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求職者支援訓練のコース内容と訓練期間 | テクノファ

投稿日:2021年12月25日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、キャリアコンサルタントに関わりの深い職業能力開発促進法に基づき行われている公的職業訓練「ハロートレーニング」の対象になっている職業訓練について説明していますが、今回は求職者支援訓練について前回の続きから説明します。

● 求職者支援訓練のコース内容と訓練期間
(1)基礎コース
会社で働くための基本を2カ月~4か月かけて習得します。パソコンの操作から始まり、ワードでの文章作成、エクセルでの表計算、パワーポイントでの資料作成、ビジネスマナーなどを学ぶコースが中心で社会人経験が少ない人向けです。

(2)実践コース
高度な専門知識や実践スキルを3カ月~6か月かけて習得します。就職したい分野がある程度決まっていたり、キャリアのステップアップを目指したりする人向けです。実践コースの科目は、介護サービス科、医療事務科、WEBデザイナー科、WEBアプリプログラミング科、建築CAD科など様々な分野のコースがあります。

4.学卒者訓練
厚生労働省サイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/gakusotsusha.html
より説明します。
主に学校卒業者の方を対象に、就職に必要な職業スキルや知識を習得するためのハロートレーニングを実施しています。
・国は、職業に必要な高度で専門的かつ応用的な技能・知識を習得させるための長期課程の訓練を実施(高卒者等2年間)しています。
・都道府県は、職業に必要な基礎的な技術・知識を習得させるための長期課程の訓練を実施(高卒者等1年~2年間、中卒者等2年間)しています。

〇訓練コースと主な対象者
■普通課程
・対象者:中学・高校卒業者など
・実施施設:都道府県立職業能力開発校
・訓練期間:1年又は2年
・内容:地域の実情に応じて、地域産業に必要な多様な技能・知識を持つ労働者を養成。
・訓練科例: OA 事務科、機械加工科、自動車整備科、木造建築科等

■専門課程
・対象者:高校卒業者など
・実施施設:(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校(ポリテクカレッジ)、都道府県立職業能力開発短期大学校
・訓練期間:2年
・内容:技術革新に対応できる高度な知識・技能を兼ねそろえた実践的技能者を養成。
・訓練科例:生産技術科、電子情報技術科、電気エネルギー制御科等

■応用課程
・対象者:専門課程修了者など
・実施施設:(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の職業能力開発大学校(ポリテクカレッジ)
・訓練期間:2年
・内容:高度な技能・技術や企画・開発能力を習得し、生産技術・生産管理部門のリーダーとなる人材を養成。
・訓練科例:生産機械システム技術科、建築施工システム技術科等

〇受講料:有料
ここからはキャリアコンサルタントの知識として有用な障害者訓練について説明します。

5.障害者訓練
厚生労働省サイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/shougaisha.html
より説明します。
障害のある方を対象にして、その状況に配慮したきめ細かい訓練を実施しています。
(1)国立職業リハビリテーションセンター(国が設置、機構が運営)
障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく「中央広域障害者職業センター」と職業能力開発促進法に基づく「中央障害者職業能力開発校」との2つが併設され、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営しています。

〇訓練コース
機械CADコース、FAシステムコース、ソフトウェア開発コース、会計ビジネスコース、OAビジネスコース、オフィスワークコース等

〇訓練期間は、原則として1年間です。就職が内定するなど、訓練の目的が達成されれば受講期間の途中で早期に終了することができます。

(2)障害者職業能力開発校
職業能力開発促進法第十六条に基づき、国及び都道府県が設置・運営しています。障害者を対象とした公共職業訓練を行います。
国立が13校、都道府県立が6校で、全国に19校が設置されていますが、国立の13校のうち2校は独立行政法人高齢・障害者・求職者雇用支援機構、11校は都道府県に運営を委託されています

〇訓練コース CAD技術、Webデザインを修得するコースや、事務職を目指す人には、OA事務、経営事務、医療事務を学べるコースがあります。また、パン・お菓子作りや園芸、機械・建築関係などを学べるコース等があります。

〇受講料 無料

〇訓練期間は数ヶ月~1年

〇手当 通いながら、訓練中の生活費として訓練手当を受給することができます。

(3)(一般の)職業能力開発校(都道府県が設置・運営)
障害者を対象とした訓練コースを設置して障害者に職業訓練の機会を提供している一般の職業能力開発校があります。
〇受講料 無料

〇訓練期間は6カ月~1年

〇訓練コース 介護アシスト、サービス実務、実務作業等

(4)障害者の態様に応じた多様な委託訓練
厚生労働省職業能力開発局能力開発課の資料より説明します。
https://www.nissinren.or.jp/news_archives/news/%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85%E3%81%AE%E6%85%8B%E6%A7%98%EF%BC%88%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%82%8A%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%82%8A%EF%BC%89%E3%81%AB%E5%BF%9C%E3%81%98%E3%81%9F%E5%A4%9A%E6%A7%98%E3%81%AA%E5%A7%94%E8%A8%97%E8%A8%93%E7%B7%B4.pdf

民間教育訓練機関、社会福祉法人、NPO、企業等多様な委託先を活用して障害のある人が居住する地域で職業訓練を実施し、障害のある人の雇用の促進を図ります。
〇訓練コース
・知識・技能習得訓練コース OA系、パソコン系
・実践能力習得コース 製造加工系、介護サービス
訓練期間 標準3カ月(1カ月100時間)
(つづく)A.K

 

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