実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 99 | テクノファ

投稿日:2021年8月16日 更新日:

キャリアコンサルタントが、個人あるいは個人を取り巻くもの(企業、就職支援機関、教育能力開発機関、地域、家族など)に対して適切なキャリアコンサルティングを行うには、キャリアコンサルタントに係る制度・施策、関連する情報などについて最新で正確な情報を有していることが求められていますが、キャリアコンサルタントに直接かかわる制度・施策に関する情報や、制度・施策を利用するためのサポート情報の他にも、キャリアコンサルタントに係ると思われる社会経済動向に関して、常に最新の情報を基にキャリアコンサルティングをすることが求められています。今回は前回に続き社会経済動向に関する情報として男女共同参画白書について説明します。

・男女共同参画白書
男女共同参画白書は、男女共同参画社会基本法に基づき内閣府男女共同参画局が作成している年次報告書(毎年国会に提出を義務づけられた法廷白書)で平成13年版から作成されています。

男女共同参画社会の形成の状況及び政府が講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての報告、この報告に係る男女共同参画社会の形成の状況を考慮して講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出するものです。

男女共同参画白書令和2年版資料は、男女共同参画局のホームページ上にアップされています。
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r02/zentai/index.html

・職業能力開発基本計画
職業能力開発基本計画は、職業能力開発促進法に基づき、職業訓練及び職業能力検定その他職業能力開発に係る基本的な方針について、厚生労働大臣が策定する計画です。
キャリア形成支援のためのキャリアコンサルティングに関する指針も第10次職業能力開発基本計画の中で、労働者の主体的なキャリア形成の推進のために、国家資格化されたキャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングを活用することが示され、令和3年度から令和7年度までの「第11次職業能力開発基本計画」にも労働者の自律的・主体的なキャリア形成の推進のためにキャリア・コンサルティングの活用を一層進めて行くことの重要性が示され、その際、専門的な相談支援を担うキャリアコンサルタントについて、技能検定、キャリアコンサルティング能力評価試験等による能力評価やスキルアップのための講習等による能力向上のシステムの整備等を通じ、人材の確保、質の向上を図る必要性が示されています。

最新の第11次職業能力開発基本計画の資料が厚生労働省のホームページ上にアップされています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17632.html
(つづく)A.K

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