実践編・応用編

キャリコンサルタント実践の要領 107 | テクノファ

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キャリアコンサルティングの社会的意義
キャリアコンサルティングを学ぶ前提

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを学ぼうとするとき、日本の産業社会においてはキャリアという言葉も概念も、つい最近まで正しく存在していなかったという点をふまえておかなければならない。キャリアコンサルティングはキャリア開発の支援活動であり、キャリア開発のためのコンサルティングであるが、キャリアコンサルティングを学ぶということは単にキャリアコンサルティングを技法としてとらえるのではなく、キャリアコンサルタントが果たさなければならない役割など、キャリアコンサルティングの前提や背景、あるいは周辺についても正しく理解しておかなければならない。

以上のような点を踏まえながら、キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを学ぶということはどういうことかについて概論的に述べる。

3回の転機
日本企業にとって、HRM・HRD(人事管理・人材開発:Human Resources Management ・Human Resources Development)のあり方を学ぶ機会、点検する機会が戦後から現在までの間に3回あった。ヒューマン・サイドにおけるターニング・ポイントといってもいいであろう。1回目は60年代初期の企業としての体裁を整え始めた時期である。この時期には、前述のようにテイラーを学び、メイヨーを学び、そしてマズロー、ハーツバーグ、マグレガー、ドラッカー等を学んだ。TWIやMTPが導入されたのもこの時期である。日本にキャリア開発という概念が最初に紹介されたのも60年代後半である。

2回目の転機は70年代後半のオイル・ショックによって高度成長期から低成長期に移行した時期である。この時期、日本経済は大きな打撃を受けるが、それまでの高度成長の勢いもあり、何とか乗り越えることができた。この時期から日本は世界の注目を集めるようになる。しかし、ここでは世界経済も立ち直ったために、日本企業は経営においてもHRM・HRDにおいても大きな変革を生み出すことはなく、従前のまま変革することはなかった。経済成長の勢いは強まり、世界のトップとなるにいたっては日本の経済が世界経済を動かすようになり、日本的経営が話題となった。

3回目の転機は80年代後半のバブルが弾けた時期である。この3回目のターニング・ポイントは、日本が世界のトップになった直後でもあり、経営人事におけるパラダイムの転換が求められたという点で、過去2回のそれとは意味が異なっている。このヒューマン・サイドにおけるパラダイム転換ができていないために、失われた10年がそのまま30年を過ぎてしまった。

前述したように、日本の置かれている立場が変わったにもかかわらず、企業のヒューマン・サイドにおけるパラダイムは従前のままであり、ほとんど変わっていない。パラダイム・シフトは死語になっていると思っている人が少なくないが、企業のヒューマン・サイドにおけるパラダイム・シフトはこれからであろう。
(つづく)平林

-実践編・応用編

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