キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う上で係りのある働きかた改革を推進する多様で柔軟な働きかたをかなえる制度・施策が整備されてきていること、 その制度施策に基づく具体的な支援情報を、支援を必要としている人や支援する側の立場の人・組織に周知するサイトがあること、働きかた改革を推進するためには働く人のキャリア形成支援も重要であることから、キャリア形成支援におけるキャリアコンサルティングの役割が重視され、キャリアコンサルティングの質の向上や、キャリアコンサルタントの能力向上が図られていることなど、今まで主として働きかた改革に関連した事項を中心に説明してきました。
今回からは、キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、説明します。今回はジョブ・カード制度について、前回の続きから説明します。
■在職労働者の方等がジョブ・カードを活用する主なメリット
1 キャリア・プランニングでの活用
生涯を通じたキャリア・プランニングのためのツールとして、個人の履歴や、キャリアコンサルティング等の支援を通じた職業経験の棚卸し、キャリア・プラン(職業生活設計)等の情報を、ジョブ・カードに蓄積するとともに、その後のキャリアコンサルティング等の際には、蓄積した過去の情報を抽出し活用できます。
2 在職労働者の実務能力の証明
訓練の受講者のみならず、在職労働者の実務経験を通じ発揮される職業能力を企業がジョブ・カードを活用して評価することによって、労働者自身のキャリア形成の促進、職業能力の見える化の促進が期待できます。
3 専門実践教育訓練における活用
中長期的なキャリア形成支援を目的に拡充された教育訓練給付の対象となる専門実践教育訓練においては、受講前にジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを受けることにより、その訓練の受講をその後の職務に活かすことができます。
4 教育訓練における活用
教育訓練受講前、受講中、受講後にジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを実施することで、訓練受講の必要性の明確化、職業意識の向上、訓練効果の向上、円滑な就職の促進が期待されます。また、教育訓練実施機関が訓練の成果を評価し、その成果を記載したジョブ・カードを作成することで、受講者は職業能力の証明をすることができます。
■求職者の方がジョブ・カードを活用する主なメリット
職業能力証明の関連情報が盛り込まれたジョブ・カード(職業能力証明シート等)は、履歴書だけでは理解されにくい職業能力を証明するものとして、応募書類に追加し活用することができます。また、これらジョブ・カードに蓄積した情報から自らが選択して必要な情報を抽出・編集し、履歴書・職務経歴書として活用することができます。
■学生の方がジョブ・カードを活用する主なメリット
キャリア教育プログラムの実施、就職活動の際にインターンシップ、キャリア教育等の状況、自らの目標等をジョブ・カードに記入することにより、学生自らのキャリア・プランニング等のためのツールとして活用することができます。
■企業の方がジョブ・カードを活用する主なメリット
(つづく)A.K