キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う上で係りのある働きかた改革を推進する多様で柔軟な働きかたをかなえる制度・施策が整備されてきていること、 その制度施策に基づく具体的な支援情報を、支援を必要としている人や支援する側の立場の人・組織に周知するサイトがあること、働きかた改革を推進するためには働く人のキャリア形成支援も重要であることから、キャリア形成支援におけるキャリアコンサルティングの役割が重視され、キャリアコンサルティングの質の向上や、キャリアコンサルタントの能力向上が図られていることなど、今まで主として働きかた改革に関連した事項を中心に説明してきました。
今回からは、キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、説明します。
今回はセルフキャリアドックについて、説明します。
厚生労働省の資料
https://www.mhlw.go.jp/content/000609423.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000192530.pdf
より説明します。
〇セルフ・キャリアドックの定義
セルフ・キャリアドックとは、企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談(一般的に行われている上司等が人事評価・考課等を目的に行う「定期面談」「業績評価面談」等と、セルフ・キャリアドックにおけるキャリアコンサルティングを明確に区別するためキャリアコンサルティング面談と表記)と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組、また、そのための企業内の「仕組み」のことです。
従来の主な人材育成施策は、組織の視点に立った、組織にとって必要なマインドやスキル、知識の獲得を目指すという観点から行われてきました。これに対して、セルフ・キャリアドックは、企業・組織の視点に加えて、従業員一人ひとりが主体性を発揮し、キャリア開発を実践することを重視・尊重する人材育成・支援を促進・実現する仕組みです。この仕組みでは、中長期的な視点で従業員一人ひとりが自己のキャリアビジョンを描き、その達成のために職業生活の節目での自己点検や実践に活用する取組プロセスを提供することになります。
〇セルフ・キャリアドックの意義・必要性
現在、IT化の進展や国際競争の激化など、変化の激しい時代にあって、企業はビジネスモデルや事業内容の大胆な変化を迫られています。平成 28 年4月に施行された改正職業能力開発促進法では、労働者は自ら職業生活設計(キャリアデザイン)を行い、これに即して自発的に職業能力開発に努める立場にあることが規定されました。同時に、この労働者の取組を促進するために、事業主が講ずる措置として、キャリアコンサルティングの機会を確保し、その他の援助を行うことが規定されています。
セルフ・キャリアドックはこうした背景を踏まえ、それを実現していくための具体的な施策を反映した取組であり、対象従業員に対するキャリア研修と個別のキャリアコンサルティング(面談)及びそれらの結果に対するフォローアップであり、その実施を通じて、企業としての人材活用目標と従業員一人ひとりのキャリア目標とを調整していくことで、企業の活力・生産性向上と従業員のキャリア充実を両立することにつながるものです。
(つづく)A.K