実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 105 | テクノファ

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キャリアコンサルティングの社会的意義
キャリアコンサルティングを学ぶ前提

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを学ぼうとするとき、日本の産業社会においてはキャリアという言葉も概念も、つい最近まで正しく存在していなかったという点をふまえておかなければならない。キャリアコンサルティングはキャリア開発の支援活動であり、キャリア開発のためのコンサルティングであるが、キャリアコンサルティングを学ぶということは単にキャリアコンサルティングを技法としてとらえるのではなく、キャリアコンサルタントが果たさなければならない役割など、キャリアコンサルティングの前提や背景、あるいは周辺についても正しく理解しておかなければならない。

以上のような点を踏まえながら、キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを学ぶということはどういうことかについて概論的に述べる。

2.トップであることの意味
ところで、後から追いかけていた者が自分を追い越してしまった場合、追い越された者は追い越した者に対してその後も寛容な態度を続けるであろうか。答えは“否”である。

日本が瞬間ではあったが世界のトップになったときから、それまでと同じように欧米に期待することができなくなった。欧米は従来どおり日本の期待には応えなくなったのである。したがって、日本は自分で何とかしなければならなくなった。何も無いところに何かを創り出すという本当の創造性(creativity)を求められることになったのである。

しかし、残念ながら日本は「追いつき追い越せ」に懸命になったが故に、同じであることを重視し、見事な「金太郎アメ」は育てたが、個性や創造性あるいは異質性を排除し育てなかった。そのために、ナンバーワンになったとたんに成長が止まってしまった。これが失われた10年を招いた大きな要因でもあろう。

これは、これからの日本が真の個性、創造性を追求し育まなければならないことを意味している。ところが、日本企業の多くはトップになった後もそれ以前の経営感覚のままである。特にヒューマン・サイドに関してはその傾向が顕著である。日本が世界のトップになった後のことを想定していた経営者がどれだけいたであろうか。トップであるということは、自分がモデルであるということである。また、トップがトップであり続けるということはどういうことかを認識していた経営者はごく少数であり、その企業はバブル崩壊後も世界のトップの座を堅持し続けている。しかし、残念ながらそのような企業はごく少数に過ぎない。しかも、そのような企業は、これまで特別視されてきたのが実情であろう。もし、いわゆる日本的経営が普遍的に有効なものであるならば、日本はトップであり続けられたはずである。

トップであり続けるためには、真の意味での創造性が絶えず求められる。真の創造とは、ゼロから何かを生み出すことである。そして、創造性の源は個性であり、個性とは一人ひとりの違いである。日本企業の場合、個性重視と言いながらも本当に一人ひとりに目を向けてきたのであろうか。個性を重視するということは個を重視するということである。本当に個が重視されてきたであろうか。逆に、多様性や異質性は無視され否定され、平等と同質性、等質性だけが大切にされてきたのが実態であろう。それが証拠に、新卒者に求めたのは金太郎アメになることであった。無色透明であることが求められ、特色のある者は排除された。会社が思い通りの色に染め上げてきた。その結果、言われたことは忠実に実行するが自分で考えて行動する者がいなくなったのである。
(つづく)平林

-実践編・応用編

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