実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 145 | テクノファ

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新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にもこのキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。

4)□ 社会的養護に関する施設機能の充実
社会的養護の施設が質の高い支援を実施するためには、体制面の充実や第三者評価の適切な実施が不可欠です。
このため、施設種別ごとの運営指針を策定するとともに、第三者評価及び施設長研修を義務付けています。
また、民間児童養護施設職員等の人材確保と処遇改善を図るため、段階的に処遇改善に取り組んでいます。

5)□ 被措置児童等虐待の防止
施設入所や里親委託などの措置がとられた児童等(被措置児童等)への虐待があった場 合には、児童等を保護し、適切な養育環境を確保することが必要です。このため、2009(平成21)年に施行された改正児童福祉法では、
①被措置児童等虐待に関する都道府県等への通告や届出
②通告した施設職員等に対する不利益取扱いの禁止
③届出通告があった場合に都道府県等が講じるべき調査等の措置等が規定されました。これを受けて厚生労働省では「被措置児童等虐待対応ガイドライン」を 作成し、被措置児童等虐待の防止に取り組んでいます。

3 ■  女性保護施策の推進
□ 配偶者からの暴力の現状(婦人相談所及び婦人相談員による相談)
配偶者からの暴力は、人権を著しく侵害する大きな社会問題です。2018(平成30) 年度の全国の婦人相談所及び婦人相談員の受け付けた来所による女性相談者の実人員 79,580人(2017(平成29)年度78,360人)のうち、「夫等の暴力」を主訴とする者が 32,914人(2017年度32,281人)であり、相談理由の41.4%(2017年度41.2%)を占 めるなど、配偶者からの暴力の被害者の割合が増加しており、関係府省(内閣府、警察庁等)及び関係機関(配偶者暴力相談支援センター、警察、裁判所等)との密接な連携を図り、引き続き取組みの強化が必要とされています。

□ 配偶者からの暴力対策等の取組み状況
配偶者からの暴力(DV)被害者等に対する相談・保護等の支援については、
①配偶者からの暴力を受けた被害者の一時保護及び民間シェルターや母子生活支援施設等一定の基準を満たす者への一時保護委託の実施
②婦人相談所職員や婦人相談員等の相談担当職員に対する専門研修の実施
③婦人相談所における休日・夜間電話相談事業の実施及び関係機関とのネットワーク整備
④婦人相談所一時保護施設及び婦人保護施設における心理療法担当職員及び同伴児童へのケアを行う指導員の配置
⑤婦人相談所一時保護施設及び婦人保護施設の夜間警備体制の強化
⑥婦人相談所における法的対応機能強化事業の実施
⑦外国人被害女性等を支援する専門通訳者養成研修事業の実施
⑧婦人相談所一時保護施設及び婦人保護施設において、個別対応職員を配置し、様々な困難な問題を抱える被害者のニーズに対応した支援を実施
など、各種施策を実施しています。

2013(平成25)年に、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成13年法律第31号)」(以下「配偶者暴力防止法」という。)が一部改正され、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力及びその被害者に対しても、配偶者暴力防止法が適用されることとなりました(2014(平成26)年1月3日施行。施行後は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」)。

2013年には、ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)が一部改正され、婦人相談所その他適切な施設においてストーカー行為等の相手方(婦人相談所においては被害女性)に対する支援に努めることが明記されました(2013年10月3日施行)。

2019(令和元)年度には、引き続き、婦人相談員の専門性の向上を図っています。また、若年層をはじめとした困難を抱えた女性が支援に円滑につながるよう、SNSを活用した相談窓口の開設を促進するとともに、若年被害女性等に対して、公的機関と民間支援団体が密接に連携し、アウトリーチによる相談支援や居場所の確保等を行うモデル事業を実施しています。 また、DV被害者等が同伴する子どもの支援の充実を図るため、婦人相談所等において、児童相談所等の関係機関と連携する職員や学習指導員の配置、通学支援等を実施しています。

