今回は、エドガー・H、シャイン著「組織文化とリーダーシップ」翻訳紹介の間に、横山さんの講演録を入れさせていただきます。この講演録は2010年3月にキャリアコンサルタント協議会が収録したもので、連続した講演を3回に分けて紹介しますが、今回はその3回目をお送りします(2回に分けてお送りします)。この講演はACCN(オールキャリアコンサルタントネットワーク)もサポートしておりキャリアコンサルタントの方にはぜひ聞いていただきたいものです。
横山哲夫先生講演録 その3-1
レジメの2ページをご覧下さい。項目が1から6まであります。1つで10分やってもこれで60分・1時間近く使ってしまいます。ですから、それ以内で説明を終わりたいということでありまして、ぜひ皆さんと共有したい。あるいは、あの私が大事にしている。みなさんにもうこれを大事にしよう。という様に一致するものが一つや二つだったら大変情けないのですけど、3つ以上あれはありがたいなという様に思っています。
先ず一番。最初よろしゅうございますか?黒丸の見出しはですね、キャリア支援者と共有したいキャリア開発の考え方・進め方でキャリア開発というのはキャリアカウンセリング・キャリアコンサルティングをすべて含むという様に申し上げております。個別性と、1番ですよ、1番。個別性と個人の主体性の尊重。自己理解が前提。自己理解がなかったら自己理解が偏っていたならばキャリアは進まないのですよ。
ですから、なんですよ。自己理解は大前提
大前提な自己理解をする。それから、個人の個別性・個人の主体性の尊重で今日のキャリアの展開が始まっていくんですね。参考図として6番と17番が書いてあります。6番はご説明をしたばかりですね。つまり個人の主体性の尊重というのをですね、これは6番の図でいうと個立連帯群の増強ということに繋がってくるのではありませんか?ということです。
その前提で6番と結びつけていただいて、そして主として17番の図を申し上げたいんですが、その前にこの三角形をご覧下さい。これは自己理解なんですよ。このトライアングルが自己理解というんですけども。この自己理解が、これはいかに大変な事であるか。ここはあっさりこううまくいく風にはいかないんですね、自分で考えます。これは発達の中心ですよ。
でもこれだけやっていればその行き先はどうなるかというと、これはどなたもご承知の安全性と裸の王様。
自分ではそのように思ったけど周りでは笑われているということになり兼ねないという危険性を持っていますけど、これは一番大事なことは当たり前。
なぜならば、ここで責任を取るから、ここで決定して責任を取るから一番大事なことは当たり前。これしかおやりにならないからこれで実践できている状態のうちの50くらいです。裸の王様にならないでくださいね。キャリアでどのくらい影響を与えるものかというと随分と危険なんです。ここに他者がいますよね。
分かったと言っていると、他者はどう見ていますか?ということですよね。で最も身近なかた、結婚しておられる人でいうと配偶者、職場では上司、上司の上司、同僚もいたかもしれません。この人達は自分が分かっている。こういう風に自分はやっているのだ。どの風に、どの様に見ているのだ。何にも分かってないじゃないか自分の事は。他者はそういう風に思っているかもしれない、遠慮して言ってくれないかもしれません。そこで大事になるのはですね、大事になるのは他者のこのフィードバックですよね。
こういうつもりで言っているのに、それがちゃんと伝わっているかどうか。
今の自分が言った指示はこういうことを意味しているのだよ、そういう風に分かっているのだよと言って、そうです、そうなんです、その様に聞いています。と言ってでもフィードバック貰わなかったらわからないじゃないですか、どの様に言っているか。今ですね大勢の方にお話をさせて頂いておりますけれど、全部お聞き取られる内容の受け取り方は一人一人違うではないですか?それはどれ位違っているか?それはお一人お一人に伺ってみなくては分かりません。このフィードバックはとても大事です。
黙っていてもフィードバックをくれる会社には、大いに有難がらないといけないですよね。
通常はそのようには得られない、一定のところまでいってからフィードバックを得る。どの様にどういう風に見える、どの様に聴いた?聴いてもらって初めてそれでわかってくる、備わってくる。これとこれはどっちみち一緒ですよね。自分の主観ですよね?主観と主観に対になるものがありますよね?客観的なものが。何かのデータ照らして、データを使って、何かのテストを使って、理論に合わせて考えてみて。主観・主観・客観ですよね。これを3つやる事によって初めて自分が考えている自己理解が正当化かどうかということが分かってくるんじゃないかと思う訳ですよ。
多くの学者、私たちもやっておりますワークショップもそうなのですが、これを重視して主観・客観・他者・自己・データ等をイメージすることを大事にしている訳なんですけれども。いかがでしょうか?どんな風にお考えになりますか。
これを言っておいて、こうしたことで何とか自分の自己理解を深めた。深め広めた方その方のキャリア開発が進展するであることは間違いない。ここで言いたいことは、図の1番で言いたいのは自己理解が前提ですよ。自己理解ということこんなことになっていますねっていうことなのですね。合わせて申し上げたいのですね、支援者がつまり皆さんご自身の自己開示。これがその相談をなされる方にとっては、とっても大きな頼りどころになると。自己開示力がかなり問われている。どうなっているのだろう?だからどうしたいのだろう?
