実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 96 | テクノファ

投稿日:2021年8月13日 更新日:

キャリアコンサルタントが、個人あるいは個人を取り巻くもの(企業、就職支援機関、教育能力開発機関、地域、家族など)に対してキャリアコンサルティングを実施するには、キャリアコンサルテイングを受ける人が必要としている支援を提供する制度・施策や、支援を必要とする人、支援する側の立場の人・組織に必要な関係情報を周知するためのインターネットサイトの存在を熟知していることが求められており、それらの情報を活用して人々のキャリア形成における課題に応じた効果的なキャリアコンサルティングを提供するためのキャリアコンサルティング技法が用意されています。

キャリアコンサルタントが、個人や個人を取り巻く環境に対して適切なキャリアコンサルティングを行うには、前述したように制度・施策、関連情報などについて熟知している必要がありますが、それらについて常に最新で正確な情報を用いることにより適切で信頼を得ることができるキャリアコンサルティングができます。

キャリアコンサルタントは上記のようなキャリアコンサルティングに直接かかわる制度・施策、制度・施策を利用するためのサポート情報の他にも、キャリアコンサルティングに係ると思われる社会・経済動向に関して、常に最新の情報に基づいてキャリアコンサルティングをする必要があります。

いままでに実施された国家資格キャリアコンサルタント試験においても、社会経済動向に係る資料から設問、出題されていることからみてもその重要性が分かります。

次に社会経済動向に係る資料から、過去キャリアコンサルタント試験に出題されたものも含めて、白書、調査、分析などの資料について説明します。

・能力開発基本調査
厚生労働省が平成13年度から毎年実施しているもので、我が国の企業、事業所及び労働者の能力開発の実態を明らかにし、人材開発行政に資することを目的としています。
調査結果は
(1)職業能力開発促進法の改正や能力開発基本計画の策定に当たっての基礎資料
(2)各種白書、制度改正等の基礎資料
などに幅広く活用されていますが、その一部として次のようなものがあります。

政府の数値目標として活用
政府が達成していくべき目標の一つが、本調査の調査結果から定められています。具体的には、仕事と生活の調和が実現した社会を目指すために定められた「仕事と生活の調和推進のための行動指針」において、2020年までに自己啓発を行っている労働者の割合を正社員で70%以上に、正社員以外で50%以上にしていくことが目標の一つとして定められています。

また、男女共同参画社会の実現のために定められた「第4次男女共同参画基本計画」において、男女共同参画社会の形成の状況を把握する上で重要となる参考指標として用いられています。
(つづく)A.K

-実践編・応用編

執筆者:

関連記事

キャリアコンサルタント実践の要領 95 | テクノファ

このコーナーは、テクノファのキャリコンサルタント養成講座を卒業しキャリコンサルタントとして活躍している「キャリコンサルタント」からの近況や情報などを発信いたします。今回はS.Sさんからの発信です。 「人生の午後」~ 再構築に向けて ~ 今年も半分が過ぎてしまった。なんというか・・時間の感覚がおかしい。 「あはは、もう50歳になってしまったねえ・・どうすんだよ」と同年齢の友人と笑っていたのが昨日のことのようだが、いつの間に10年近い歳月が流れてしまっている。なんと早いことか・・どうやら、年齢を重ねるほどに時間感覚がどんどん短くなってゆくものらしい。 小学校の6年間は、とっても長かった。 中学の3 …

厚生労働分野の国際貢献|キャリコン実践の要領41テクノファ

キャリアコンサルタントが知っていると参考となる情報をお伝えします。 ■国際社会への貢献 近年、厚生労働行政の多くの分野で、国際社会での動きと国内政策が連動するようになってきている。例えば、新型コロナウイルス感染症の世界的流行のように、感染症は国境を越えて世界の社会経済に大きな影響を与えるほか、高齢化の進行や生活習慣病の増加は、世界保健機関(World Health Organization:WHO)の総会やG7、G20サミット等でも取り上げられる大きな課題となっている。また、世界的なサプライチェーンの拡大が進み、加えて新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの国で失業者の増加や賃金の減少など …

IT産業の労働状況|キャリコン実践の要領52テクノファ

キャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。 ■IT産業の労災支給決定(認定)事案の分析及び労働・社会分野の調査 (労災支給決定(認定)事案の分析結果) 令和3(2021)年度は、「過労死等防止対策推進法(平成26年法律第100号)及び過労死等の防止のための対策に関する大綱(以下「大綱」という。)」の重点業種等のひとつであるIT産業を含む情報通信業(日本標準産業分類の大分類)における過労死等事案について分析を行った。 平成22(2010)年4月から平成31(2019)年3月までに過労死等の労災支給決定(認定)された事案の推移をみると、脳・心臓疾患事案は平成24(2012)年度の1 …

no image

自己観察の重要性について|テクノファ

テクノファは、あなた自身が輝いて働く(生きる)ためのトレーニング・講座をご提供しています。何よりも、自分の人生を自分で計画し切り開いていく、そのための自分自身が、何になりたいのか? そもそも自分は何者なのか? どうやったらなりたいものになれるのか。一つ一つを明確にすることで、地面が揺らいだときにも、急に会社の方針が変わったとしても、しっかりと地面をつかむことができ、自分の働き方をつかむことができるのです。常に成長し変化している人の成長を支援することがキャリア開発支援です。 キャリアのカウンセリング・コンサルティング・ガイダンスや、キャリア教育、人材育成など、人の成長にかかわっている方々や、部下 …

個人と企業との相互作用による互いの成長

◆このコーナーは、活躍している「キャリアコンサルタント」からの近況や 情報などを発信いたします。今回はキャリアコンサルタントS.Sさんです。◆ これからの企業は、個人と企業との同期的かつ相互作用的な成長を目指すことが求められる。 中学校や高等学校、大学の相談室におけるカウンセリング、そして、この8年間に小中学校でソーシャルワークをしてきた僕は、これまで数千件もの不適応の学生や生徒に関わってきた。 それらの経験から思うに、どうやら不登校や問題行動を起こす子らの背景に在るのは自尊感情の低さであり、自己肯定感の欠如であることは間違いなさそうである。 また、そんな彼らに対して「ヤル気を出せ!」とか、「 …