基礎編・理論編

内的キャリアは目に見えますか?見えませんね | テクノファ

投稿日:2021年12月15日 更新日:

今回は、エドガー・H、シャイン著「組織文化とリーダーシップ」翻訳紹介の間に、横山さんの講演録を入れさせていただきます。この講演録は2010年3月にキャリアコンサルタント協議会が収録したもので、連続した講演を4回に分けて紹介しますが、今回はその4回目をお送りします(3回に分けてお送りします)。この講演はACCN(オールキャリアコンサルタントネットワーク)もサポートしておりキャリアコンサルタントの方にはぜひ聞いていただきたいものです。

横山哲夫先生講演録 その4.3
内的キャリアとは何か?仕事の質・人生の質。目に見えますか?見えませんね。仕事の質なのですよ。人生の質なのですよ。クオリティーよりワーク。ワーキングライフ。クオリティーよりワーキングライフ。だからQWL。それから人生の質。Quality Of LIFE。お医者さんがLife QOLと言ったら生命ですけれど、人生と考えましょう、QOL。QWL・QOL仕事の質と人生の趣味に当たる考え方・概念と言うのはこれは世界用語で進んだ国ならば、でもこれ当然のように空想にあたるその国の言葉で使われている。なぜかあまり使われなくてないのは日本なのですね、残念ですねえ、こんな大事なことが。ですから説明をしなきゃダメなのですね。「仕事の質」と「人生の質」あえてこれに近い日本語を当てはめるとすればですね、仕事の質と言うのは「働きがい」という事になるのではないでしょうか?人生の質という事のは「生きがい」という事になるのではないでしょうか?

あっそうか、「生きがい」・「働きがい」という事は内的キャリア。生きがい・働きがい=内的キャリアとは申し上げません。それでかなりわかった感じになります。この分かった感じになるという事は大事なので、言い換えてみればこれをいろんな例で申し上げる事もたくさんあるのですが、時間が許しませんので1例だけ申し上げれば建物のアナロジー。建物の比喩を使うならば、建物の上物は外的キャリアであります。この上半分は外的キャリア。建物の基礎、基礎工事は内的キャリアであります。ですから、上物をどうするこうするという事より、その基礎がどうなっているかという事も考えなしに出来ない訳ですね。

リモデルもリハウスもないのですよね、という様にまあ建物にアナロジー。まあそれでも、ちょっとは分かる?いくらか分かる?と言う感じになります。
ここに実証的な研究で内定キャリアをですね、概念分類をしてその概念分類の中でどの概念分類が自分にとって、最も自分らしく自分が生き生きしそうである。という事に当て嵌まるかな?ということを立証検挙をさせる。ありがたいです。

本当にありがたい研究だったのですよ。それがあのキャリアアンカーの考え方なのですよ。図16番を見て下さい。図の16番。申し上げる所だけ見てください。その前に外側が外的キャリアですよ。よろしいですか?同じことは2回書いてあるのですけども。外的キャリア、ジョブ・ワークいま申し上げた通り。繰り返しません。

従ってその内容はですね、内容は職業・職種・職位という事で言い表せるのが外的キャリア。内的キャリアは活動とか運動とかね、と言うのが表現としては当たりかな?ですから、ジョブであったりジョブではないワークであったりとか言う事なんかが、まぁこんな表現ができません。これみんな外的キャリアですね。

この中が全部内的キャリアなのですよ、でこれ影をつけてあるのですよ。これ見難くしてあるのですよ。影をつけ過ぎてしまったらとても見難くなってしまったで、私が修正をしておこうかと思ったのですよ。で、この話もシャインさんと笑い話になったのです。影など着けなくてもいいのではないか。だって、内的キャリアと言うのは醜いのだからこの絵も醜くっていいのだ、と。シャインさんは嬉しそうに笑っていらっしゃいました。と言う様に、16番の事を申し上げますとね、これ影をつけている部分は全て内的キャリアなのですよ。これは、これ以上の書きようがないのですよ。悔しいのですが知恵がありません。知恵がある方は後で助けて下さい。そしてその中で概念分類をしたという事のなかで、この作業方法はシャインさんのやり方と違うやり方を考えたのですけれども、「日本ではそれでいい」と仰って頂いて本当に安心をしたのですけれども、シャインさんはこの図を見てですね、この真ん中にあって影をつけてある部分の「これは分かるよ、これは省略のabbreviationがあるからね。TFはTechnical functional ・GMは General/Managerial・AUはAutonomyは分かるね。これは私が言っている8分類だね」