なぜそうしているか辺りの事をですね、自分自身のことがお話になるので、これはもうアサーションが登場しますよね。
アサーションっていうことは、これはヒューマンスキルの一つありますが、とても大事だと思います。支援者自身の自己理解、自己開示ということを。自己理解から自分開示。自己理解から自分開示という辺りの事がとてもクライアントに対しての力強い鍵になる。自分のキャリア関係の考える鍵になるということ。これをいってみたいということは最初の一番ですよ。
2番目。主体的個人とそれを許容する組織との新たな共生関係の促進。長い言い方になりましたけれども、何も言わない個人。黙って従ってくれる個人とその支配者というか、その管理者のことを言っているのではないのですよね。キャリアコンサルタントのキャリアコンサルティング精神もですね、まぁその本人自身の主体的な自主的なことを尊重から始まるわけであってですね、そういう個人と組織との関係だからこそ新たな共生と言っているのは個人の有り様が違いますよ。今までの個人と違いますよ。
図で言うと図の6番で、帰属順応群的な者があったり、それがいけないと言っている訳ではないけれど、それだけでは足りませんよ。と言っています。大事な人材の人口は足りませんよ。両方欲しいのですよということなんですね。なのでずっと。個立連帯群的なものを増やすという事から言ったらですね、言ってみればその人との共生関係ですよということ。支配従属の中の共生関係言ったら共生関係っていう意味で大体言いたくはないですね、支配と従属なのだから。
偏って、強いて言えば非常に偏った共生関係。偏った共生関係というと言えるのかもしれませんね。この様な共生関係でない新たな共生関係ということを促進しましょう。ということで3番を見てください。
個人と組織の関わり合いという様に書いてあります。左側に個人です。右側に組織です。組織がネクタイをつけて背広を着て、あるいはスーツを着て、と言うことじゃないのであります。
これは組織を代弁する人でありますから、上司、あるいは上司の上司、ということに、お取りになった方が分かり易いかもしれません。
個人と組織の関係・関わり合いというのをですね、この様に記号で考えて見ることが出来るよね、と。個人から言えば対組織行動。組織にどのようにコミットしていくのですか?組織から言えばどの様に、人をマネージしていくのですか?ということですね。
4つ記号が考えられる訳ではありませんか。はてなマークから始まりますよね。クエスチョンマークですね。これはですね、成り行き任せの関係ですよ、成り行き任せ。個人の方も組織の方もですね、これだという風なポリシーとかスタンスがね、持ってないか不明なのですね。
だから成り行きに任せて人を使われる、使う、使われる。という関係の中でいってしまって、このままの関係でいわゆる定年まで行ってしまうことだってあるのですね。
決してその様な会社、そういう個人というのは少なくないんですね。
これは成り行き任せだから、もうどうしようもないということですね。その次に徐々にハッキリとしてくるのは、個人が組織より大きい不等号という関係の中にある個人ですよね。個人の組織の関係。個人優位の考え方ですよね。
自分のための組織だと思っている人ですよ。若年者に多いけれど、若年者だけでありませんね。年配者にも増えてきていますけども、良い悪いを言っているのではなくて、もともと組織との長期的な共生関係ということを考えない個人ですよね。
批判でも何でもなしにですね、どこをどの様に分類をしていけばどうなりますか?ご自身はどこにいらっしゃいますか?
ご自身のクライアントはどこにいるのだろうか?ということなんかもですね実際のコンサルティングをやっていく上でも、そして大きな基本的なところが決め手の1つになっていきませんか?
初めから共生関係をそうと思ってない人。あるいは、それをそうでありたいと思って口にしている人。そんなところまで見ていきましょう。ということなのですね。2番目の関係っていうのは組織優位、個人優位の考え方であって、自分がこの組織にいて仕事をしているのは、自分のためになる。自分のプラスになる。得意になるということが多いからそうしているのだと。そうでなかったら別の組織にいけますよ。ということでありますから、態度としてはですね、共生関係を初めから望んでいるという態度ではないですよね。
中にはより非常に優秀な方がいるのですけれどね、それが実際にお辞めになる。つまり転職率が一番高いのはこの2番目ですよね。当たり前のことなんだけど。個人優位の考え方ですから。組織もこういう方に辞められた後も何も驚かないですよね。「あー、辞めそうな人が辞めた」と。「惜しいな、あれだけのよくできる人間がね、どうするのだ。この次どっか行ったって、同じようなことになるだろう。」と、いう様に組織からは見える。周囲からも見られている。つまり、組織に対する被害はあんまりないのですね。こういう方が辞められてもね。ご自分がどの様に次の組織との関わりを繰り返していくか。それはその人の問題なのですけれども。ですから、こういう考え方は一つありますね。
(つづく)平林良人