(3)□ 人身取引(性的サービスや労働の強要等)被害女性の保護
人身取引(性的サービスや労働の強要等)被害女性の保護については、婦人相談所においては、448名(2001(平成13)年4月1日~2019(平成31)年3月31日)の保護が行われてきたところです。なお、「人身取引対策行動計画2014」に基づき、人身取引被害女性の保護・支援を図っているところであり、婦人相談所等においても、警察、出入国在留管理庁、大使館、IOM(国際移住機関)等の関係機関と連携を図りながら、被害女性の立場に立った保護・支援を実施しています。

第5節  〇 子どもの貧困対策
子どもの貧困対策については、「子供の貧困対策に関する大綱」(2019(令和元)年11月29日閣議決定)等に基づき、
①親の妊娠・出産期から子供の社会的自立までの切れ目のない支援体制の構築、
②支援が届いていない、又は届きにくい子供・家庭に配慮した対策の推進、
③地方公共団体による取組みの充実等を分野横断的な基本方針として定めるとともに、教育の支援、生活の安定に資するための支援、保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援、経済的支援等を総合的に推進していくこととしています。また、子どもの貧困対策が国を挙げて推進されるよう、官公民の連携・協働プロジェクトとして「子供の未来応援国民運動」を推進し、支援活動を行う団体とその活動をサポートする企業等とのマッチングの推進や、草の根で支援を行う特定非営利活動法人等に対する民間資金を活用した「子供の未来応援基金」による支援等を行っています。

子どもの貧困率については、「2019年国民生活基礎調査」によると、13.5%となり、 前回(2016年国民生活基礎調査)の13.9%と比べて0.4ポイント改善しました。また、いわゆるひとり親家庭(大人が一人で子どもがいる現役世帯)の貧困率は48.1%となり、前回の50.8%と比べて2.7ポイント改善しました。

2020(令和2)年7月には、新型コロナウイルス感染症に係る情勢を踏まえ、食料の配布やオンライン学習支援など、感染症対策を踏まえた緊急かつ柔軟な支援を行えるようにするため、20の特定非営利活動法人等に対し「子供の未来応援基金」による緊急支援を行いました。

第6節  〇 ひとり親家庭の総合的な自立支援の推進
■ ひとり親家庭を取り巻く状況
母子世帯の推計世帯数(父のいない児童(満20歳未満の子どもであって、未婚のもの)がその母によって養育されている世帯)は、2016(平成28)年で123.2万世帯となっており、父子世帯の推計世帯数(母のいない児童がその父によって養育されている世帯)は、同年で18.7万世帯になっています*3。
母子世帯になった理由別にみると、死別世帯が8.0%、生別世帯が91.1%になっています*4。

就業の状況については、2016年には、母子家庭の母は81.8%が就業しています。このうち、正規の職員・従業員が44.2%、パート・アルバイト等が43.8%になっています。一方、父子家庭の父は85.4%が就業しており、このうち正規の職員・従業員が68.2%、自営業が18.2%、パート・アルバイト等が6.4%になっています*5。

母子世帯の母自身の平均年間収入は243万円であり、児童のいる世帯の1世帯当たり平均所得金額745.9万円と比べて低い水準となっています。一方、父子世帯の父自身の平均年間収入は420万円であり、母子世帯より高い水準にあるが、300万円未満の世帯も35.2%になっています*6。
*3 厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査」(2016年)
*4 厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査」(2016年)
*5 厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査」(2016年)
*6 厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査」(2016年)、児童のいる世帯については厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」

2.■ ひとり親家庭の自立支援の取組み
((子供の貧困対策に関する大綱のポイント))
「子供の貧困対策に関する大綱」を踏まえ、
①教育の支援、
②生活の安定に資するための支援、
③保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援、
④経済的支援という

