キャリアコンサルタントが、個人あるいは個人を取り巻くもの(企業、就職支援機関、教育能力開発機関、地域、家族など)に対して適切なキャリアコンサルティングを行うには、キャリアコンサルティングに係る制度・施策、関連情報などについて最新で正確な情報を有していることが求められていますが、キャリアコンサルタントに直接係りがある制度・施策や、制度・施策を利用するためのサポート情報の他にも、キャリアコンサルタントに係りがあると思われる社会経済動向に関して、常に最新の情報を取り込むようにして、適切なキャリアコンサルティングを実施することが求められています。
今回は前回に引き続いて、キャリアコンサルタントに係ると思われる社会経済動向に関する情報として前回説明した能力開発基本調査の続きの部分から説明します。
白書等における活用
ものづくり白書や労働経済白書等において、この調査の調査結果を元に分析が行われています。
平成 28 年度から平成 32 年度までの5年間の職業能力開発行政の方向性を示す計画である、「第10次職業能力開発基本計画」の策定に当たって、本調査結果を踏まえて、労働者の自己啓発における課題が挙げられていますが、そこでは、キャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングの活用、キャリアコンサルタントの継続的な質の保証などについて示しています。
令和2年度能力開発基本調査:結果の概要資料は厚生労働省のホームページ上にアップされています。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/104-02b.pdf
・労働経済の分析(労働経済白書)
厚生労働省による労働経済白書は、一般経済や雇用、労働時間などの現状や課題について、統計データを活用して分析する報告書で年次ごとに課題を決めて分析しています。7月に公表された令和3年版で72回目の公表となります。
労働経済白書について厚生労働省の資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/20/20-1.htmlより説明します。
最新の令和3年版厚生労働白書のテーマは「新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響」です。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2020年には「宿泊業, 飲食サービス業」などの産業で雇用者数が減少に転じ、一方休業者数や非労働力人口が増加しました。
同時に、医療、福祉、生活必需品の小売など、感染症の拡大下でも業務継続が求められる分野では、働く環境に関する新たな課題が出てきています。さらに、緊急事態宣言により、多くの人がテレワークを行うようになり、新しい働き方として広まりましたが、それに伴う課題も出てきています。
このような経験を踏まえて、危機下において働く人たちの雇用や生活を守り、誰もが意欲をもって働き続けられる環境整備に向けて、今回の「労働経済白書」では、新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響について、さまざまな観点から分析を行っています。
(つづく)A.K