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事業内職業能力開発計画 | テクノファ

投稿日:2022年3月5日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、今回は能力開発基本調査について、前回の続きから説明します。

(3)労働者に求める能力・スキルについて
企業の発展にとって最も重要と考える労働者の能力・スキルについて、管理職を除く正社員では、50歳未満では、「チームワーク、協調性・周囲との協働力」(52.8%)、「職種に特有の実践的スキル」(37.1%)の順で、50歳以上では、「マネジメント能力・リーダーシップ」(54.6%)、「課題解決スキル(分析・思考・創造力等)」(38.2%)の順で、それぞれ多くなっている。正社員以外では、「チームワーク、協調性・周囲との協働力」(53.6%)、「職種に特有の実践的スキル」(33.1%)の順で多くなっている。

(4)事業内職業能力開発計画及び職業能力開発推進者について
① 事業内職業能力開発計画の作成状況
事業内職業能力開発計画の作成状況は、「すべての事業所において作成している」とする企業が 14.9%、「一部の事業所においては作成している」とする企業が 7.2%であった。両者を合わせても全体の4分の1に満たず、「いずれの事業所においても作成していない」とした企業が 77.8%と多くを占めている。
産業別の状況をみると、事業内計画作成企業の割合が最も高いのは、「情報通信業」(48.4%)であり、唯一4割を超えた。一方、「いずれの事業所においても作成していない」割合が高いのは、「生活関連サービス業,娯楽業」(87.6%)、「宿泊業,飲食サービス業」(87.3%)、「運輸業,郵便業」(86.4%)となっている。

企業規模別における事業内計画作成企業の割合は、「30~49 人」(16.1%)、「50~99人」(20.8%)、「100~299 人」(29.7%)、「300~999 人」(33.3%)、「1,000 人以上」(42.3%)と、規模が大きくなるに従い高くなっているが、1,000 人以上規模でも、事業内計画作成企業は、2分の1に満たない結果となった。

② 職業能力開発推進者の選任状況
職業能力開発推進者の選任状況は、「すべての事業所において選任している」とする企業が10.8%、「一部の事業所においては選任している」とする企業が8.0%である。両者を合わせても全体の5分の1に満たず、「いずれの事業所においても選任していない」企業が81.1%と多くを占めている。
産業別に推進者の選任状況をみると、推進者選任企業の割合が最も高いのは、「情報通信業」(41.0%)で、唯一4割を超えている。一方、「いずれの事業所においても選任していない」の割合が高いのは、「宿泊業,飲食サービス業」(89.3%)、「運輸業,郵便業」(88.7%)、「生活関連サービス業,娯楽業」(88.6%)となっている。

企業規模別に推進者の選任状況をみると、推進者選任企業の割合は、「30~49人」(15.9%)、「50~99人」(18.6%)、「100~299人」(21.4%)、「300~999人」(24.5%)、「1,000人以上」(30.8%)と、規模が大きくなるに従い高くなる傾向にあるが、「1,000人以上」規模でも、7割近くの企業が推進者を選任していない結果となった。
なお、推進者選任企業における推進者の選任方法は、「本社が職業能力開発推進者を一人選任し、すべての事業所について兼任させている」とする企業が 65.8%で最多となった。

(5)教育訓練休暇制度及び教育訓練短時間勤務制度の導入状況について
教育訓練休暇制度の導入状況は、「導入している」とする企業は8.8%、「導入をしていないが、導入を予定している」とする企業は8.3%となり、「導入していないし、導入する予定はない」とする企業が82.3%で最多となった。
教育訓練短時間勤務制度の導入状況 も、同様に「導入している」とする企業は6.7%、「導入をしていないが、導入を予定している」とする企業は9.3%となり、「導入していないし、導入する予定はない」とする企業が82.4%で最多となった。

教育訓練休暇制度又は教育訓練短時間勤務制度の導入を予定していない企業の うち、導入予定がない理由は、「代替要員の確保が困難であるため」(47.4%)が最も多く、「制度自体を知らなかったため」(38.8%)、「労働者からの制度導入の要望がないため」(35.5%)が続いている。

2 事業所調査
(1)教育訓練の実施に関する事項について
① OFF-JTの実施状況
令和2年度調査において、正社員または正社員以外に対してOFF-JTを実施したと回答した事業所は69.8%であり、その内訳をみると、「正社員と正社員以外、両方実施した」は27.2%、「正社員のみ実施した」は40.9%、「正社員以外のみ実施した」は1.7%であった。一方、「OFF-JTを実施していない」とする事業所は29.6%であった。
OFF-JTを実施した対象を職層等別にみると、正社員では「新入社員」が56.7%、「中堅社員」が52.4%、「管理職層」が45.5%となっており、「正社員以外」は29.0%となった。

正社員に対してOFF-JTを実施した事業所割合は、前回(75.1%)より6.9ポイント減少の68.2%となり、3年移動平均の推移でみても、近年のなだらかな上昇傾向から低下方向に転じた。
正社員以外に対してOFF-JTを実施した事業所 割合は29.0%であり、正社員に比べて低い割合になっている。また、前回(39.5%)に比べて10.5ポイント減少しており、3年移動平均の推移でみても、なだらかな上昇傾向から低下方向へと転じた。
OFF-JTを実施した事業所の割合を産業別にみると、正社員については「複合サービス事業」(94.8%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(94.1%)、「金融業,保険業」(93.0%)で高く、「生活関連サービス業,娯楽業」(53.7%)、「宿泊業,飲食サービス業」(54.4%)で低くなっている。正社員以外については「複合サービス事業」(80.7%)、「金融業,保険業」(65.8%)で高く、「建設業」(14.6%)、「製造業」(20.1%)で低くなっている。

企業規模別では、正社員については「30~49人」で48.8%、「50~99人」で60.9%、「100~299人」で71.8%、「300~999人」で89.0%、「1,000人以上」で82.9%と、企業全体の常用労働者数が300人以上の事業所では、実施率が8割以上と高くなっている。正社員以外については、正社員の企業規模別の結果と同様に、「 300~999人」で43.8%、「1,000人以上」で43.9%と、企業全体の常用労働者数が300人未満の事業所と比較すると、300人以上の事業所における実施率が高くなっている。
(つづく)A.K

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