横山さんを偲んで
今年は横山先生がお亡くなりなってから3年になります。7月16日(金)に皆でお墓参りに行ってまいりました。
日吉からタクシーで10分くらいの高台にあるお墓でした。夏の日差しの強い午後でしたので、セミの音が閑静な住宅街に響き渡って強烈に心にインパクトを与える一日でした。
ご一緒した小沢先生が3年前横山さんに贈られた弔辞を再度ご紹介して、横山さんを偲びたいと思います。
横山さんへの弔辞
6月25日、横山さんの葬儀がしめやかに執り行われました。その際に弔辞を述べさせていただきました。
私たちを導いてくださった横山さんへ感謝を申し上げるとともに、追悼文として掲載しご冥福をお祈りいたします。 会長 小澤康司
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横山さん、とうとうお別れの時がきたのですね。
今野さんがご逝去されたあと、「仕事は十分にやりきった、これからまだ、やることがある。」と、おしゃっていました。
その後、日吉にある喫茶店「いっすい」でお会いしたときは、「すべての書類や本に目を通して、思い出を整理している。そしてスピリチュアルな世界を探求している」とおっしゃっていました。お互いに読んだ本を何冊か交換し話し合っていましたが、もっと、もっと、横山さんと人生やスピリチュアルについてお話がしたかったです。
森岡さんから、横山さんが緩和病棟に入るのを楽しみにしていたと伺い、正直ビックリしました。スタッフと精神的な話ができることを期待されていたとのこと、また、自分の体の変化を担当の医師に伝えたり、看護師の待遇改善を病院に要望していたこと、そしてナースの人達から「哲ちゃん」と呼ばれていたことなどを伺いました。
自分の死を恐れることなくきちんと向き合い、ご家族や周囲の方々との時間を大切にし、病床においても最後まで探求心を忘れず、組織と個の共生を考え、自分の考えを最後まで表現される横山さんの姿に、感銘を受けています。
時折みせる「お茶目な横山さん」が大好きでした。ナースの人達だけでなく、横山さんの人間としての魅力が、多くの人から愛されていたのだと思います。
横山さんは、モービル石油株式会社の人事・広報担当取締役としてご活躍され、独立後、組織・心理開発研究所を主幹されました。「人事部ただいま13名」「人事管理自由化論―硬直人事を打破するために」「個立の時代の人材育成」「個人を活かし組織を活かすキャリア・カウンセリング」など多くの著書があり、人間性を重視した人事や組織論、キャリア開発とカウンセリングの重要性を提唱されました。
また、「内的キャリア」の概念の普及や横山さんが開発された「キャリア開発ワークショップ(CDW)」は日本のキャリア開発の発展に多大な貢献をしています。
日本産業カウンセリング学会は、その貢献を称え、学会賞を授与したことをご報告いたします。
横山さんとは、1996年に日本キャリアカウンセリング研究会を設立する前から約24年のお付き合いになります。2006年に、エドガーシャイン博士を招聘し、東京と大阪でシンポジウムを開催しました。
シャインご夫妻と娘さんを含め、京都、奈良を観光をしたことは、生涯の思い出です。
また、2013年に設立した「日本キャリア開発研究センター」では、大学院レベルのキャリア・カウンセリングが学べる講座を開講し、「キャリア開発カウンセラー」の養成や国際交流事業としてサニーハンセン博士の「統合的ライフプランニング」の翻訳出版を行いました。
横山さんを慕う多くの人達は、キャリア開発やキャリア・カウンセリングの発展のために戦ってきた同志としての思いがあります。不確実な社会が到来する中、横山さんの志を大切に、これからも前進してゆきますので、天国から見守っていてください。
令和元年六月二十五日
特定非営利活動法人日本キャリア・カウンセリング研究会
会長 小澤 康司
(つづく)平林良人