22名で、年代別の構成は、20代14名、30代8名、40代11名、50代4名であった。

①―2相談内容
「今回の主な相談内容」6項目について〇をつけるよう回答を求めた(複数回答可能)。 相談者37名のうち13名は1回目と同じキャリアコンサルタントから2回目のキャリアコンサルティングを受けており、キャリアコンサルタントは1回目と2回目の面談の間にスーパービジョンを受けている。「主な相談内容」 について、1回目、2回目の相談回数別の特徴として挙げられるのは以下のとおりである。
・1回目、2回目ともに相談内容として一番多かったのは、[今後の生活設計、能力開発計画、キャリア・プラン等」であった。
・1回目の相談において「今後の生活設計、能力開発計画、キャリア・プラン等」は、全回答数の48%を占めていたが、2回目は43%と多少減少した。
・1回目の相談で「メンタルヘルスに関する事」は1件のみであったが、2回目の相談では4件(全回答数の19%)となっており、全項目のうち唯一増加している。

①―3キャリアコンサルテイングを受けての振り返り
「本日のキャリアコンサルティングに関し当てはまるもの」 について、いくつか項目を上げて項目ごとに「1:そう思わない、2:あまりそう思わない、3:どちらでもない、4:ややそう思う、5:そう思う」の5件法で回答を求め、平均値から1回目、2回目の相談回数別の特徴として挙げられるのは以下。
・1回目で最も高かったのは、自分自身の事や今までの行動を振り返ってみることができた」であり、2回目で最も高かったのは、話をしたことで気持ちが軽くなった」であった。
・ほとんどの項目で1回目より2回目の平均値が高かったが、[自分自身の事や今までの行動を振り返ってみることができた」だけは2回目の方が低かった。

①―4キャリアコンサルタントの印象とキャリアコンサルテイングの感想
A)「キャリアコンサルタントに対する印象」について、回答は、「1.話し難い、2.やや話し難い、3.やや話し易い、4.話し易い」の4件法で、平均値は1回目(3.92)、2回目(4.00)。
B)「キャリアコンサルティングを受けての感想」 について、回答は、「1.良くなかった、2.あまり良くなかった、3.やや良かった、4.良かった」の4件法で、1回目(3.85)、2回目(3.84)。
(つづく)木下 昭

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