実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 119 | テクノファ

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キャリアコンサルティングの社会的意義
キャリアコンサルティングを学ぶ前提

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを学ぼうとするとき、日本の産業社会においてはキャリアという言葉も概念も、つい最近まで正しく存在していなかったという点をふまえておかなければならない。キャリアコンサルティングはキャリア開発の支援活動であり、キャリア開発のためのコンサルティングであるが、キャリアコンサルティングを学ぶということは単にキャリアコンサルティングを技法としてとらえるのではなく、キャリアコンサルタントが果たさなければならない役割など、キャリアコンサルティングの前提や背景、あるいは周辺についても正しく理解しておかなければならない。

以上のような点を踏まえながら、キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを学ぶということはどういうことかについて概論的に述べる。

行動科学という領域
科学的管理法や人間関係論による経験をもとに、新たに生まれたのが行動科学という研究領域である。第2次世界大戦前後、仕事のみに焦点を当て過ぎた科学的管理法、人間の感情面にのみ焦点を当て過ぎた人間関係論から得た教訓を参考に、仕事と人間を別々に扱うのではなく、この二つを統合的にとらえようとして生まれた研究領域である。
行動科学では、人間と組織を社会学・人類学・心理学・社会経済学その他多くの異なる学問的見地からとらえ、人間の行動、欲求、モティベーション、リーダーシップ、モラールなどを研究する。企業のヒューマン・サイドについて理解する上では欠かすことができない分野である。

モティベーション
そもそも、科学的管理法にしても人間関係論にしてもモティベーションが重要なテーマとなっていた。行動科学においては主として二つの側面から人間のモティベーションを研究している。その一つはモティベーターの内容や種類を研究しようとする欲求理論あるいは動因理論であり、一つはモティベーターが人間の行動に影響をおよぼす心理的プロセスを研究しようとするプロセス論である。これらの研究はその後のHRDに大きな影響を与えた。
いくら優れた技術や能力を持っていても、その人がその気にならなければ、その技術や能力は発揮されない。その人がその気になることをモティベーション(動機づけ)という。

日本語の動機づけという表現は、いかにも他動詞的に働きかけをするようなニュアンスであるが、じつはそうではなく、その人がその気(やる気)になることをモティベーションというのである。W.ジェームスは、調査・研究の結果、人間が動機づいたとき(やる気になったとき)とそうでないときとでは、能力の発揮のされ方が格段に違うことを発見した。
(つづく)A.K

-実践編・応用編

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