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社内の技能評価への権威付け | テクノファ

投稿日:2022年3月3日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、厚生労働省の職業能力評価の施策を説明していますが、今回は社内検定認定制度の導入の効果を前回の続きから説明します。

〇社内の技能評価への権威付け
国による認定を受けることにより、社内での技能評価に権威と客観性を持たせることができます。なお認定を取得した企業・団体は、パンフレットや合格者の名刺などに「厚生労働省認定」と表示することができます。

・有資格者の実績への寄与
社内検定受験を通じて得た技能や知識を活かし、社外からの評価も上がることで実績に寄与する有資格者もみられます。

・顧客の評価
従業員の職業能力のレベルの高さや、自社に特有の技能・知識があることを顧客にアピールし、ブランド化による企業価値や顧客満足度の向上、ひいては業績アップにつなげている企業もみられます。

・業界内での地位向上・差異化
国の認定を受けた社内検定を実施していることが、企業の社会的評価や信頼感につながり、業界内での地位向上に役立っているという声もあります。

・地域産業振興に貢献
行政機関や商工会議所と連携して社内検定に取り組むことにより、地域産業振興や地域ブランディングの構築につなげることができます。

・広報効果・企業ブランドの向上
認定を受けた企業・団体は、ロゴマークをパンフレットや合格者の名刺などに使用することができ、社内検定の広報効果が見込めます、また企業ブランド力のアップなどにつなげることができます。

〇社内検定を構築し、認定申請するまでのステップ
1 全体像の整理と枠組の作成
2 検定試験の作成
3 試行試験の実施
4 申請の準備

・社内検定の認定を受けるための認定基準
ア 非営利性
イ 経理的・技術的基礎の保有
ウ 適切な運営体制の確立
エ 客観的・公正な基準に基づく実施
オ 技能振興上の適格性
カ 職業能力に対する社会的評価の向上
キ 技能検定に関する補完性
ク 学科試験・実技試験の実施
ケ 継続的な実施
コ 適切な実施計画の策定
サ 合格者の称号の適切性
シ 実施者の適格性

〇「現代の名工(卓越技能者)」表彰制度
厚生労働大臣が、きわめてすぐれた技能を有する人や技能を通じて働く人々の福祉の増進及び産業の発展に寄与した人などを年1回、概ね150人を表彰しています。卓越した技能者を表彰することにより、広く社会一般に技能尊重の気風を浸透させ、もって技能者の地位及び技能水準の向上を図るとともに、青少年がその適性に応じ、誇りと希望を持って技能労働者となり、その職業に精進する気運を高めることを目的としています。
被表彰者は、下記のすべての要件を充たす者であって、都道府県知事、全国的な規模の事業を行う事業主団体若しくはその連合体又は一般社団法人若しくは一般財団法人、その他当該表彰を受ける者の推薦に当たる者が推薦した者のうちから、厚生労働大臣が技能者表彰審査委員の意見を聴いて決定します。
昭和42年の第1回以降令和3年まで6,796人が受賞しています。

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、厚生労働省の職業能力評価の施策を説明していますが、今回は「現代の名工(卓越技能者)」表彰制度を前回の続きから説明します。
〇表彰の要件
(1)きわめてすぐれた技能を有する者
(2)現に表彰に係る技能を要する職業に従事している者
(3)技能を通じて労働者の福祉の増進及び産業の発展に寄与した者
(4)他の技能者の模範と認められる者

〇技能競技大会
青年技能者や技能士に目標を持ってもらい、その技能の一層の向上を図るとともに、ものづくり技能の素晴らしさ・重要性について若者をはじめとした国民に知っていただくため、各種技能競技大会を開催しています。
(技能五輪全国大会)
国内の青年技能者を対象に、その技能レベルの日本一を競う大会です。
・出場資格:技能検定2級相当以上の技能を有する23歳以下の青年技能者
・競技レベル:上級から中級レベル(技能検定2級相当以上)
(技能グランプリ)
年齢にかかわりなく、各都道府県から選抜された特に優れた技能を有する一級技能士等が競う大会です。
・出場資格:特級、1級及び単一等級の技能検定に合格した技能士
・競技レベル:上級レベル
(若年者ものづくり競技大会)
職業能力開発施設、工業高校等において技能を習得中の20歳以下の若者が技能レベルを競う大会です。
・出場資格 : 職業能力開発施設、認定職業訓練施設、工業高校、工業高等専門学校等において技能を習得中の20歳以下の者で企業等に就職していない者。
・競技レベル:初級レベル(技能検定3級程度)
(技能五輪国際大会)
世界各国の青年技能者がその技能レベルを競う大会です。
・出場資格:大会開催年に22歳以下である者(一部職種を除く)、各国1職種につき1名または1組

〇若年技能者人材育成支援等事業(ものづくりマイスター制度)
ものづくりに関して優れた技能、経験を有する人を「ものづくりマイスター」、情報技術関連の優れた技能を持つ技能者を「ITマスター」、IT技術を活用した生産性向上等に関する指導ができる技能者を「テックマイスター」として認定・登録し、これら「ものづくりマイスター」が技能競技大会の競技課題などを活用し、中小企業や学校などで若年技能者への実践的な実技指導を行い、効果的な技能の継承や後継者の育成を行うものです。

(ものづくりマイスターの認定要件および対象分野)
次の3つすべてに該当する優れた技能、経験を有する人をものづくりマイスターとして認定しています。
(1) 技能検定の特級・一級・単一等級の技能士またはこれと同等の技能を有していると認められる人、技能五輪全国大会の成績優秀者(第3位まで)のいずれかに該当する人
(2) 実務経験が15年間以上ある人
(つづく)A.K

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