4つの柱に沿って、ひとり親家庭等に対し、
・地方公共団体の相談窓口のワンストップ化の推進
・放課後児童クラブ等の終了後にひとり親家庭の子供の生活習慣の習得
・学習支援や食事の提供等を行うことが可能な居場所づくりの実施
・児童扶養手当の機能の充実
・就職に有利な資格の取得を促進する高等職業訓練促進給付金の充実
などの支援を実施しています。

2020(令和2)年に、年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律(令和2年法律第40号)が成立し、児童扶養手当と障害年金の併給調整の方法を見直し、ひとり親の障害年金受給者が、児童扶養手当の額と障害年金の子の加算部分の額との差額を受給できるようにしています(2021(令和3)年3月施行)。

第7節 〇 母子保健医療対策の推進
■ 地域における切れ目のない妊娠・出産支援の強化
地域のつながりの希薄化等から、地域において妊産婦の方やその家族を支える力が弱くなっているとの指摘があります。より身近な場で妊産婦等を支える仕組みが必要であることから、「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」(平成30年法律第104号)に基づき、妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目のない支援の強化を図っていくことが重要です。政府においては、同法に基づき、成育医療等協議会での議論等を踏まえ、2021(令和3)年2月9日に「成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針」を閣議決定しました。

妊婦健康診査については、2013(平成25)年度以降、実施に必要な回数及び項目につき地方財源を確保し、地方交付税措置を講じている。また妊婦健康診査が、子ども・子育て支援法の地域子ども・子育て支援事業の一つに位置づけられたことに伴い、妊婦に対する健康診査の望ましい検査項目や内容等について定めています。

加えて、出産育児一時金制度については2011(平成23)年4月以降、支給額を原則42万円にしています。
2015(平成27)年度から、妊娠期から子育て期にわたるまでの様々なニーズに対して総合的相談支援を提供する子育て世代包括支援センターを立ち上げ、保健師等の専門職が全ての妊産婦等の状況を継続的に把握し、必要に応じて支援プランを作成するとともに、関係機関と連携することにより、妊産婦等に対し切れ目のない支援を提供する体制の構築に向けて取り組んでおり、同センターを法定化する改正母子保健法が2017(平成29)年4月から施行されました。また、2019(令和元)年12月に成立した「母子保健法の一部を改正する法律」(令和元年法律第69号)において、出産後の母子に対して、心身のケア等を行う「産後ケア事業」が法定化され、市町村における同事業の実施が努力義務化されたことを踏まえ、少子化社会対策大綱等において、2024年(令和6)年度末までの同事業の全国展開を目指すこととしています。さらに、特に支援が必要とされる産前・産後の時期において子育て経験者等による相談支援を行う「産前・産後サポート事業」、母体の身体的能や精神状態の把握等を行い、支援へ繋げる「産婦健康診査事業」、身体的・精神的な悩みを有する女性に対する相談指導等や、特定妊婦と疑われる者に対する産科受診等の支援を行う「女性健康支援センター事業」の推進を図っています。

妊娠期・授乳期においては、母子の健康の確保のために適切な食習慣の確立を図ることが重要です。このため、厚生労働省が、妊娠期・授乳期における望ましい食生活の実現に向けて作成した「妊産婦のための食生活指針」は、妊産婦に対する健康診査や各種教室における栄養指導に活用されてきました。同指針作成後の健康や栄養・食生活に関する課題、妊産婦を取り巻く社会状況等の変化を踏まえ、2021年3月に同指針を改定しました。妊娠、出産、授乳等に当たっては、妊娠前からの健康なからだづくりや適切な食習慣の形成が重要であることから、改定後の指針の対象には妊娠前の女性も含むこととし、名称は「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」としました。この指針は、妊娠前からの健康づくりや妊産婦に必要とされる食事内容のほか、妊産婦の生活全般、からだや心の健康等にも配慮した、10項目から構成されます。また、妊娠期における望ましい体重増加量については、「妊娠中の体重増加指導の目安」(令和3年3月8日、日本産科婦人科学会)を参考として示しました。あわせて一般の方を対象としたリーフレットを作成し、普及啓発を行っています。
(つづく)平林

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