基礎編・理論編

キャリアコンサルタント養成講座8 I テクノファ

投稿日:2020年4月6日 更新日:

- CDW(キャリア開発ワークショップ) -

テクノファの厚生労働大臣認定キャリアコンサルタント養成講座では、CDW(キャリア開発ワークショップ)という1泊2日の合宿を実施しています。CDWは”Career Development Workshop”の略ですが、CDWそのものがカウンセリングプロセスになっており、CDWの中で自己理解を深めていくプロセスを体験していただきます。このプロセスがきちんと確立されて、初めて、他の人たちはどう考えているのだろうかを客観視することができます。多様な考え方がある中で、自分のキャリア観を自己分析し、改めて自分の人生に思いを寄せて自分の仕事人生の位置づけをはっきりさせることができて、他人への視点が出てくるものだと思っています。

自分がカウンセリングするときには、どういった傾向があるのか、どういった思考で聴く癖があるのか、また返答する癖があるのか、そういった基本的なところを最初に学んでいただくことが重要であると思っています。キャリアコンサルタント自身が自分自身を見つめ、内的キャリアを自覚できてから他者理解ができることに繋がると思っています。CDWは、カウンセリング演習の時に得たいろいろな自覚を効果的に発揮させるのに大変役に立つように思います。

次のような感想が受講者の方から寄せられています。

・コースの最初にCDWを体験することで、その後の理論や講習の内容がよく理解できるようになったかと思います。CDWを通じて、自己理解できたことが、 一番の成果ではないかと思います。

・真剣にキャリアカウンセリングを受けられたことが良かったと思います。自己分析などは自分ひとりで行ったことがありますが、カウンセリングを受けてカウンセリングの力の凄さを感じることができました。いつか自分もキャリアコンサルタント として活動したいと思います。

・自分自身についての内的な深い気づきを経験し、それを踏まえて自らの仕事人生の設計を行い、同時に自分自身がキャリアカウンセリングを体験することにより、 実際のカウンセリングの場面でクライアントの内面に何が起こっているかを体験でき、キャリアコンサルタントとして何が重要であるかを知ることができました。

このように、CDWの評価は非常に高いですし、カウンセリングを実行する上で、不可欠なワークショップであるとテクノファでは位置付けています。

自己理解を深めるためのプロセスとして、なぜCDWがプログラムの中核に位置づけられているのか、キャリアコンサルタントとして、なぜCDWが必須なのか、受講者の方からの感想でご理解いただけるとありがたく思います。

渡辺三枝子先生に担当いただく「カウンセリング理論」では、実は受講生から、「意外だ」と言う意見が多かったと思います。意外だというのは、非常に実践的であったからだろうと思います。講義では、受講生の方々に事前に本を読んで来ることをお願いしていますが。『カウンセリング心理学』と『キャリアカウンセリング入門』を読んでいることを前提に演習が始まります。

渡辺先生は、開口一番「読んできて質問はありますか?」で講義を始めます。そして、出た質問をホワイトボードに書き込んでいって、それについてグループごとに議論をはじめます。渡辺先生は、それを見ながら、カウンセラーとしての態度をちゃんと判断していらっしゃるのですが、聴き方だとか話し方だとかをちゃんとみていますので、自分の気づかなかったことをアドバイスしてもらえます。その上で基本的にカウンセリングとしての態度というのはこういうものだとか、学問的にカウンセリング心理学と職業心理学の変遷については、今こういう風になっている、などのついてのお話になります。

また、講座では、実務の話が非常に多いのが特徴です。キャリアカウンセリングの実務経験を非常に多くお持ちの先生なので、いろんな質問があったときに、自分はこういう風に判断しましたとか、自分としてはこう考えます、とかをご自分のキャリア観に基づいて単刀直入におっしゃられます。そうすると質問者は具体的にはこういう回答方法があるのか、ということを身もって理解することができます。双方向ならではの講義スタイルが他の方と異なる点だと思います。渡辺先生だからできることだと思いますが、それは、単なるカウンセリング心理学の講義だけではない、まさにカウンセリング実務をやってこられた先生だからこそだと思っています。(平林良人)

(続く)

-基礎編・理論編

執筆者:

関連記事

キャリアの広義の概念 | テクノファ

キャリアコンサルタントが知っていると良いと思われる「キャリア開発と統合的ライフ・プラニング」を紹介します。本記事はサニー・S・ハンセンの著作「Integrative Life Planning」を横山先生と他の先生方が翻訳されたものです。横山先生の翻訳を紹介しながら、彼の思想の系譜を探索したいと思います。 <ここより翻訳:サニー・s・ハンセン著> ●キャリアの広義の概念 20世紀初めの職業ガイダンスの始まりを特徴づける古いマッチング・モデルは、今でも職業斡旋担当者やキャリアの専門家によって広く用いられているが、それは、われわれが生活する脱工業化社会にとっては、もはや不十分であり、問題のすべてを …

キャリアコンサルタント養成講座 36 | テクノファ

テクノファで行っているキャリアコンサルタント養成講座は、民間教育訓練機関におけるサービスの質の向上のガイドラインである「ISO29990(非公式教育・訓練のための学習サービス- サービス事業者向け基本的要求事項)」のベースであるISO9001に沿って行われています。厚労省はISO29990を踏まえ、民間教育訓練機関が職業訓練サービスの質の向上を図るために取り組むべき事項を具体的に提示したガイドラインを発表しています。 以下、厚労省「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン(以下ガイドライン)」を紹介していきます。 厚労省のガイドラインは次の取り組みを目指す民間教育訓練機関を対象とし …

キャリアコンサルタント養成講座 49 | テクノファ

テクノファで行っているキャリアコンサルタント養成講座は、民間教育訓練機関におけるサービスの質の向上のガイドラインである「ISO29990(非公式教育・訓練のための学習サービス- サービス事業者向け基本的要求事項)」のベースとなっているISO9001に沿って行われています。厚労省はISO29990を踏まえ、民間教育訓練機関が職業訓練サービスの質の向上を図るために取り組むべき事項を具体的に提示したガイドラインを発表しています。 以下、厚労省「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン(以下ガイドライン)」を紹介していきます。 (つづき) 第4章 民間教育訓練機関のマネジメント 本章では、 …

ジェンダーの役割 | キャリコン養成講座236 テクノファ

横山哲夫先生が翻訳したキャリアコンサルタントが知っていると良いと思われる「キャリア開発と統合的ライフ・プラニング」を紹介します。本記事はサニー・S・ハンセンの著作「Integrative Life Planning」を横山先生と他の先生方が翻訳されたものです。 ■ジェンダーの役割 全体性とILP(Integrative Life Planning)キルトにとっての1つの重要な観点が、私が自己充足と結びつき(self-suffciency and connectedness)と呼ぶものである。私は、女性と男性の関係が支配/従属の関係から平等なパートナーシップの関係へと変わっていくにつれて、そして …

キャリアコンサルタント養成講座 53 | テクノファ

テクノファで行っているキャリアコンサルタント養成講座は、民間教育訓練機関におけるサービスの質の向上のガイドラインである「ISO29990(非公式教育・訓練のための学習サービス- サービス事業者向け基本的要求事項)」のベースとなっているISO9001に沿って行われています。厚労省はISO29990を踏まえ、民間教育訓練機関が職業訓練サービス(キャリアコンサルタント養成講座)の質の向上を図るために取り組むべき事項を具体的に提示したガイドラインを発表しています。 以下、厚労省「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン(以下ガイドライン)」を紹介していきます。 4.7.2 内部監査 【指針 …