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各コース助成共通の要件 | テクノファ

投稿日:2022年1月26日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、前回の「人材開発支援助成金」の、コース別の人材開発支援助成金の項目の続きから説明します。

〇主な受給要件
各コース助成共通の要件(事業主)
・助成金の支給を受けようとする事業主は下記1から9のすべてに該当する必要があります。
1 雇用保険適用事業所の事業主であること。
2 労働局長が認定した制度導入・適用計画に基づき「その計画期間内に」人材育成制度を新たに導入し、その制度を雇用する被保険者に適用した事業主であること。
3 労働組合などの意見を聴いて事業内職業能力開発計画を作成し、雇用する労働者に周知している事業主であること。
4 職業能力開発推進者を選任している事業主であること。
5 制度導入・適用計画を提出した日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの間に、雇用する被保険者を解雇等事業主都合により離職させた事業主以外の事業主であること。なお、解雇等とは、労働者の責めに帰すべき理由による解雇、天災その他やむを得ない理由により事業の継続が不可能となったことによる解雇以外の解雇に勧奨退職等を加えたものであって、被保険者の資格喪失確認の際に喪失原因が「3」と判断されるものであること。
6 制度導入・適用計画を提出した日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの間に、雇用保険法第23条第1項に規定する特定受給資格者となる離職理由のうち離職区分1Aまたは3Aに区分される離職理由により離職した者として同法第13条に規定する受給資格の決定が行われたものの数を、当該事業所における支給申請書提出日における被保険者数で除した割合が6%を超えている事業主以外の者であること。
7 当該制度導入・適用計画の適用を受ける期間、適用される被保険者に対し所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の額を支払う事業主であること。
8 助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要な書類などを整備、5年間保存している事業主であること。
9 助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要であると管轄労働局長が認める書類などを管轄労働局長の求めに応じ提出または提示する、管轄労働局長の実地調査に協力するなど、審査に協力する事業主であること。

・支給対象労働者(雇用保険被保険者(有期契約労働者、短時間労働者および派遣労働者を除く)であることが必須要件)、支給対象訓練、支給対象外の訓練、支給対象経費、等についてはコースによりさまざまな異なる要件があり、受給額も異なります。
キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、前回は、これまで説明してきたキャリア形成支援に関連して、雇用する労働者のキャリア形成を支援するための対象事業を実施した事業主等に国から助成される雇用関係の助成金「人材開発支援助成金」について説明しました。今回は非正規雇用の労働者を雇用する事業主向けに国から助成される雇用関係の助成金「キャリアアップ助成金」について説明します。

厚生労働省のキャリアアップ助成金のサイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
とそのリンク先の厚生労働省の資料より説明します。

〇キャリアアップ助成金とは
「キャリアアップ助成金」は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、非正規雇用労働者の正社員化、非正規雇用労働者の処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するもので、労働者の意欲、能力を向上させ、事業の生産性を高め、優秀な人材確保に有効な制度です。

キャリアアップ助成金と前回説明した人材開発支援助成金は混同される場合がありますが、キャリアアップ助成金は有期雇用者、契約社員などの非正規雇用労働者の正社員化、非正規雇用労働者の処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度で、人材開発支援助成金は雇用保険適用事業所の事業主が雇用する被保険者の労働者に対して職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練などを、計画に沿って実施した場合や人材育成制度を導入して労働者に適用した際に助成する制度で両者は異なるものです。

〇概要
先に人材開発支援助成金との違いで説明したように、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、これらの取組を実施した事業主に対して助成をするものです。
人材開発支援助成金が雇用保険の加入者を対象としていることに対し、キャリアアップ助成金は有期雇用者、契約社員などの非正規労働者を対象としています。制度の設置目的も異なり、人材開発支援助成金は社員の育成・教育を行う企業をサポートする制度です。一方、キャリアアップ助成金は、非正規雇用者や障害をもつ社員、短時間労働者を企業内でキャリアアップさせ、正社員へ転換する取り組みや労働時間を延長させる取り組みを行うことで、さまざまな雇用形態や状況の者に働きやすい環境を整えた企業をサポートするための制度です。

〇キャリアアップ助成金のコースと支給要件の概要
7つのコースに分けられます。
1 正社員化コース
就業規則または労働協約その他これに準ずるものに規定した制度に基づき、有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成します。
2 障害者正社員化コース
・障害のある有期雇用労働者を正規雇用労働者(多様な正社員を含む)または無期雇用労働者に転換する措置
・障害のある無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する措置
のいずれかを継続的に講じた場合、助成金を受けることができます。
(つづく)A.K

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