基礎編・理論編

キャリアコンサルタント養成講座 127 | テクノファ

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前回に続き、横山さんの講演録を紹介させていただきます。この講演録は2010年3月にキャリアコンサルタント協議会が収録したもので、連続した講演を4回に分けて紹介しますが、今回はその3回目をお送りします(2回に分けてお送りします)。この講演はACCN(オールキャリアコンサルタントネットワーク)もサポートしておりキャリアコンサルタントの方にはぜひ聞いていただきたいものです。

横山哲夫先生講演録 その3-2
その次、3つ目の考え方というのを、上から3つ目不等号の向きが変わりました。組織のほうが強いのです、ぜんぜん。これは組織優位の考え方です。特に中高年の方にとっては当たり前のことが、まあもう正にこの中でやって来たよ。大方の方がそうおっしゃるでしょうね。

異動命令というのは、これはもう召集令状ですよね。

「気に入らなければ辞めてもらうよ。」という形ですね。絶対に組織の方の力が強いのです。こういう関係の中でも、もう慣れてきている。あるいは洗脳を受けているということの歴史はずっと来ていますから。つまり周辺好意的な関係っていうのは結局支配従属ですから、こういう関係になりますから、そうすると組織をはじめから主張もしないし、文句を言いながらでも言われた通りしているという段階ですね。

個人は全然生き生きとしてない理由はお分かりの通りですよね。でも、この中にいるぞ、この中に入るぞ、という人の数の方がずっと多いわけですよ。今更言ったって、どうもならないじゃないか。というところで、自分はどうもならない、ということで力説をするのですが、基本的には自己決定というのはキャリア開発の考え方でありますから。その考え方から言うと、人の考えを追従としてそれに従っているというのもこれも自己決定ですよ。

だから、自分が本当に決定をして、その後の展開に責任を持つのだ。ということであったならばですね、この関係の中でいいというだけだけど。そうしてしていいんですか?ということも問われるのだけれど、実際には良いも悪いもない。数の上からいったらこれ3つ目の関係。組織優位の考え方っていうのは当たり前ということにされていますよね。少し力ついて地位が上がったならば自由裁量の余地が増えてくるよ、そういうものなのだよ。組織の中で働くのは。ということを言われ慣れてきている、オヤジもそう言っている。

上司もそう言っている。周りもそう言っている。ということの中だけで、大いに時代は変わってきているということだけについては目をあまりやらない。この3つの関係の後はしこりしかないのですか?つまり訳の分からないって、成り行き任せな関係と、どちらかに偏った関係しか考えられないのですか?って、個人と組織は。そんなことはないでしょうと。こういう記号を手がかりにして考えてみるというのは一つの方法だと思う。それで私たちはですね、この等号記号を関係と考えて、対等関係という事はどうして考えられないのですか?そんな事、夢にも夢という意味じゃないだろう、言うだろ。と、いう様にたちまちすぐ返ってくるのですね。いや、対等関係を作ろうとする気はありますか? そりゃ、いいに決まってるよ、そう出来れば。でも自分がやれと言われても、そんなことは出来ないと。人が作ってくれるのを待っているのですか?そう言われれば、そうだとなってしまうのですよね。それでは出来ないではありませんか?ですから、4番目の対等関係というのは、個人も組織も両方がその気にならなくては、この対等関係の構築っていうのは始まらないですよ。

そういう関係が出来るはずが無いでしょう。また逆に、逆にじゃなくて個人だけが発しても、組織が全くその気になってない。何を生意気な事を言い出したのだろう。組織に入った以上、組織の言う事を聞いて貰わなくてはいけいない。という辺りのところにですね、いる組織のマネジメントの中で本当の自由である個人はいられますか?いいです、いいです。志しも魂も売ってここの部分さえ補助してくれれば、それも一つの選択でしょう。そういう選択をしなきゃいけない時期もあるでしょう。

わかりますよ、それは。だからそれでずっと行くんですか。今はしょうがない。今はしょうがない。と言ってずっと行くんですか?ということなんですね。よく見てください自分の考えを確かめてください。そのパートナーである組織の考えを確かめて下さい。と言うと個人の感覚からだったら言うでしょう。

