キャリアコンサルタントが、個人あるいは個人を取り巻くもの(企業、就職支援機関、教育能力開発機関、地域、家族など)に対してキャリアコンサルティングを実施するには、キャリアコンサルテイングを受ける人が必要としている支援を提供する制度・施策や、支援を必要とする人、支援する側の立場の人・組織に必要な関係情報を周知するためのインターネットサイトの存在を熟知していることが求められており、それらの情報を活用して人々のキャリア形成における課題に応じた効果的なキャリアコンサルティングを提供するためのキャリアコンサルティング技法が用意されています。
キャリアコンサルタントが、個人や個人を取り巻く環境に対して適切なキャリアコンサルティングを行うには、前述したように制度・施策、関連情報などについて熟知している必要がありますが、それらについて常に最新で正確な情報を用いることにより適切で信頼を得ることができるキャリアコンサルティングができます。
キャリアコンサルタントは上記のようなキャリアコンサルティングに直接かかわる制度・施策、制度・施策を利用するためのサポート情報の他にも、キャリアコンサルティングに係ると思われる社会・経済動向に関して、常に最新の情報に基づいてキャリアコンサルティングをする必要があります。
いままでに実施された国家資格キャリアコンサルタント試験においても、社会経済動向に係る資料から設問、出題されていることからみてもその重要性が分かります。
次に社会経済動向に係る資料から、過去キャリアコンサルタント試験に出題されたものも含めて、白書、調査、分析などの資料について説明します。
・能力開発基本調査
厚生労働省が平成13年度から毎年実施しているもので、我が国の企業、事業所及び労働者の能力開発の実態を明らかにし、人材開発行政に資することを目的としています。
調査結果は
(1)職業能力開発促進法の改正や能力開発基本計画の策定に当たっての基礎資料
(2)各種白書、制度改正等の基礎資料
などに幅広く活用されていますが、その一部として次のようなものがあります。
政府の数値目標として活用
政府が達成していくべき目標の一つが、本調査の調査結果から定められています。具体的には、仕事と生活の調和が実現した社会を目指すために定められた「仕事と生活の調和推進のための行動指針」において、2020年までに自己啓発を行っている労働者の割合を正社員で70%以上に、正社員以外で50%以上にしていくことが目標の一つとして定められています。
また、男女共同参画社会の実現のために定められた「第4次男女共同参画基本計画」において、男女共同参画社会の形成の状況を把握する上で重要となる参考指標として用いられています。
(つづく)A.K