実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 120 | テクノファ

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キャリアコンサルティングの社会的意義
キャリアコンサルティングを学ぶ前提

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを学ぼうとするとき、日本の産業社会においてはキャリアという言葉も概念も、つい最近まで正しく存在していなかったという点をふまえておかなければならない。キャリアコンサルティングはキャリア開発の支援活動であり、キャリア開発のためのコンサルティングであるが、キャリアコンサルティングを学ぶということは単にキャリアコンサルティングを技法としてとらえるのではなく、キャリアコンサルタントが果たさなければならない役割など、キャリアコンサルティングの前提や背景、あるいは周辺についても正しく理解しておかなければならない。
以上のような点を踏まえながら、キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを学ぶということはどういうことかについて概論的に述べる。

K.レビンの人間・環境関数モデル
K.レビンは、人間の行動をそれまでの刺激反応モデルでとらえるのではなく、人間の行動(B)は人(P)と環境(E)の関数としてとらえ、B=f (P,E)という公式で表した。これは、人間の行動変容はパーソナリティか環境のいずれか、またはその両方によって引き起こされるという意味であり、組織における人間の行動を理解する際の基本モデルとして有名なモデルとなっている。なお、ここでいう環境とは本人が認知する環境であり、主観的環境をいう。つまり、人間は自分が置かれている環境を認知し、それに基づいて目標達成のための行動を選択するというとらえ方である。

さらにレビンは集団力学を研究し、専制型、民主型、放任型という有名なリーダーシップの類型を発表している。この研究は、それまでのリーダーシップの研究が特性論から類型論に変わるきっかけとなった。

A.H.マズローの欲求5段階説
欲求理論の代表がマズローの欲求5段階説である。マズローは「人間は基本的に生理的欲求、安全・安定欲求、社会的欲求、自我・自尊欲求、自己実現欲求という5つの欲求を持っており、人間の全ての行動はいずれかの欲求を満たそうとするものである」という仮説を立てた。
この5つの欲求は階層構造になっており、低位の欲求がある程度満たされると上位の欲求が顕れてくる。そして、順次顕れてくる欲求を満たしていこうとすることが人間の成長であるとしている。またマズローは、この5つの欲求のうち生理的欲求、安全・安定欲求、社会的欲求の3つは欠如を補おうとする欠乏動機(deficiency needs)であり、自我・自尊欲求、自己実現欲求の2つは成長動機(growth needs)と呼び、欠乏動機が満たされると成長動機が主たる行動要因になる、としている。また、生理的欲求、安全・安定欲求、社会的欲求、自我・自尊欲求は周囲とのかかわりにおけるものであるのに対して、自己実現欲求は自分自身に対するものであるので、自己実現欲求には際限がない。

さらに、この欲求5段階説は個人のみならず国や社会あるいは組織にもあてはまるとされている。たとえば、最近では日本でも自己実現という言葉が普通に使われるようになってきているが、それは国としての経済発展がその背景にあるからであり、まさしくマズローのいう欲求の高度化現象に他ならない。この仮説によって一見バラバラに見える人間の欲求がわかりやすく体系化された。
(つづく)A.K

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