キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、前回は、これまで説明してきたキャリア形成支援に関連して、雇用する労働者のキャリア形成を支援するための対象事業を実施した事業主等に国から助成される雇用関係の助成金「人材開発支援助成金」について説明し、前回は非正規雇用の労働者を雇用する事業主向けに国から助成される雇用関係の助成金「キャリアアップ助成金」について説明し始めました。
厚生労働省のキャリアアップ助成金のサイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
とそのリンク先の厚生労働省の資料より説明します。
以下は前回と重複しますが、念のため繰り返します。
〇キャリアアップ助成金とは
「キャリアアップ助成金」は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、非正規雇用労働者の正社員化、非正規雇用労働者の処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するもので、労働者の意欲、能力を向上させ、事業の生産性を高め、優秀な人材確保に有効な制度です。
キャリアアップ助成金と前回説明した人材開発支援助成金は混同される場合がありますが、キャリアアップ助成金は有期雇用者、契約社員などの非正規雇用労働者の正社員化、非正規雇用労働者の処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度で、人材開発支援助成金は雇用保険適用事業所の事業主が雇用する被保険者の労働者に対して職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練などを、計画に沿って実施した場合や人材育成制度を導入して労働者に適用した際に助成する制度で両者は異なるものです。
〇キャリアアップ助成金のコースと支給要件の概要
7つのコースに分けられます。前回は「キャリアアップ助成金」のコース別項目1.と2.を説明しました。
1 正社員化コース
就業規則または労働協約その他これに準ずるものに規定した制度に基づき、有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成します。
2 障害者正社員化コース
・障害のある有期雇用労働者を正規雇用労働者(多様な正社員を含む)または無期雇用労働者に転換する措置
・障害のある無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する措置
のいずれかを継続的に講じた場合、助成金を受けることができます。
今回は、3.から説明します。
3 賃金規定等改定コース
すべてまたは雇用形態別や職種別など一部の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給させた場合に助成します。
4 賃金規定等共通化コース
労働協約または就業規則の定めるところにより、その雇用する有期雇用労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適用した場合に助成します。
5 諸手当制度等共通化コース
労働協約または就業規則の定めるところにより、その雇用する有期雇用労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を新たに設け、適用した、または有期雇用労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに設け、延べ4人以上実施した場合に助成します。
6 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
労使合意に基づき社会保険の適用拡大の措置を実施する事業主が、雇用する有期雇用労働者等に対して、社会保険の制度概要や加入メリット等の説明・相談等を行うとともに、保険加入に関する意向確認等を行うなど、有期雇用労働者等の意向を適切に把握し、労使合意に反映させるための取組を行い、当該措置により当該有期雇用労働者等を新たに社会保険の被保険者とした場合に助成します。
7 短時間労働者労働時間延長コース
雇用する有期雇用労働者等について、週所定労働時間を5時間以上延長または週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長するとともに処遇の改善を図り、当該措置により当該有期雇用労働者等を新たに社会保険の被保険者とした場合に助成します。
〇全コース共通の支給対象事業主の要件
・雇用保険適用事業所の事業主であること
・雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
・雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であって、以下の(1)に該当しない事業主であること
(1) 「キャリアアップ計画書」の内容(実施するコース)に講じる措置として記載していないにもかかわらず、取組実施日の前日までに「キャリアアップ計画書(変更届)」を提出していない事業主であること。
(キャリアアップ管理者は、複数の事業所および労働者代表との兼任はできません)
・該当するコースの措置に係る対象労働者に対する労働条件、勤務状況及び賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主であること。
・キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること。
〇上記の全コース共通の支給対象事業主の要件以外の支給対象事業主、支給対象労働者、支給対象訓練、支給額、等についてはコースによりさまざまな異なる要件があります。
(つづく)A.K