組織の側からと言いますよね。こういうふうに不等号ではなくて等号記号の中でお互いが、と言っているんですから、組織の側を自由に組織の都合から物を言うし、個人の側も個人の都合から自由にものを言う。ただし、上の二つの関係が・・・・・・つまり、ごめんなさい、その前に大事な3つの要件を言いましょう。簡単に対等関係と言いますが、そんなもの簡単には出来るはずもありません。3つの要件を満たす努力をすれば、それも可能になっているじゃないですか?まあスペースのないところですけど第3図の等号記号イコールで示してあることの中身を3つだけちょっと書き留めておいて下さい。第1はですね、第一は相互尊重ですよ。お互いの尊重ですよ。そんなの当たり前のことじゃないか。と仰いますが、当たり前ですか?組織さん。組織の責任者さん。本当に個人を尊重していますか?

本当に、個人が生き生きとするという事を考えていますか。年齢だとか、経験年数だとか、あるいは男女の性差とか、あるいは学歴だとかという所と思って、大体の居場所を決めておいて、そして考えさせている。ということをしていませんか?ちっとも少しも個人を尊重してないじゃないですか。ということになる訳ですね。少し強調をしておりますけれども、分かりやすいために敢えてそうしていますけれども。と言う様に、相互尊重と仰いますが、相手に一方的な尊重を求めるのではなくて、こちらも尊重しますよ。という事は、言葉では簡単だけどやらなきゃいけないことはたくさんあるのですよ。場合によったら相互尊重もしていないという事になるのですね。そうしたら、いけませんね。この関係できませんね。

その次に、2番目の要因。最初は相互尊重と申し上げた。この対等関係の2番目の要因というのはですね。
相互依存ですよ。依存関係ってある。当然あるのですね、個人と組織の間には。いい意味で、お互いがお互いを利用をしている関係ですよ。いい関係じゃありませんか。大人の関係ですよ。

それを変な理屈を付けないことね。変な理屈をつけずですね。変な理屈をつけないでお互いの依存関係であるのだ。お互いがお互いを利用させてもらうという事を、お互いが良いのという事もちゃんとあるのよ。というのを認めないといけません。これは相互依存ですよ。相互依存ってことがあるの、と。相互尊重があり相互依存があると。もう一つ何がある?これが決め手ですね。3つ目はですね、相互選択ですよ。相互選択。選ぶことですよ。場合によっては、選び直しをすることですよね。相互選択。これはですね、わずかの選択上のお互いの意思の違いだったら、比較的軽い衝突。あるいは軽い違和感。軽い相違というものはですね、お互いの尊重と依存の関係の中で解決できることが多い。現にそういうふうに会議なんかで、そういう解決をしてきているのですよ、我々は。組織の中で働いてきているわれわれは。ところがですね、個人の自立性が増す。そのことの重大さが分かってきたという組織はですね、ある場面で、ある問題を捉えて、例えば異動でもいいですよ。小さな仕事をするかどうかという、先程言った尊重と依存の一環の話し合いの中において「では、こうしよう、そうしよう。分かりました。」という事で解決する。

ところが、個人にとっての誠に不当な異動。何の意味も考えられません。という、そういう異動命令を掛けられたという事の経験をされている、という組織人はきっと珍しくないのですよね。それは、上から3つ目の組織の強さというものを初めから受け入れていて、その中でいいです。魂も志も売ります。とにかく雇用だけは保証してくださいという関係にいる場合には、文句は言えないですよね。3つ目の関係の中にいるのだから。4つ目の関係の中にいないのだから。だから、そうじゃなくて対等関係にいこうよと、それが自分の為にも組織の為にも良いはずだ。個人ものびのびとして出来るし、自分の良さを発揮できるし、個人の生き生きが、組織の生き生きになっていくのですよね。そういうことでね、

これ敢えて実名出しますけどもね、会社名。これ私の責任でこの場だけで出したいと思いますのでこれを引用されたいと言われると困るのでありますけど。私は、日本の会社の中ではこの様な関係をわりあいと生き生きさせている。個人が生き生きしてやっている社は、私はSONYとHONDAだと思っています。自分の体験的な観察から言って。だからSONYとHONDAの方をつかまえて、そうなっていましたか?っていっても「いや、私のところはそうなっていませんよ」ということもあるでしょう。あったって驚かないですよ、だけどそういうことも含めてトータルとして、歴史的に見て、現状の責任者ということもやってみていると、このやはり2つの会社っていうのは、ややそういう傾向の強い会社じゃないかという様に思います。敢えて名前を出しました。

