実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 124 | テクノファ

投稿日:2021年11月11日 更新日:

新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にもこのキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。

〇 新型コロナウイルス感染症を契機に国民生活はどう変わったか
■ 雇用・収入への影響
(実質GDP成長率の推移)
ウイルスの特性がよくわからなかった最初の感染拡大期においては、経済活動全般を止めることで感染拡大を防止しましたが、経済には大きな影響がありました。
新型コロナウイルスの感染は、2020(令和2)年1月15日に国内で最初の感染者が確 認されて以降、急速に拡大しました。感染拡大を防止するため、4月7日には7都府県を対象に緊急事態宣言が発出(16日には対象が全国に拡大)され、外出自粛要請と飲食店等に対する休業要請が行われました。
ウイルスの特性がよくわからなかった最初の感染拡大期においては、このように人の動きを止め、人と人との接触を極力減らす対策がとられました。これにより感染は5月に入ると一旦収束し、緊急事態宣言も同月中に段階的に解除されましたが、経済活動の多くを止める措置をとったことで、経済や雇用、人々の生活に大きな影響が生じました。2020年4-6月期 の実質国内総生産(GDP)成長率は、前期比で-8.1%(年率換算-28.6%)と大きな 落ち込みとなりました。

(休業者数の推移)
2020年4月には休業者数が急増し、就業者数も大幅に減少しました。足下では、感染拡大前と比べ、完全失業率は高い水準、有効求人倍率も大きく低下等、雇用情勢に厳しさが見られました。

(就業者数の増減)
2020年4月の緊急事態宣言下の経済活動の停止に伴い、企業は従業員の雇用維持に積極的に取り組んだことから、休業者数は男女ともに急増しました。しかしながら、離職を余儀なくされた者もおり、これまで増加傾向にあった就業者数は、同月に大幅に減少した。同時に、非労働力人口は急増しており、離職者の多くが、感染症への罹患防止のために求職活動を控える動きがあり、完全失業率の上昇は限定的となりました。
その後、社会経済活動が再開され、求職者が増加する中で、完全失業率は緩やかな上昇 が続きましたが、就業者数は、女性を中心に持ち直しの動きが見られました。ただし、詳細は後述するが、雇用形態別に見れば、非正規の職員・従業員では、前年差で大きな減少幅が続いており、厳しい状況が続いています。

(完全失業率、有効求人倍率の推移)
さらに、2021(令和3)年1月に緊急事態宣言が再度発出されましたが、措置内容や実施区域が限定的であったこともあり、発出前の12月からの変動幅で見ると、前回のような急激な動きは見られず、2021年3月の完全失業率は2.6%、同月の有効求人倍率は1.10 倍となっています。しかしながら、完全失業率は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大 前と比較すると高い水準であり、有効求人倍率 も1倍を上回っているものの、大きく低下している状況にある等、雇用情勢には厳しさが見られます。

(雇用者数の増減)
雇用者数の減少は、女性の非正規雇用で、また、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業等の特定の業種の非正規雇用で大きくなっています。雇用者数の減少を男女別、雇用形態別に見ると、2020年4月の緊急事態宣言下の社会 経済活動の停滞に伴い、特に女性の非正規雇用が大きく減少しました。その後、新型コロナ感 染拡大前から増加傾向で推移していた女性の正規雇用を中心に、雇用者数は徐々に持ち直しの動きが見られているが、非正規雇用においては、依然、新型コロナ感染拡大前の水準から大きく減少した状況が続いています。また、産業別、雇用形態別に見ると、「宿泊業、 飲食サービス業」については雇用形態を問わず減少が続いており、引き続き厳しさが見られ、また、「卸売業、小売業」、「製造業」、「生活関連サービス業、娯楽業」などで非正規 雇用の減少が続いています。

(現金給与総額)
雇用が維持されている一般労働者、パートタイム労働者とも所定外給与が大きく落ち込み、現金給与総額が減少しています。賃金の動向を見ると、一般労働者、パートタイム労働者とも、2020年4月の緊急事態宣言以降に所定外給与が大きく減少し、宣言解除後もその水準は戻っておらず、一般労働者の現金給与総額は前年同月と比べてマイナスの水準で推移しています。

(新型コロナウイルス感染症に関連した自身の雇用や収入にかかわる影響)
独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施したアンケート調査からは、2020年12月時点の調査で新型コロナウイルス感染症の影響が「大いに」「ある程度」あったと回答した者の6割超が収入の減少の影響があるとしており、収入の減少は、仕事を失った者だけでなく、雇用が維持されている者にも少なからず及んでいることがわかります。
(つづく)平林良人

-実践編・応用編

執筆者:

関連記事

キャリアコンサルタント実践の要領 94 | テクノファ

これまで説明してきた、多様で柔軟な働き方を推進する制度・施策、サポート環境の整備に伴い、人々の働き方、生活はいままでにも増して多様化し、キャリアコンサルタントの活動の場が広がると同時に、多様化する課題に対する実践力等の資質向上が求められています。 厚生労働省では、令和3年6月に「働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書」を公表し、キャリアコンサルティングの普及促進とそれを支えるキャリアコンサルタントの実践力等の資質向上などについて提言を行っています。その内容を構成労働省資料から説明します。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19202. …

キャリアコンサルタント実践の要領 85 | テクノファ

前回に続き、キャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、組織視点を組み込んだキャリアコンサルタントの役割り拡大に対応するスーパービジョンについて説明します。 (3) 長期化するライフキャリア支援では 長いライフキャリアの中で、クライアントは様々な人生経験を通して、キャリア開発・キャリア形成を実践している。思い通りになる場合も、思い通りにはなかなかならない時もあり、様々な人生経験が存在している。そのプロセスの中で、私たちは節目、 トランジションを通して、さらなる成長を繰り返している。成長には連続的な成長と非連続的な成長があり、連続的な成長はス …

キャリコンサルタント実践の要領 62 | テクノファ

前回に続きキャリアコンサルティング協議会の、キャリアコンサルタントの実践力強化に関する調査研究事業報告書の、スーパービジョンのモデル実施及びアンケート・実施報告書の分析の部分の、今回のスーパービジョン実施後の自身の課題解決から記述します。 ②―3今回のスーパービジョン実施後の自身の課題解決 スーパービジョンのモデル実施に係るアンケート(スーパーバイジー:キャリアコンサルタント用)内の、「今回のスーパービジョン実施後の自身の課題認識」15項目について、平均値を計算した。回答は、「1:つながらなかった、2:あまりつながらなかった、3:どちらでもない、4:ややつながった、5:つながった、6:扱わなか …

キャリヤコンサルタント実施の要領 219 | テクノファ

テクノファは、あなた自身が輝いて働く(生きる)ためのトレーニング・講座をご提供しています。何よりも、自分の人生を自分で計画し切り開いていく、そのための自分自身が、何になりたいのか? そもそも自分は何者なのか? どうやったらなりたいものになれるのか。一つ一つを明確にすることで、地面が揺らいだときにも、急に会社の方針が変わったとしても、しっかりと地面をつかむことができ、自分の働き方をつかむことができるのです。常に成長し変化している人の成長を支援することがキャリア開発支援です。 キャリアのカウンセリング・コンサルティング・ガイダンスや、キャリア教育、人材育成など、人の成長にかかわっている方々や、部下 …

キャリヤコンサルタント実践の要領 212 | テクノファ

新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。 3 「C型肝炎救済特別措置法」に基づくC型肝炎ウイルス感染被害者の救済 出産や手術等の際に使用した血液製剤に含まれていたC型肝炎ウイルスに感染した者 に対しては、「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済する …