キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、今回は、これまで説明してきたキャリア形成支援に関連して、厚生労働省のキャリア形成支援の施策の一つ、「人材開発支援助成金」について説明します。
厚生労働省のキャリア形成支援のサイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/shokugyounouryoku/career_formation/index.html
とそのリンク先の厚生労働省資料より説明します。
〇人材開発支援助成金は、労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を効果的に促進するため、雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練などを、計画に沿って実施した場合や人材育成制度を導入して労働者に適用した際に、訓練経費や訓練期間中の一部経費等を事業主等に対して助成する制度です。
この制度は何度も変更されています。平成28年度まではキャリア形成促進助成金という名称でしたが平成29年度から人材開発支援助成金に名称変更しています。
最近の変更として
新型コロナウイルス収束までとした特例措置があります。
〇人材開発支援助成金のコース(下記の7コースになっています)。
1 特定訓練コース
雇用する正社員に対して、厚生労働大臣の認定を受けたOJT付き訓練、若年者への訓練、労働生産性向上に資する訓練等、訓練効果の高い10時間以上の訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成
2 一般訓練コース
雇用する正社員に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための20時間以上の訓練(特定訓練コースに該当しないもの)を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成
3 教育訓練休暇付与コース
・有給教育訓練休暇等制度を導入し、労働者が当該休暇を取得し、訓練を受けた場合に助成
・30日以上の長期教育訓練休暇制度を導入し、労働者が当該休暇を取得し、訓練を受けた場合に助成
4 特別育成訓練コース
有期契約労働者等の人材育成に取り組んだ場合に助成
5 建設労働者認定訓練コース
・認定職業訓練または指導員訓練のうち建設関連の訓練
人材開発支援助成金の対象として
・建設労働者認定訓練コース(経費助成)
・建設労働者認定訓練コース(賃金助成)
・建設労働者技能実習コース(経費助成)
・建設労働者技能実習コース(賃金助成)
6 建設労働者技能実習コース
・安全衛生法に基づく教習及び技能講習や特別教育
・職業能力開発促進法に規定する技能検定試験のための事前講習
・建設業法施行規則に規定する登録基幹技能者講習など
人材開発支援助成金の対象として
・建設労働者認定訓練コース(経費助成)
・建設労働者認定訓練コース(賃金助成)
・建設労働者技能実習コース(経費助成)
・建設労働者技能実習コース(賃金助成)
・障害者職業能力開発訓練運営費(人件費、教材費等)
7 障害者職業能力開発コース
障害者の職業に必要な能力を開発、向上させるため、一定の教育訓練を継続的に実施する施設の設置・運営を行う事業主又は事業主団体に対してその費用を一部助成することにより、障害者の雇用促進や雇用の継続を諮ることを目的としています。
・障害者職業能力開発訓練施設等の設置等
・障害者職業能力開発訓練運営費(人件費、教材費等)
〇主な受給要件
各コース助成共通の要件(事業主)
・助成金の支給を受けようとする事業主は下記1から9のすべてに該当する必要があります。
1 雇用保険適用事業所の事業主であること。
2 労働局長が認定した制度導入・適用計画に基づき「その計画期間内に」人材育成制度を新たに導入し、その制度を雇用する被保険者に適用した事業主であること。
3 労働組合などの意見を聴いて事業内職業能力開発計画を作成し、雇用する労働者に周知している事業主であること。
4 職業能力開発推進者を選任している事業主であること。
5 制度導入・適用計画を提出した日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの間に、雇用する被保険者を解雇等事業主都合により離職させた事業主以外の事業主であること。なお、解雇等とは、労働者の責めに帰すべき理由による解雇、天災その他やむを得ない理由により事業の継続が不可能となったことによる解雇以外の解雇に勧奨退職等を加えたものであって、被保険者の資格喪失確認の際に喪失原因が「3」と判断されるものであること。
6 制度導入・適用計画を提出した日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの間に、雇用保険法第23条第1項に規定する特定受給資格者となる離職理由のうち離職区分1Aまたは3Aに区分される離職理由により離職した者として同法第13条に規定する受給資格の決定が行われたものの数を、当該事業所における支給申請書提出日における被保険者数で除した割合が6%を超えている事業主以外の者であること。
7 当該制度導入・適用計画の適用を受ける期間、適用される被保険者に対し所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の額を支払う事業主であること。
8 助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要な書類などを整備、5年間保存している事業主であること。
9 助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要であると管轄労働局長が認める書類などを管轄労働局長の求めに応じ提出または提示する、管轄労働局長の実地調査に協力するなど、審査に協力する事業主であること。
・支給対象労働者(雇用保険被保険者(有期契約労働者、短時間労働者および派遣労働者を除く)であることが必須要件)、支給対象訓練、支給対象外の訓練、支給対象経費、等についてはコースによりさまざまな異なる要件があり、受給額も異なります。
(つづく)A.K