『その通りです。』
「これは非常に優れたアイディアでそのまま使わせてもらいます。でも、これですべて内的キャリアを説明出来る訳ではありませんね。それ以外にまだこれから研究が出ますね。」

『シャインさん、あなたは自分も研究は全て終わったと仰っていますけれど、まだそれ以外の研究は出てこないとは仰っていませんね。』
「ぜんぜんそのような事はやってはいない」

『これはそういうものがまだまだ出てくるよ、という事を示した図なのです』
「それは良く書けたわ」と言っていらっしゃいましたね。

「その通りだと。新たな研究者を待つ。」と。
「自分の研究は終わったのだ。アンカーを段々増やしていき8つまで増やしていき、8つ目をライフスタイルと言う所で研究は終わった」のだそうです。シャインさんに直接確かめてみると。「自分の研究としては終わりです。でもそれで内的キャリアの研究が終わったとは全然言っていない。まだまだ出てきますよ。これはアメリカで出るか、日本で出るか」と仰ってニヤっと笑っていらっしゃいましたけれど。

そういう様にまだまだ研究はされるのですが、取りあえずは、そして当分の間はこのキャリアアンカーの考え方が非常に有用であります。そして「キャリアアンカーとは何ですか?」 という事について、例えばシャインさんの言うならば概念をして、そしてその概念。私は概念で比較をするのですけど、その2回概念の定量化をしてみてそのやり方はどうぞ本に書いてありますから、金井さんの翻訳にもありますし、私の翻訳のやり方というのは、これは別にワークショップの中でどなたとは申し上げにくいのですが、方法は分かります。つまり内的キャリアを分かる方法は出来ています。という事をとりあえずお伝えして。そしてですね、図の17番を見て下さい。

外的キャリアを支えている内的キャリア。この両側面が分かってはじめてキャリア。人によっては下から行く、人によっては上から行く。これは色々とあるのです。そしてキャリアが分かってきた段階。左側にCDWと書いてあって矢印を上下しているのはですね、下から上へ行く人(あー、そうじゃない。これは、この図の中に)外的キャリアと、全く当たり前の事をですね。外的キャリアだけの、これ、あー外的キャリア、現実世界の話ですから大事に決まっていますね。それをそれに取り組む作業もちろん大事。外的キャリアが大事なはずないなんて一言も言っていませんよ。両方大事で両方を合わせることが大事と言ってですね。その中で、キャリアに関する作業という物をですね、ワークショップの中でいろんなワークショップの中で優れたワークショップは出来ています。この両方をおやりになるという事によってキャリアは段々と見えてくると、そういう様にキャリア研究も日本の中でも進んでいますよ。

これも前途を明るくしていくのも必要だと思います。こういう16番17番は非常にキーワードでこれだけは書いていますよ。
MOTIVE  本当にやりたいか。
COMPETENCE 本当にできるか。
VALUE 価値を感じているか。

この3つが揃った時は、かなり内的キャリアを満足させている様な状態に現実の仕事に取り組んでいくと考えています。内的キャリアその物をですね、外的キャリアに翻訳するというのはシャインさんもお勧めしていません。私も勧めません。
そんなに簡単に、内的キャリアが分かったつもりになられても困ります。
分からないで、分からないで当惑して、質問をしてここが分かったというプロセスを経たところで分かるのが、内的キャリアなのです。

内的キャリアがあっさり分かったら、それは分かり方や読解度がおかしい。みんな苦労をするのですね。自分の価値なのですね。自分の内的な価値でありますから、それをいろんな作業で確かめてみるということで、人からの意見も貰う。という風にこの3つの言葉だけはご紹介をしていきたいと思いました。これシャインさんの言葉。日本語で言えば「やりたいか・やれるか・やる価値はあるか」自分で問うてみて、キャリア支援の仕事の中に「やりたいねー。このような仕事はやりたいね。力はないけれども、やりたいという気持ちが強いから力はこれからつけるよ。」いいですね。これは自分の中の価値。自分の中の価値はあるし、社会的価値とも結びつく。相当いい線をいっているのではありませんか。そういう辺りの所からですね、ご自分の確認をなさってください。ということを申し上げます。

