基礎編・理論編

キャリアコンサルタント養成講座 113 | テクノファ

投稿日:

横山哲夫先生の思想の系譜

横山哲夫先生は、個人が人生を通じての仕事にはお金を伴うJOBばかりでなく、組織に属していようがいまいが、自己実現のためのWORKがあるはずであるとキャリコンサルタント養成講座の中で強調されていました。そして数多くの著書を世の中に送り出しています。

今回はその中からキャリコンサルタントが知っていると良いと思われる「組織文化とリーダーシップ」を紹介します。

本記事はエトガー・H・シャインの著作「組織文化とリーダーシップ」を横山先生が翻訳されたものです。横山先生はシャインが2006,7年頃(記憶があいまいですみません)来日した時の立役者(JCC:日本キャリア・カウンセリング研究会が招待した、彼と娘さんが来日した)で、東京、大阪でシャインが講演をする際にいつも同席し、そればかりか新幹線で京都案内までされて、ごくごく親しく彼の人柄に触れた唯一の日本人でありました。

横山先生の思想の系譜をたどるときには、エドガー・シャインにかならず突き当たるので今回から横山先生の翻訳を紹介しながら彼の思想の系譜を探索していきたいと思います。
<ここより翻訳:2010年シャイン著>
グループの境界と独自性の定義
グループが機能し,発展するためにはコンセンサスに関する重要な領域のひとつとして,誰が新グループのメンバーであり,誰がそうでないかの認識と,どういう基準でそのような決定がなされるか,についての認識の問題がある。新メンバーは自分のメンバーシップについて不安があれば自分の主要な課題に安心して集中することができないし,グループとしてもその定義と境界線が不明確であれば,グループ自身の自覚を堅持することができない。

設立当初は,グループ加入の基準はリーダー,創業者,呼びかけ人が決めるのが普通だが,しだいにグループ・メンバーの意見も加わって,当初の決まりごとの見直しが始まる。基準をめぐるグループのコンセンサスが求められるようになる。若い会社ではオーナー,パートナーの指名,株式保有,主要機能・役員への人事をめぐって中身の濃い討論が起こる。討論を通じて,実情に応じた人事決定がなされるとともに,グループ加入基準の叩き台が生まれ,検討され,メリハリがつき,やがて誰の目にも明白な基準となる。このような討論はミッション宣言のテスト ゴールと方法の明確化の機会ともなり,いくつかの文化要素が同時に創成されたり,明確化されたり,強化されたりすることにもなる。

グループの基本的前提認識を決定するひとつのやり方は,現在のメンバーが,新メンバーに期待することは何かを質問し,そしてその質問者自身のキャリアの記録を細かくチェックして,彼ら自身のグループへの加入との関係をさぐってみることだ。デジタル・イクイップメント社(DEC)での採用のプロセスを訊いてみたところ,返事はこうだった。技術系,管理系の有望な志願者の一人ひとり,全員が最低5人以上10人以内の面接を含む,全ての手続で合格した者が最終的にジョブを得ることができた。面接者が新人に求めたものは,知性,自己信頼,明瞭な話し方,曖昧さに対する寛容さ,高い意欲などのようであった。しかし私の質問には大方のメンバーはこう応えた「うまく適応する(fit in)ヤツがほしい」と。

DECでは正規採用と決まったあと,暫定的な配属となる。もし,最初の仕事で失敗した者は,能力はあったがその仕事に合わなかった(前提認識)のだ。一旦,「正規入社」した者はその身分を失うことは滅多に無い。経済危機下では採用は抑制したが,レイオフは極力回避された。人員削減が高まったときは,レイオフに代わる「トランジション」として諸々の許容範囲の選択をあたえられた。

チバ・ガイギ一社(Ciba-Geigy)では,教育レベルがメンバーシップの主要基準となっていた。同社では年少の技術者と管理スタッフのほとんどすべては自然科学系の出身である。これは,同社で成功するためには,創業の精神に沿った科学的基本のうえに立たなくてはならない,とする同社の特徴的な前提認識に沿っている。博士号などの上級学位があれば,たとえマーケティングや管理分野に移っても,顕著に有利な処遇を受ける。
(つづく)平林良人

