実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 114 | テクノファ

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キャリアコンサルティングの社会的意義
キャリアコンサルティングを学ぶ前提

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを学ぼうとするとき、日本の産業社会においてはキャリアという言葉も概念も、つい最近まで正しく存在していなかったという点をふまえておかなければならない。キャリアコンサルティングはキャリア開発の支援活動であり、キャリア開発のためのコンサルティングであるが、キャリアコンサルティングを学ぶということは単にキャリアコンサルティングを技法としてとらえるのではなく、キャリアコンサルタントが果たさなければならない役割など、キャリアコンサルティングの前提や背景、あるいは周辺についても正しく理解しておかなければならない。

以上のような点を踏まえながら、キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを学ぶということはどういうことかについて概論的に述べる。

キャリア開発と適材適所
適材適所を考えない企業はないであろう。しかし、適材適所を実現することは簡単なことではない。なぜなら、適材適所とは「やりたい人で、しかもその仕事ができる人にその仕事をやってもらうこと」だからである。つまり、適材適所を実現するためには、一人ひとりが自分のやりたいことを明確にしていること、できるかできないかがわかっていること、そのことを会社が把握していること、が条件となる。

人間はやりたくない仕事をやっているときよりもやりたい仕事をやっているときのほうが、心的エネルギーを発揮しやすいことは自明の理である。そのためには、一人ひとりが自分は何をやりたいのか、どうしてそれをやりたいのかを明確にし、それを会社にきちんと伝える必要がある。そして会社はそれを参考にしながら観察を行ない、話し合いを行ない、会社の期待を伝えるということを行なわなければならない。ときには本人が望まないことをやってもらうこともあり得るし、できそうにないことをできるようになってもらわねばならないこともあり得る。しかし、その場合でも本人の納得が前提であることはいうまでもない。要は本人と会社との間でどれくらい丁寧にすり合わせができるかである。それができなければ、適材適所は縁遠いものとなるであろう。

また、自分がやりたいことを明確化するという作業は、同時に自分にとって働くことの意味・意義を追求することになる。自分から進んでやる気になるのは、その仕事が自分にとって価値があると感じたり、意味があると思えたりしたときである。これは、モティベーションの基本原則である。さらに、自分にとっての仕事の意味や価値は自分の将来にとって意味がある、あるいは価値があるということであろう。すなわち、それはキャリアに他ならない。

しかるに、日本企業の現状はどうであろうか。適材適所とはいってもそれはタテマエであり、ただのキャッチフレーズでしかないというのが実態であろう。それはこれまでの経営が初めに会社ありきであり、会社のための人事管理・人材育成であったためである。
(つづく)A.K

-実践編・応用編

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