基礎編・理論編

キャリコンサルタント養成講座 117 | テクノファ

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横山哲夫先生の思想の系譜

横山哲夫先生は、個人が人生を通じての仕事にはお金を伴うJOBばかりでなく、組織に属していようがいまいが、自己実現のためのWORKがあるはずであるとキャリコンサルタント養成講座の中で強調されていました。そして数多くの著書を世の中に送り出しています。

今回はその中からキャリコンサルタントが知っていると良いと思われる「組織文化とリーダーシップ」を紹介します。

本記事はエトガー・H・シャインの著作「組織文化とリーダーシップ」を横山先生が翻訳されたものです。横山先生はシャインが2006年来日した時の立役者(JCC:日本キャリア・カウンセリング研究会が彼と娘さん招待した)で、東京、大阪でシャインが講演をする際にいつも同席し、そればかりか新幹線で京都案内までされて、ごくごく親しく彼の人柄に触れた唯一の日本人でありました。

横山先生の思想の系譜をたどるときには、エドガー・シャインにかならず突き当たるので今回から横山先生の翻訳を紹介しながら彼の思想の系譜を探索していきたいと思います。

<ここより翻訳:2010年シャイン著>
関係性のルール作り
新しいグループは創立と同時に権限問題と適切な同僚関係の確立に取り組まなくてはならない。権限/権威問題の出所は権限侵犯/攻撃への対応の必要性からであるが,一方,親和/親密的な仲間関係の問題は結局のところ,愛情,恋愛,性愛への対応の必要性を出所としている。そこで人間社会は性的役割,血縁システム,仲間感情,性的行為などの役割,様式をルール化することによって,人間社会の存続のための,出生を含むメカニズムを存続させ,現行の諸々の関係性の安定化を図っている。ルール化と言っても,われわれが誰かを信頼できるか,どうかの内在的な問題である。 現実的に,性と出生の課題がもっともよく表われる事例は家族会社の場合である。

家族による会社の継続は深刻な問題となる。誰が誰と結婚し,どの子供が会社にはいるかは大きな問題になる。その際もっとも大きな基準となるのは会社創立者の会社継続に関する前提認識であろう(Beckhard & Dver,1983a,1983b;Dyer,1986)。クックの研究結果(先述)を思い出してほしい。フランスのブランデー会社のチーフテイスターの役割は家族の男性に受け継がれた。娘でなく,甥に引き継がれたのだ。

家族所有企業に伴う,もっとも明確な特徴のひとつは,家族メンバーのために保たれているように見える親密さと信頼の固有のレベルに見いだせる。その組織に二重の親密システムを生みだす。たとえば,カナダの巨大なスーパーマーケットのチェーン店のスタインバーグズ社(第13章でさらに詳しく紹介するが)では,その創業者はすべてのビジネス分野で文字通りパートナー(共同経営者)と呼べるようなひとりの人物を採用した。しかし創業者はこの人物に議決権を認める株を所有することは決して認めなかった。ふたりはすべてのビジネスの関係できわめて深い関係を保ち,親友でもあった。しかし企業の所有権はこの創業者にとって特別の意味を持ち,血縁関係のある親類にのみ分け与えられたのだ。

フロイド(Freud)が以前に指摘しているように,新しいグループのケースに当てはめてみるモデルのひとつとして,子供のときから生活を共にしてきたわれわれの家族を考え合わせるとよい。両親や兄弟姉妹とのやりとりのなかから学んだルールは新しいグループにおいて,権限への対応,仲間との関係をどうするかに役立つ最初のモデルだ。新しいグループのメンバーはそれぞれに相異なる家族との多様な経験を持った人たちであろう。不同意や対立関係の発生などがありそうだ。周囲との関係を保つための新しいモデル,方法を模索することから新しいグループがスタートすることになる。

仕事組織においては,メンバーの親密さ(intimacy)をマネジするルールは多岐にわたる。お互いの呼びかた,私生活の共有の限度,感情的な表現の限度,助けを求めてよいのは誰か,そしてその種頸は,コミュニケーションの自由度/規制度,同僚との性的関係の許容度。大方の組織では親密性に関わる問題は権限規定にリンクして示されていることが多く,新しいメンバーでは,ジョークを言ってよいのは誰か,まじめな態度を保たなくてはいけないのは誰か,個人情報の細部まで打ち明けてもよいのは誰か,個人関係を深めてもよいのはどういう人たちか(とくにポジション,ランクの視点から)など,早くのみこめるようにガイドされてあることが多い。文化により組織によっては,血縁関係が歓迎されることもある。家族メンバーの強い信頼関係をプラスに評価するものだが,ほかの組織,ほかの文化では禁止されることも多い。家族に対する忠誠心が組織に対する忠誠心を阻害し,有能さの劣る組織メンバーを増やすことにもなるからである。
(つづく)平林良人

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