基礎編・理論編

横山哲夫先生の講演 | キャリア開発支援者との共有

投稿日:2021年11月3日 更新日:

今回は、エドガー・H、シャイン著「組織文化とリーダーシップ」翻訳紹介の間に、横山さんの講演録を入れさせていただきます。この講演録は2010年3月にキャリアコンサルタント協議会が収録したもので、連続した講演を4回に分けて紹介しますが、今回はその2回目をお送りします(2回を4日間に分けてお送りします)。この講演はACCN(オールキャリアコンサルタントネットワーク)もサポートしておりキャリアコンサルタントの方にはぜひ聞いていただきたいものです。

横山哲夫先生講演録 その 2

今はですね、追い風中の追い風。追い風中と言うのは、研究者が前面に強力な研究者は前面に出てきて、実務家を支えて下さるという状況になってきた。これ私は最大の追い風と思っております。
これで研究陣と実践をするところがお互いに、お互いに、切磋琢磨しながら日本のキャリア開発の進展ができるという風に思っておりますが、そこでまぁ客観的に見て、キャリア開発のような社会的な認知の状況はどうであったかということを用意しております。図を使ってご説明をしてみようかと思います。

8つの図があります。キャリア開発支援者と共有したい考え方という資料をお開き下さい。図の1番と6番のご説明をしてみたいと思います。
日本型の経営陣への確信というのをどういうことか、人材の多様化というのはどういうことだということを、その概念を図示して視覚によって概念の説明をしてみようという試みであります。

図の1番と6番を順番に1番から説明をしています。
日本型 HRM・HRD の動向と書いてあります。Human Resource Management ・ Human Resource Development
ご承知かと思いますけども、人事管理とか人材育成という言葉にあたる言葉でありまして通常、人事管理の用語はこういうことを使うという様に一応定着しています。
HRM・HRDの動向。この図は、もう20年近く十数年前になりますけれども国連のILO場所はジュネーブにありますけど、HRM・HRD の専門家会議というのがありまして、どういう選考基準か分かりませんけれども、私に出て来いということで行ってみて驚いたのはどの国も先進10カ国の会議なんですけど、どの国もイギリスもアメリカもフランスもドイツもですね、研究者と実務実践家が2人でペアーになって出席をされている。なぜか日本の私だけ一人でした。非常勤講師ということでいると大学に関わり合って学生の教育ということを、特にキャリア教育ということを中心にしての活動はしておりましたけれども、それにしても研究者と普及者の両方の役を兼ねるということなんかは至難の技なのでありますけれど、なぜか日本から私ひとりで。この図の説明をしました。

その会議の様子はもうちょっとご紹介をしてみたいと思ってますけどこの図をご覧いただきますとね、図の1番組織力ということを考えた場合、左側は組織力の維持・蓄積。キーワードは秩序であります。この図は色々と考えたり作り直したりしては、自分で書いてみた図でありまして、そのジュネーブの会議では言葉の足りないところ、語学力の足りないところを図で補おうという魂胆でその時に書いていった図です。この通りではないんですけど、大体この様な感じの図を当時書き、また後から書き直してこの図になっておりますけれども、左側組織力の維持・蓄積キーワード秩序。右側組織力の核心・展開・維持している組織力、それをそのままでは組織の先行きはないわけでありまして、革新が必要だと。確信のキーワードは何かというところは、創意です。創造性ですね。

どういう所からそうでるって言ったら、これは主体的に自立的に生き生きとしている個人から出るということを意味に含ませておりますけれども、左右の説明はそれで終わりです。上下ライン管理者とHRM・HRDスタッフと書いてあります。
そして上は組織なんだか、どのラインの管理者部下を持ったラインの管理者であり、下はいわゆる広い意味での人事関係のスタッフ。HRM・HRDスタッフで、どう見えるかということは斜めに入っておりますドラム缶のような物。当時の私は石油会社の出身ということでドラム缶って関係ないんですけど、ドラムの様な形になったんですけれども、集団管理・小集団管理・個の管理。まあそれを一つのドラム缶の3つの部分としてみて、これはどんなものを収めるのだろうか。

例えば集団という所をご覧なりますと、これは労働力の維持蓄積の秩序という所に近い、この下の担当者は人事労務の担当者。集団管理の中身はですね、例えば労使関係管理であるとか総合的の労働条件管理であるとかね。平等、事実平等ということをキーワードにしたから、それを集団管理の視点という部分で日本型企業は伝統的にもっと強い部分であります。
人事管理といえば、これしかないのだ、位に思われた時代もあったくらい。小集団という風に変わって小集団管理。project team・タスクフォース・あるいはQCサークル・TQC・TQM全部それは小集団の管理の事項の中に入れましてですね、集団管理から小集団の管理。企業組織の責任者というものは決して小集団管理だけ安心していた訳ではなくて、この小集団の小集団管理・小集団活動の方まで伸ばしていった。責任の汎用を伸ばしていったのですね
(つづく)平林良人

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