国家試験

能力開発基本調査 | テクノファ

投稿日:2022年3月4日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、これまで説明してきた職業能力開発に関連する厚生労働省の資料として、今回から能力開発基本調査について説明します。

能力開発基本調査は、国内の企業・事業所と労働者の能力開発の実態を明らかにし、今後の人材育成施策の在り方を検討するための基礎資料とすることを目的に、平成13年度から毎年実施されています。
主な調査事項は、1.企業調査、2.事業所調査、3.個人調査です。
例年10月から12月まで調査、5月末に結果を公表していますが、令和2年度は令和2年12月から令和3年1月まで調査、6月に結果が公表されました。

令和2年度「能力開発基本調査」の結果を厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_19368.html
より引用説明します。

■令和2年度「能力開発基本調査」調査結果のポイント
【企業調査】
1 教育訓練費用(OFF-JT費用や自己啓発支援費用)を支出した企業は49.7%(前回57.5%)。
2 事業内職業能力開発計画の作成を行っている企業は22.1%(前回22.9%)。
職業能力開発推進者の選任を行っている企業は18.8%(前回19.8%)。
3 教育訓練休暇制度を導入している企業は8.8%(前回8.5%)。
教育訓練短時間勤務制度を導入している企業は6.7%(前回6.4%)。

【事業所調査】
1 計画的なOJTについて、正社員に対して実施した事業所は56.5%(前回64.3%)、正社員以外に対して実施した事業所は22.3%(前回26.5%)
2 能力開発や人材育成に関して、何らかの問題があるとする事業所は74.9%(前回76.5%)。
3 キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行うしくみを、正社員に対して導入している事業所は37.8%(前回39.4%)、正社員以外に対して導入している事業所は24.9%(前回27.0%)。

【個人調査】
1 OFF-JTを受講した労働者は29.9%(前回35.3%)。
・雇用形態別では「正社員」(37.7%)が「正社員以外」(16.4%)より高い。
・性別では「男性」(36.5%)が「女性」(22.8%)よりも高い。
・最終学歴別では「中学・高等学校・中等教育学校」(24.2%)が最も低く、「大学院(理系)」(49.9%)が最も高い。
2 自己啓発を実施した労働者は32.1%(前回29.8%)。
・雇用形態別では「正社員」(41.4%)が「正社員以外」(16.1%)より高い。
・性別では「男性」(39.9%)が「女性」(23.6%)よりも高い。
・最終学歴別では「中学・高等学校・中等教育学校」(21.8%)が最も低く、「大学院(理系)」(67.6%)が最も高い。

■令和2年度「能力開発基本調査」調査結果の概要(調査結果の詳細報告)
1 企業調査
(1)OFF-JT及び自己啓発支援に支出した費用について
① OFF-JTまたは自己啓発支援への費用支出状況
令和2年度調査における企業の教育訓練への費用の支出状況をみると、OFF-JTまたは自己啓発支援に支出した企業は 49.7%であった。OFF-JTと自己啓発支援の両方に支出した企業は 20.2%、OFF-JTにのみ費用を支出した企業は25.1%、自己啓発支援にのみ支出した企業は 4.4%であった。一方、どちらにも支出していない企業は50.1%であった。
OFF-JTに費用を支出した企業については45.3%と、令和元年度調査と比べて減少している。3年移動平均についても、近年、同程度の水準で推移していたが、直近では低下している。
さらに、自己啓発支援に費用を支出した企業割合も24.6%と、前回(28.2%)と比べて減少しており、3年移動平均の推移についても低下している。

② OFF-JT及び自己啓発支援に支出した費用
OFF-JTに支出した費用の労働者一人当たり平均額(費用を支出している企業の平均額。以下同じ。)は0.7万円であり、前回に比べ減少している。また、3年移動平均についても、直近では低下している。 一方、自己啓発支援に支出した費用の労働者一人当たり平均額 は0.3万円であり、平成30年度調査以降、横ばいで推移している 。

