国家試験

生産性向上に向けた人材育成戦略 | テクノファ

投稿日:2021年12月18日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、前回まではキャリアコンサルタントに関わりの深い「職業能力開発促進法」第5条第1項の規定に基づき、職業訓練や職業能力評価など、職業能力の開発に関する基本となるべき計画を策定する職業能力開発基本計画の第7次、第8次、第9次の職業能力開発基本計画について説明しました。今回は第10次職業能力開発基本計画(平成28年度から平成32年度(令和2年)までの5年間)について概要を説明します。

厚生労働省の資料
https://www.pref.chiba.lg.jp/sanjin/shingikai/kentoukai/dai10ji/documents/siryo04.pdf
より引用説明します。

第10次職業能力開発基本計画 - 生産性向上に向けた人材育成戦略-
人口減少社会、グローバル化の進展、AI、ビッグデータ等を背景として、ビジネス環境・就業環境が変化する中、人々が能力を高め、その能力を存分に発揮できる全員参加の社会と人材の最適配置を同時に実現し、我が国経済を量の拡大と質の向上の双方の観点から成長させる「生産性向上に向けた人材育成戦略」として、職業能力開発施策の基本的方向を定める。

● 今後の方向性
1. 生産性向上に向けた人材育成の強化
国、企業、民間教育訓練機関、学校等の教育訓練資源を効果的に活用し、国全体の人材育成の抜本的な強化を図る。

2. 「全員参加の社会の実現加速」に向けた職業能力底上げの推進
女性・若者・中高年齢者・障害者等、全ての人材が、その能力を存分に発揮できる「全員参加の社会」の実現加速に向け、個々の特性やニーズに応じた職業能力開発の機会を提供し、一人一人の能力の底上げを図る。

3. 産業界のニーズや地域の創意工夫を活かした人材育成の推進
様々な主体が有機的なネットワークでつながり、地域特性や、産業ニーズを反映した人材育成を、地域レベルで実施していく。

4. 人材の最適配置を実現するための労働市場インフラの戦略的展開
人材の最適配置を図るとともに、個々の労働者の能力を最大限に活かすため、職業訓練制度や職業能力評価制度を車の両輪とした労働市場インフラの戦略的展開を図る。

●(上記の今後の方向性を実現するための)今後の職業能力開発の基本的施策の展開
1. 上記1の、生産性向上に向けた人材育成の強化を実現するために
○ 専門実践教育訓練給付制度等におけるIT分野の講座拡充検討、IT分野に関する職業訓練の推進等
○ 国家資格化されたキャリアコンサルタントの質の保証や専門性向上、セルフ・キャリアドックの導入の推進、教育訓練給付制度の周知・普及、等
○ グローバル人材育成等のためのキャリア形成促進助成金・キャリアアップ助成金による訓練機会の確保、教育訓練休暇制度等の導入に取り組む企業への支援、認定職業訓練制度の活用促進等

2. 上記2の「全員参加の社会の実現加速」に向けた職業能力底上げの推進を実現するために
○ 育児等と両立しやすい短時間訓練コースの設定、訓練受講の際の託児支援サービスの提供
○ 児童・生徒等への職場体験等の支援、就業経験の少ない若者に対する日本版デュアルシステムや雇用型訓練の推進、地域若者サポートステーションにおけるニートや高校中退者等への支援の強化
○ 中高年の在職中のキャリアアップや再就職に向けた支援
○ 障害者の特性やニーズに応じた訓練の実施
○ キャリアアップ助成金、雇用型訓練等による非正規雇用労働者の支援等

3. 上記3の、産業界のニーズや地域の創意工夫を活かした人材育成の推進を実現するために
○ 産学官が連携した地域コンソーシアムの構築、就職可能性を高める職業訓練コースの開発・検証
○ 企業や地域の多種多様なニーズに対応した新たな人材育成プログラムの開発等の支援
○ 地域訓練協議会における多様な産業のニーズの把握、産業界や地域のニーズを反映した職業訓練の実施分野及び規模の設定
○ 教育訓練機関への訓練指導員派遣等による連携の強化等

