国家試験

セルフ キャリアドックの多様な課題

投稿日:2021年10月9日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う上で係りのある働きかた改革を推進する多様で柔軟な働きかたをかなえる制度・施策が整備されてきていること、その制度施策に基づく具体的な支援情報を、支援を必要としている人や支援する側の立場の人・組織に周知するサイトがあること、働きかた改革を推進するためには働く人のキャリア形成支援も重要であることから、キャリア形成支援におけるキャリアコンサルティングの役割が重視され、キャリアコンサルティングの質の向上や、キャリアコンサルタントの能力向上が図られていることなど、今まで主として働きかた改革に関連した事項を中心に説明してきました。

今回からは、キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、説明します。

今回はセルフキャリアドックについて、前回の続きから説明します。
前回に続き厚生労働省の資料
https://www.mhlw.go.jp/content/000609423.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000192530.pdf
から説明します。

③ 中堅社員のモチベーションが下がっているという課題に対して
中堅社員を活性化していくことがセルフ・キャリアドックの重要な支援の一つとなります。従来型の人事制度が大きく変わり、年功序列型の昇進・昇格が保証されにくい仕組みの中で、管理職に昇進しない従業員が著しく増加する傾向が生じ、その傾向は特にバブル崩壊以降に採用された従業員に顕著にみられるようになってきました。そのような事態の中で、モチベーションの維持・向上において、昇進・昇格や昇給を中心としたキャリアアップの方策が機能しにくくなり、むしろキャリア充実に視点をシフトした対策が求められるようになってきています。ところがこの変化に、組織の人事施策や個人の労働意欲が充分に対応しきれず、中堅社員のモチベーションが低下してきています。セルフ・キャリアドックは、長い職業生活の前半戦を終え、これから後半戦を迎える踊り場ともいえる中間点に立っている中堅社員に対し、自己の持つ多様な能力の棚卸しを行い、その能力の発揮を通して、モチベーションの維持・向上を図り、キャリア充実の実践度合いを把握する一連の支援策といえます。

④ シニア社員の長い生涯キャリアの設計とその実践という課題に対して
生涯現役の期間が長期化し、働くことができるなら、年齢によらず長期に働き続けたいというシニア社員が増加しています。70歳、75歳、さらには80歳まで働き続けることもオプションに入る時代、どのようにシニア期を過ごすかをシニア期前から視野においた職業生活の設計、ライフキャリア構築が重要なテーマとなってきました。長い生涯キャリアを有意義に、豊かに送るには、いくつになっても仕事で成長を実感し、充実感をもって仕事ができることが重要です。今後、シニア社員の活性化と能力発揮を促す研修とキャリアコンサルティング面談を連動させた施策の提供はセルフ・キャリアドックの大切な活動であり、シニア社員のモチベーションの維持・向上にとって重要な活動です。いくつになっても生涯現役の道を歩み続けるため、セルフ・キャリアドックを活用し、自分のキャリア開発に当事者意識と責任をもつ仕組みをシニア期とその準備期において確立することは、少子高齢化社会を生き抜く上で重要です。

〇セルフ・キャリアドック導入支援
・先にジョブ・カード制度のところで説明したキャリア形成サポートセンターでの導入支援。
支援等の利用方法はキャリア形成サポートセンター厚生労働省委託事業ホームページ

セルフ・キャリアドックとは-セルフ・キャリアドック導入支援を実施中


にあります。

・厚生労働省では、セルフ・キャリアドックの導入を無料で支援する拠点を全国5か所に設置し、支援を行っています。
(つづく)A.K

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