(2)能力開発の実績・見込みについて
正社員に対する過去3年間(平成29年度~令和元年度)のOFF-JTに支出した費用の実績では、「増加した」(19.0%)が「減少した」(9.1%)を9.9ポイント上回っており、「実績なし」は46.7%であった。今後3年間の支出見込みでは、「増加させる予定」(18.7%)が「減少させる予定」(3.7%)を15.0ポイント上回っているものの、「実施しない予定」が52.5%と多かった。
正社員に対する過去3年間の自己啓発支援に支出した費用の実績では、「増加した」(20.2%)が「減少した」(4.3%)を15.9ポイント上回っているものの、「実績なし」も53.0%と多く、今後3年間の支出見込みについては、「実施しない予定」が54.3%と、半数以上となった。

正社員以外に対する過去3年間のOFF-JTに支出した費用の実績では、「増加した」(6.7%)が「減少した」(3.9%)を2.8ポイント上回っているものの、「実績なし」が71.7%で最多となった。今後3年間の支出見込みでは、「増加させる予定」(8.8%)が「減少させる予定」(1.6%)を7.2ポイント上回っているものの、「実施しない予定」が72.6%で最多となった。正社員以外に対する過去3年間の自己啓発支援に支出した費用の実績では、「増加した」(10.1%)が「減少した」(1.6%)を8.5ポイント上回っているものの、「実績なし」が71.7%で最多となった。今後3年間の支出見込みについても、「実施しない予定」が70.8%で最多となった。
(つづく)A.K

-国家試験

執筆者:

関連記事

キャリコンサルタント国家試験合格 35 | テクノファ

前回、前々回と2回にわたってキャリコンサルタントを目指す方に2級コンサルティング国家試験の情報をお伝えしてきました。 今回はそもそも技能検定とはどのような制度であるかについてお話しします。 ■技能検定のあらましと試験実施団体 技能検定とは、労働者の持っている技能の程度を検定して、これを公証する国家検定制度です。働く人々の技能と地位の向上を図ることを目的として、職業能力開発法に基づいて実施されます。「キャリアコンサルティング」職種については、2008年2月27日付けの政令改正に続き、同年2月29日付けの省令改正によって、技能検定試験の対象職種となりました。これを受けて、特定非営利活動法人キャリア …

キャリアコンサルタント国家試験合格 54 | テクノファ

キャリアコンサルタントが知っていなければならない労働関係法の勉強をしましょう。働き方改革関連法は、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等を目的とした法律で、「労働基準法」、「労働安全衛生法」、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」、「じん肺法」、「雇用対策法」、「労働契約法」、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」の8つの労働に関する法律の他に、関連する複数の法律 …

キャリアコンサルタント国家試験合格 91 | テクノファ

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う上で係りがある、働きかた改革を推進する多様で柔軟な働きかたを可能にする制度・施策を説明してきました。続いて前回は様々な事情を抱えて、多様で柔軟な働きかたを必要としている、これまで説明してきた制度・施策の対象者である働く人たち、その人たちを具体的に支援する立場にある支援者やキャリアコンサルタントなどに対して必要な情報を提供している厚生労働省のサイトのひとつ「治療と仕事の両立支援ナビ」の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」 https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/dl/guideline.p …

キャリアコンサルタント国家試験合格 59 | テクノファ 

キャリアコンサルタント国家試験に役立つ法整備について勉強しましょう。今回はキャリアコンサルタントのキャリアコンサルティング業務に係りがある、働き方改革を実行するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)の説明をします。 働き方改革関連法は、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等を目的とした法律で、「労働基準法」、「労働安全衛生法」、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」、「じん肺法」、「雇用対策法」、「労働契約法」、「短時間労働者の …

「過労死等防止啓発月間」の実施|テクノファ

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、メンタルヘルス、自殺・過労死、ハラスメント等に関する知識、資料について説明していますが、今回は前回に続き令和3年版過労死等防止対策白書について説明します。国会への年次報告を義務付ける過労死等防止対策推進法及び過労死等の防止のための対策に関する大綱には、国が取り組む重点対策として、過労死等の調査研究を行うことが明記されています。今回は白書の過労死等の調査研究全体の実施状況報告について項目 2.4 結果の発信、を説明します。 2.4 結果の発信 過労死等防止調査研究センターで行う過労死等事案の分析、疫学研 …