そして後はですね5番のヒューマンスキル。ヒューマンスキルと言うのはですね。とてもじゃないけどね、簡単には言えません。対人能力というのはちょっと不満なのですよ、対人になる人、人とどうしたらうまくいくのか。みたいな話になってしまいますね。ヒューマンスキルというのはですね、少し硬く言うと人間理解力とかね、人間理解能力とかね。いうようなことがあったら周りはもっと切っちゃって人間力。最近人間力という言葉が使われはじめましたね。お使いになる方は、ちょっと違った思いですけどそれぞれで使っていらっしゃる。でもね、それだから中身の合意はだんだん出来てきて一番簡明でいいなと思いましてね。私も場合によっては人間力という言葉を時々使い始めますけれど、人間力なのですよ。その流れで自己理解力・他者理解力に書いてあります。自己の関係理解力でそれが個人だけじゃなくてグループへの対応理解力という発展してきたというに、ヒューマンスキルというのは自分のものになっていくのだと思います。具体的には行動科学を勉強するだけでもかなりいけますよ。

リーダーシップを行動科学でもって追求してみようというSL理論というのはあるのですから、本が出ているのですから、翻訳も出ているのですから、あと勉強されるだけ。という事でかなり迫ることになりますね、これも立派なヒューマンスキルですね。それでは、それで抑えきれないものもあります。

という訳で、ここではただヒューマンスキルは大事です。ということが強調だけ。すでに皆さんは、色々なスキルを持っていらっしゃいます。それがヒューマンスキルなのですね。ひとつ大事なことでぜひ申し上げたいのは、今まで全部このヒューマンスキルの中に入ってくる。ここで言うのがいいのか分かりませんが、自分自身の問題。自己理解。自主性。自己・自己・自己と言う言葉ばかりが続いていますよね。

となると、言葉だけを聞いているとやはり、なんかまるで自己中さんの朝礼みたいなように聞こえてしまう。これはとんでもない話じゃないですね。キャリア開発が成功する、或いはキャリアコンサルティングが上手くいくという事のその定理を成している問題、これ見事に言ってくれたのは遠藤周作さんなのですよ。

遠藤周作さんのエッセイこれは有難かったですね。遠藤周作さんは夫婦を材料にして仰っていますね。あの丁寧には言えませんけれど、自分の作家人生・仕事人生という物は上手くいってきたなーっていうことで考えに浸っているに傍に奥様がいらして「みんな君のおかげだな。みんな君のおかげで上手くいったのだよ」と言って改めて配偶者に対する感謝の思いを深めている時「これはとんでもないことをして俺はしているぞ」作家の鋭い人生ですね、感性ですね。自分が自分の主役の人生をやっていてですね、彼女が脇役として自分を支える脇役をやってくれた。

その事にありがとうと。言っているというのはそれだけでお終いではないか、自分に対して脇役として努めてくれた彼女自身の仕事人生。或いは、彼女自身の通った人生というのは彼女が主役で生きているのです。そうですよね?彼女の人生は彼女が主役で生きている。言い換えたらどういう事になるかと言うと、彼女がこれは大事にしている。この事は大事にしていきたいという何かの節目。それがなった時には自分は喜んで脇役として馳せ参ずるという事を今までしてきたかどうか。していない。申し訳の無いことをした。これは懺悔だ。だからこれ、お亡くなりになる2~3年前にお書きになったエッセイなのですけれど、これからの自分の人生は「私は君の脇役だ」と。私は、私は脇役。という目指している。同じ事がこれまた仕事人生・キャリアの世界で言えるでしょ。自分が主役で自分の仕事人生が上手くいっている時はどなたかが助けてくれているのですよね。脇役をやってくれているのですよね。その脇役は上司かも知れませんし、同僚かもしれません。或るいは家庭では配偶者かもしれませんよね。

それは脇役さんの人生は脇役さんが主役で生きていますよね。自分が脇役として生きてきた、主役・脇役お互い様。主役・脇役はお互い様。自分の人生、自分の仕事人生中で両方をやらなくては、仕事人生・キャリア・その前のトータル人生、成り立っていないよ、という所に目を向けて非常に基本的な問題なのですよ。ですので、主役・脇役の問題の考え方ということで遠藤周作さんのエッセイをこういう事に気づいて、それが自分の活かせるという事も、これの大きな基本的な意味でのヒューマンスキルですね。このように大事な問題は沢山ありますね。

丁寧にご説明できる時間が無いのは申し訳けありません。最後のキャリアカウンセル・コンサルティング。これはね、色んな問題が議論が出る所なので一言で終わりにしますので、その意味をお考え下さい。もう終わります。

最後の19図ですね。
この3つを含めて私はキャリア開発面接、或いはキャリア開発カウンセル。このような言葉が出来ていいだろうと思っています。これをやるのはキャリア開発。正にキャリア支援なのですね。でもなんだか、お伝えをしておきたいという事をですね曲がりなりにもお伝えをしてみた。これで何か共感が頂けることがあれば有難いなと思います。
(つづく)平林良人

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