そういう関係にもって行こうじゃないか。ということで非常に保守的な会社で、日本の大メーカー。これも敢えて名前を出しますけれども、これは、むしろあの敬意を表するという意味で出すのですから、あの、ご勘弁いただきたいと思いますけれど、日立製作所。どなたも仰いますよ「あの保守的な会社ね。」って仰っていますね。確かに保守的っていうのは感じますけれども、社長が、トップマネジメントが、何代にも渡ってですね、人材の多様化という点から、つまり会社を支えるのは人材だから一律な、従来考えてきたやり方の中での人材はもちろん優れた人材はいるのだけれど、そんなやり方とそんなテンポでは、ここから激変の時代の何が起こるかも分からない、この様な時代の将来を支えてくれる人材としては、もっと多様性のある人材でなければ、会社はもたないとトップがそうはっきりとそう仰ってですね、そしてキャリアという言葉もお使いになって、会社の納得する様なやり方でなんですけど、ということを宣言されたのがですね、数年前なのですよ。数年前なのだけども本気になってやってらっしゃるから数を言うとですね、例えば部長を含めて管理者とそれから主任さんのレベルに居る方とを両方合わせてですね、えっと数千人。数千人というのは幅広いですからもう少し数字を言うならば、7000人から8000人くらいの方がですね、例えばキャリア開発。短いもので2日間、長いもので3日。キャリア開発のワークショップに出ることになって、事実出ているのですよ。これは一つの例なのですね。

それだけ、じゃないのですよ。これに合わせていろんな面談制でありますとか、あるいは社内公募でありますとか、一部の会社で取り入れられている形でそういう物も、納得のいく形でキャリア開発のプログラムを増やしているけど、その中での核心になるもの、中心になるものとしてね、キャリア開発のワークショップ。これは私たちの少数でありますけれども、同士に直接関係者がいるからよく事情を知っているわけですけれど、驚くべきことですよ。

で、これがあの国内でも万を超える、海外でも数十万という数になるような大所帯でありますから、それが影響を、本当に変わったね。というところまでには、まだまだ年数がかかるでしょう。ですけれど、スタッフの努力とトップの言い方ということ中でね、そういう様に明らかに動き始めているという事ですね、これは驚くべき事ですね。敢えて会社の名前を出させて頂いたのですが、というかこれは理屈だけをごねている訳ではないのですね。まあ実践者として普及者として事実、自分が実際関わり合った方の報告をしているわけですよ。で、もっと小さいところは本当にそこまでやるかという所までやってみて、これは時間の様子を見て、時間があったら申し上げますけれど、そういう様に、キャリア開発・キャリアコンサルティング・キャリアカウンセリングを含めるキャリア開発、だぶんとても沢山の色々な事、もう数えただけでも、キャリア開発プログラムというのは10や20は訳なく言えるのですから。それ位も研究というは実証的に研究段階でも出ているので、それを取り入れるか?取り入れられないか?という事はその会社次第。会社のマネジメント次第。ということなのだけれど、どうやら日本の組織のマネジメントも、少しそういう様に事実変わり始めたということ。これも明るい展望だろうと思いますね。

より保守的なですね、より自己中でやっていらっしゃる会社もですね、そのうち他社を見習うというのは大好きですから日本の組織は。「ほら、あそここれまた増えるかというとも始めだろう。うちもやらなければな」とか。残念なような会社はまだ多いわけですけども、この様に何処かが初めれば、何処かが先行例となれば、それについてくるということであって、私が将来を楽観をしているというのは、このようなこと等を自分の肌で感じているので、楽観している。キャリアコンサルティング・キャリアカウンセリング・キャリア開発の支援者の将来はですね、大変忙しくなってくるだろうと思いますよ。もっともっと数が増えなくてはいけないと思いますよ。今それでこれまた別な議論ですよね。後々の項目の中で申し上げますけど、そういう事で2番目の主体的個人とそれを許容する組織との、新たな共生関係の促進というものを図の3図を使って説明をしてみました。
(つづく)平林良人

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