-基礎編・理論編

執筆者:

関連記事

キャリアコンサルタント国家資格5 I テクノファ

厚生労働省のキャリアコンサルティング実施のために必要な能力要件の説明をしています。前回は、「Ⅳ キャリアコンサルタントの倫理と行動、3.ネットワークの認識及び実践、(2) 専門機関への紹介及び専門家への照会」まで説明しました。 今回は、「Ⅳ キャリアコンサルタントの倫理と行動、4.自己研鑽及びキャリアコンサルティングに関する指導を受ける必要性の認識、(1)自己研鑽」から能力要件の最後まで(5.キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢、(4) キャリアコンサルタントとしての姿勢)説明を続けます。 4.自己研鑽及びキャリアコンサルティングに関する指導を受ける必要性の認識 (1) 自己研鑽 ・キャリ …

キャリコンサルタント養成講座 101 | テクノファ

横山哲夫先生の思想の系譜 横山哲夫先生は、個人が人生を通じての仕事にはお金を伴うJOBばかりでなく、組織に属していようがいまいが、自己実現のためのWORKがあるはずであるとキャリコンサルタント養成講座の中で強調されていました。そして数多くの著書を世の中に送り出しています。 今回はその中からキャリコンサルタントが知っていると良いと思われる「組織文化とリーダーシップ」を紹介します。 本記事はエトガー・H・シャインの著作「組織文化とリーダーシップ」を横山先生が翻訳されたものです。横山先生はシャインが2006,7年頃(記憶があいまいですみません)来日した時の立役者(JCC:日本キャリア・カウンセリング …

キャリアコンサルタント養成講座 37 | テクノファ

テクノファで行っているキャリアコンサルタント養成講座は、民間教育訓練機関におけるサービスの質の向上のガイドラインである「ISO29990(非公式教育・訓練のための学習サービス- サービス事業者向け基本的要求事項)」のベースであるISO9001に沿って行われています。厚労省はISO29990を踏まえ、民間教育訓練機関が職業訓練サービス(キャリアコンサルタント養成講座)の質の向上を図るために取り組むべき事項を具体的に提示したガイドラインを発表しています。 以下、厚労省「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン(以下ガイドライン)」を紹介していきます。 (つづき) 3章 職業訓練サービス …

キャリアコンサルタント養成講座16 I テクノファ

キャリアとは何か、キャリアの定義 キャリアコンサルタントの役割を理解するためには、「キャリア」とは何か、つまり「キャリア」の定義、意味、概念を理解しておかなければなりません。 ■他人を支援する前に自身のキャリアを自覚する キャリアは日本の社会に長い間存在していなかった概念であるために、一般には正しく理解されていない面があり、そのために混乱したり、迷ったり、傷ついたりしている人が数多く見受けられます。したがって、キャリア開発・形成の支援をする場合には、まず「キャリア」の定義、意味、概念を正しく理解しておかなければなりません。そして、キャリアコンサルタントが自身のキャリアを明確に自覚し、自身がキャ …

キャリコンサルタント養成講座 66 | テクノファ

横山哲夫先生の思想の系譜 横山哲夫先生はモービル石油という企業の人事部長をお勤めになる傍ら、組織において個人が如何に自立するか、組織において如何に自己実現を図るか生涯を通じて研究し、又実践をされてきた方です。 横山哲夫先生が2019年6月に逝去されて今年は3回忌になります。テクノファでは2004年に先生のご指導でキャリコンサルタント養成講座を立ち上げさせていただいて以来、今年まで実に16年もの間先生の思想に基づいたキャリコンサルタント養成講座を開催し続けさせていただきました。 横山哲夫先生は、個人が人生を通じての仕事にはお金を伴うJOBばかりでなく、組織に属していようがいまいが、自己実現のため …

2021年12月
« 11月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031