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ジョブ・カードの認知状況 | テクノファ

投稿日:2022年3月16日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、今回は能力開発基本調査について、前回の続きから説明します。

キャリアコンサルティングを行う目的については、正社員、正社員以外ともに、「労働者の自己啓発を促すため」(正社員71.1%、正社員以外61.8%)、「労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため」(正社員69.1%、正社員以外62.6%)が多くなっている。
キャリアコンサルタントが行った効果については、「労働者の仕事への意欲が高まった」(正社員52.4%、正社員以外47.2%)、「自己啓発する労働者が増えた」(正社員36.7%、正社員以外32.8%)の割合が高くなっている。
キャリアコンサルタントが行うしくみを導入している事業所のうち、キャリアコンサルティングを行う上で問題があるとする事業所は、「正社員」では66.8%、「正社員以外」では64.5%であった。

問題の内訳をみると、「キャリアに関する相談を行っても、その効果が見えにくい」(正社員43.0%、正社員以外39.9%)、「労働者がキャリアに関する相談をする時間を確保することが難しい」(正社員 36.2%、正社員以外36.6%)、「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」(正社員34.8%、正社員以外41.8%)が多くなっている。
キャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所のうち、事業所で相談を受けているのはキャリアコンサルタントであるかとの問いに対し、「そうである」との回答は10.9%、「そうではない」との回答は72.8%となっている。また、キャリアコンサルティングを行うしくみがない事業所のうち、キャリアコンサルティングを行っていない理由としては、「労働者からの希望がない」(正社員48.2%、正社員以外47.6%)が最も多く、次いで、「キャリアコンサルタント等相談を受けることのできる人材を内部で育成することが難しい」(正社員 33.4%、正社員以外27.6%)が多くなっている。

② ジョブ・カードの認知状況
ジョブ・カードの認知状況は、「内容を含めて知っており活用している」は1.4%、「内容を含めて知っているが活用していない」が18.2%、「名称(言葉)は聞いたことがあるが内容は知らない」が38.0%、「名称(言葉)を聞いたことがなく、内容も知らない」が41.8%と、内容そのものを知らない事業所が多くなっている。ジョブ・カードの活用方法は、「ジョブ・カードを活用した訓練を実施している」が52.9%で最多となり、「ジョブ・カードを労働者の職業能力を評価するためのツールとして利用している」が、24.6%で続いている。

ジョブ・カードについて、内容を含めて知っているが活用していない理由 については、「ジョブ・カードを活用した訓練を実施していない」が 47.1%で最多となり、「ジョブ・カードを活用するメリットが感じられない」 が32.8%で続いている。

③ 労働者の自己啓発に対する支援の実施状況
労働者の自己啓発に対する支援を行っている事業所は79.5%であり、その内訳をみると、「正社員、正社員以外両方支援を行っている」は53.9%、「正社員のみ支援を行っている」は25.3%、「正社員以外のみ支援を行っている」は0.3%であった。一方、「自己啓発に対する支援を行っていない 」とした事業所は20.0%であった。
正社員を雇用する事業所のうち、正社員の自己啓発に対する支援を行っている事業所の割合は79.6%と、前回と比べて減少しているものの、3年移動平均を含めて近年は8割程度で推移しており、大きな変動はうかがえない。正社員以外を雇用する事業所のうち、正社員以外に対して支援を行っている事業所の割合は58.9%と、正社員と比べ低くなっている。3年移動平均でみると、正社員と同様に、近年大きな変動はうかがえない。

自己啓発に対する支援の内容としては、「受講料などの金銭的援助」(正社員77.4%、正社員以外62.6%)が最多となっており、「教育訓練休暇(有給、無給の両方を含む。)の付与」(正社員20.1%、正社員以外16.9%)は少なくなっている。

(4)労働者の職業能力評価について
① 職業能力評価の実施状況
職業能力評価を行っている事業所は51.7%であり、「正社員、正社員以外両方行っている」は31.6%、「正社員のみ行っている」は19.8%、「正社員以外のみ行っている」は0.3%であった。一方、「職業能力評価を行っていない」とした事業所は43.1%であった。

正社員を雇用する事業所のうち、正社員に対して職業能力評価を行っている事業所は51.7%であり、平成22年度調査から平成25年度調査までは60%台、平成26年度調査以降は50%台で推移し、3年移動平均については、平成27年度調査以降では大きな変動はうかがえない。正社員以外を雇用する事業所のうち、正社員以外に対して職業能力評価を行っている事業所は34.7%であり、平成22年度調査から平成25年度調査までは40%台、平成26年度調査以降は平成30年度調査を除いて30%台となり、3年移動平均については、平成27年度以降では大きな変動はうかがえない。

産業別にみると、正社員では「金融業,保険業」(85.8%)、「複合サービス事業」(72.5%)、「学術研究,専門・技術サービス業」(70.1%)が高く、正社員以外でも「複合サービス事業」(73.2%)、「金融業,保険業」(65.6%)が高くなっている。

企業規模別では、「1,000人以上」における実施率が、正社員で62.2%、正社員以外で47.7%と、最も高くなっている。
② 職業能力評価における検定・資格の利用状況
職業能力評価を行っている事業所で、職業能力評価における検定・資格を利用している事業所は57.0%であり、「正社員、正社員以外両方利用している」は20.9%、「正社員のみ利用している」は33.6%、「正社員以外のみ利用している」は2.5%であった。 一方、「職業能力評価における検定・資格を利用していない」とする事業所は42.2%であった。
また、利用している検定・資格については、「国家検定・資格(技能検定を除く)又は公的検定・資格」が75.7%、「民間団体が認定する民間検定・資格」が53.7%、「技能検定」が46.6%、「事業主等が認定する社内検定・資格」が34.5%となっている。
(つづく)A.K

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