生活保護受給者および生活困窮者への「就労支援」について
今回は「地方自治体やハローワーク」で行われている「生活保護受給者むけ就労支援」と「生活困窮者むけ就労支援」ついてご紹介したい、と思います。現在、我が国では様々な理由から生活保護を受けている人が200万人以上いるといわれ、その年代も60歳台が最も多く、次いで70歳台、50歳台が多くなっていて単身者が非常に多いのも特徴とされています。同様に、生活保護受給に至る前の段階の生活困窮者の数ははるかに多く具体的数は把握が困難の為か推定であっても公表されていないようです。こうした生活保護受給者、生活困窮者にはそれぞれに自立に向けた支援法が制定され、就労支援については地方自治体とハローワークが連携して就労相談を始めとして、就労支援メニューを各種準備して実施しております。
筆者の所属するNPO法人では某市役所から「生活保護受給者むけ就労支援相談」の委託を受けて毎週2日 キャリアコンサルタントが市役所の社会福祉課に出向き、相談室で生活保護受給者に対して就労相談を行っております。社会福祉課では多くの職員(ケースワーカーと呼ばれている)が生活保護受給者との様々な対応に当っておりますが、就労意欲が失われない前の段階で就労相談員(キャリアコンサルタント)につないでいだだき、就労意欲の喚起、自立の助長を図っていて、1日に2~3名の相談者が来所されています。平均1時間弱の時間内で 相談が行われておりますが、主たる内容は個別カウンセリングによる(1)相談に来所した方の実情など把握(2)就労意欲の喚起、維持、求職活動の支援策を策定(3)履歴書の書き方、職務経歴書作成や面接の受け方などのアドバイス(4)ハローワークへ同行し、求人検索や求人票の見方をアドバイス(5)就職情報の収集と支援対象者への提供(6)場合によっては社会福祉課職員と同行にて保護受給者宅への訪問等、多岐に及んでおります。
特に、生活保護を受ける段階から半年以上経過すると、就労意欲の減退が見られるようになり、少しでも早い時期に受給者の実情把握と対話によって、就労意欲喚起が重要であり、キャリアコンサルタントの力量発揮の場、ともなります。
こうした支援は「生活困窮者への就労支援」も同様で、各自治体ではその支援業務を委託方式で行う場合や自治体がHP、ハローワークの求人、市の広報などで相談員を個々に募集する方法など行っているようですので、関心のある方はそうした情報収集をお勧めいたします。特に、生活困窮者への支援は「自立支援」「住居確保支援」「就労準備・訓練」「家計相談」「子どもの学習支援」と非常に多岐に亘っており、キャリアコンサルタント以外にも様々な資格、スキルをもった専門家が従事しております。
キャリアコンサルタント 村松正敏
<事務局より>
生活保護制度とは
資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。(支給される保護費は、地域や世帯の状況によって異なります。)
相談・申請窓口
生活保護の相談・申請窓口は、現在お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当です。福祉事務所は、市(区)部では市(区)が、町村部では都道府県が設置しています。
(注)福祉事務所を設置していない町村にお住まいの方は、町村役場でも申請の手続を行うことができます。
(注)一部、福祉事務所を設置している町村もあります。
生活保護を受けるための要件及び生活保護の内容
生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。
資産の活用とは
預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充ててください。
能力の活用とは
働くことが可能な方は、その能力に応じて働いてください。
あらゆるものの活用とは
年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用してください。
扶養義務者の扶養とは
親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受けてください。
そのうえで、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、保護が適用されます。