4. 上記4の、人材の最適配置を実現するための労働市場インフラの戦略的展開を実現するために
○ 我が国の産業・職業構造の中長期的な変化を見据えた人材ニーズの把握
○ 総合的な訓練計画の策定、職業訓練におけるeラーニングの導入検討や、最先端の技術革新やグローバル化に対応した人材育成
○ 対人サービス分野を重点とした技能検定の整備、認定社内検定の普及促進等による職業能力

● 評価制度の構築
○ ジョブ・カードの活用促進
○ 企業における人材育成投資の促進
○ 地域の職業能力開発行政の拠点としての都道府県労働局の機能強化等
(つづく)A.K

-国家試験

執筆者:

関連記事

失業の動向|キャリコン国家試験合格18テクノファ

キャリアコンサルタント国家試験の対策を行ううえで、知っておくべき情報をお伝えします。 ■失業等の動向 (完全失業率) 完全失業率は感染拡大前の水準には戻っていない。失業や非労働力人口の動向について確認するため、完全失業率の推移を男女別・年齢階級別にみてみる。2018 年までは男女ともにおおむね低下傾向にあった。特に、「15~24歳」の年齢階級で完全失業率が大きく低下していたが、2020年の感染症の影響により、男女ともに幅広い年齢層で完全失業率の上昇がみられた。2021年は、感染症の影響が依然として残る中で、完全失業率は男女計と女性では横ばい、男性はやや上昇し、年平均では男女計で2.8%、男性は …

若者向け支援窓口|キャリコン国家試験合格4テクノファ

キャリアコンサルタントに必要な情報をお伝えします。 ■若者向け支援窓口 職業的に自立を目指す若年者を支援する就職支援の窓口が国、地方自治体により設置されています、そのいくつかを取り上げて次に説明します。 (新卒応援ハローワーク) 大学院・大学・短大・高専・専修学校などの学生・生徒や、学校卒業後おおむね3年以内の人を対象に様々な就職支援を行っています。新卒者の就職支援を専門とする相談員が担当者制で支援を実施しており、定期的な求人情報の提供や就職活動の進め方・求人の選び方の相談など、ひとりひとりの希望や困りごとに寄り添った支援が受けられます。就職後のフォローも行っています。また、必要に応じて、臨床 …

介護するために休業した被保険者 | テクノファ

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、社会保障に関して必要な知識、資料などについて前回の続きから説明します。 ・・・・・介護休業給付・・・ 家族を介護するための休業をした被保険者で、介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月又は介護休業開始日が令和2年8月1日以降であって、介護休業開始日以前の2年間に賃金支払基礎日数の11日以上の完全月が12か月に満たない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上である完全月が12か月以上ある方が支給の対象となります。その上で、 ・介護休業期間中の各1か月毎に休業開始前の1 …

労働移動の動向|キャリコン国家試験合格29テクノファ

キャリアコンサルタント国家試験の対策を行ううえで、知っておくべき情報をお伝えします。 ■労働移動の動向 ここまで、我が国の労働力需給の展望や労働移動の重要性についてみてきた。我が国の労働市場においては、少子高齢化に伴う生産年齢人口や新規学卒者数の減少が進んでおり、今後労働力の供給に制約が生じることが想定される。また、我が国の就業構造は、ポスト工業社会が進展し、商品やサービスの高品質・高付加価値化が求められる中で、工場における生産ラインの人員や、小売店の販売業務など、定型の業務を行う人材のニーズは減少する一方、高度な専門知識や技術を用いて付加価値を生み出す人材や、非定型のサービスを提供する人材の …

キャリアコンサルタント国家試験合格 75 | テクノファ

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う上で係りがある、働きかた改革を推進する多様で柔軟な働きかたをかなえる制度・施策について今回は短時間勤務制度(所定労働時間の短縮措置)について説明します。 キャリアコンサルタントには大切な知識です。 短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする制度です。「短時間勤務制度」は、少子化問題への対策のために設けられた制度で、家庭と仕事を両立できる制度として導入されました。2009年には育児・介護休業法の改正により短時間勤務制度の導入が各事業主に義務づけられ、2012年7月には、それまで猶予されていた100人以下の事業主にも、育児短時 …