これまで説明してきた、多様で柔軟な働き方を推進する制度・施策、サポート環境の整備に伴い、人々の働き方、生活はいままでにも増して多様化し、キャリアコンサルタントの活動の場が広がると同時に、多様化する課題に対する実践力等の資質向上が求められています。
厚生労働省では、令和3年6月に「働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書」を公表し、キャリアコンサルティングの普及促進とそれを支えるキャリアコンサルタントの実践力等の資質向上などについて提言を行っています。その内容を構成労働省資料から説明します。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19202.html
報告書では、キャリアコンサルティングのさらなる普及を進める観点から、産業界・企業への働きかけの施策と労働者への働きかけの施策を紹介しています。併せて、的確なキャリア支援を行うためにキャリアコンサルタントが習得すべき事項を提言し、そこで必要な施策、政策課題を整理しています。
厚生労働省は、この報告書を踏まえ、キャリアコンサルタント登録制度や関連施策の運用改善などを行い、キャリアコンサルティングの普及促進を図るとともに、キャリアコンサルタントの養成や資質の向上に努め、労働者や企業が行うキャリア形成の取り組みを一層推進していきます。
【報告書のポイント】
1 「働く」を取り巻く環境の変化
・職業人生の長期化や働き方の多様化、デジタルトランスフォーメーション(DXの進展などに加え、新型コロナウイルス感染症の影響で、雇用の不透明さが増すなど、「働く」を取り巻く環境が大きく変化している。
・キャリアコンサルタントは、労使双方が抱くキャリア観の変化などを捉え、“働くことについての相談相手”として、質の高いキャリアコンサルティングを通じての専門性発揮が期待される。
2 キャリアコンサルティングのさらなる普及のための施策
・産業界・企業に対する働きかけとして、セルフ・キャリアドックのさらなる推進、企業におけるキャリアコンサルタントの配置の促進、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティング推進など。
・労働者に対する働きかけとして、キャリア形成サポートセンターの事業推進、ジョブ・カード の活用促進(デジタル化による利便性向上)、 キャリアコンサルティングの体験機会の提供など。
3 キャリアコンサルタントに求められるものと必要な施策
[キャリア支援の専門職としてキャリアコンサルタントが習得すべきこと]
(1)専門性を深化させ、実践力を向上させる
(2)多様な働き方や年齢階層などに応じたキャリア支援に精通する
(3)企業内の課題解決に向けた提案力を発揮する
(4)外部専門家との連携や外部資源を活用する
(5)就職マッチングやリテンション(職場定着など)を意識するなど。
[国に求められる施策]
国は、セルフ・キャリアドックの推進、キャリア形成サポートセンター事業の推進などに加えて、キャリアコンサルタントの学びの手段として、政策課題に対応した動画教材の提供や、外部専門家との連携強化、スーパービジョンについての啓発的周知などに取り組んでいく。
(つづく)A.K