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技能の継承について | テクノファ

投稿日:2022年3月17日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、今回は能力開発基本調査について、前回の続きから説明します。

③ 職業能力評価の活用方法
職業能力評価を行っている事業所での職業能力評価の活用方法は、「人事考課(賞与、給与、昇格・降格、異動・配置転換等)の判断基準」( 82.1%)が最多となっており、次いで、「人材配置の適正化」(60.6%)、「労働者に必要な能力開発の目標」(44.7%)と続いている。

④ 職業能力評価に係る取組の問題点
職業能力評価を行っている事業所のうち、職業能力評価に係る取組に問題を感じる事業所は68.3%であり、産業別にみると、「情報通信業」(79.9%)、「医療,福祉」(78.8%)、「生活関連サービス業,娯楽業」(76.1%)、「不動産業,物品賃貸業」(74.5%)、「製造業」(72.7%)、「卸売業,小売業」(71.5%)が高くなっている。一方で、「電気・ガス・熱供給・水道業」(41.6%)が唯一5割を下回っている。
企業規模別では、「50~99人」(71.0%)、「100~299人」(73.6%)、「300~999人」(74.0%)が7割以上と高く、「1,000人以上」(64.2%)が最も低くなっている。
職業能力評価を行っている事業所のうち、職業能力評価に係る取組の問題点の内訳は、「全部門・職種で公平な評価項目の設定が難しい」 (71.2%)が最も高く、次いで、「評価者が評価基準を把握していないなど、評価内容にばらつきが見られる」(43.5.%)となっている。

(5)技能の継承について
技能継承の取組状況
技能継承の取組を行っている事業所の割合は、総数で86.3%となっており、産業別にみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」(95.3%)、「学術研究,専門・技術サービス業」(94.1%)などで9割を超えている。
企業規模別にみると、「300~999人」が91.1%で最多となっており、最も低い「30~49人」(82.2%)でも8割を超えている。
技能継承の取組の内容の内訳をみると、「中途採用を増やしている」(47.9%)が最多となっており、次いで、「退職者の中から必要な者を選抜して雇用延長、嘱託による再雇用を行い、指導者として活用している」(46.6%)、「新規学卒者の採用を増やしている」(31.5%)と続いている。

3 個人調査
(1)能力・スキルについて
① 自信のある能力・スキル
仕事をする上で自信のある能力・スキルがあると回答した割合は、労働者全体で86.6%であり、正社員では90.2%、正社員以外で80.5%となっている。
自信のある能力・スキルの内容については、「チームワーク、協調性・周囲との協働力」が最も多く、正社員が50.6%、正社員以外が58.8%となっている。次いで、「定型的な事務・業務を効率的にこなすスキル」(正社員38.3%、正社員以外42.6%)が多くなっている。また、最も少ない回答は、正社員では「語学(外国語)力」(3.0%)、正社員以外では「専門的なITの知識・能力(システム開発・運用、プログラミング等)」(1.8%)となっている。

② 向上させたい能力・スキル
向上させたい能力・スキルがあると回答した割合は、労働者全体で 91.5%であり、正社員では94.6%、正社員以外では86.1%となっている。
向上させたい能力・スキルの内容については、正社員では「マネジメント能力・リーダーシップ」(39.9%)が最多となっているが、正社員以外では15.5%と、大きな差がみられる。正社員では、次いで、「ITを使いこなす一般的な知識・能力(OA・事務機器操作(オフィスソフトウェア操作など))」( 33.5%)、「課題解決スキル(分析・思考・創造力等)」(27.7%)が続いている。正社員以外では「ITを使いこなす一般的な知識・能力(OA・事務機器操作(オフィスソフトウェア操作など))」(41.1%)が最も多く、次いで、「課題解決スキル(分析・思考・創造力等)」(21.4%)となっている。また、「読み書き・計算等の基礎的素養」が最も少なく、正社員が0.7%、正社員以外が1.4%となっている。

(2)会社を通して受講した教育訓練について
① OFF-JTの受講状況
令和元年度にOFF-JTを受講した「労働者全体」の割合は29.9%であり、「正社員」では37.7%、「正社員以外」では16.4%と、正社員以外の受講率は正社員を大きく下回っている。
男女別に受講率をみると、「男性」の36.5%に対し、「女性」は22.8%と、女性の受講率が低くなっている。

最終学歴別では、「大学(文系)」(34.1%)、「大学(理系)」(44.7%)、「大学院(文系)」(42.0%)、「大学院(理系)」(49.9%)と、大学卒以上の最終学歴の者の受講率が高く、文系より理系の受講率が高くなっている。

年齢別にみると、20歳以上では、「20~29歳」(37.3%)、「30~39歳」(33.3%)、「40~49歳」(30.0%)、「50~59歳」(28.8%)、「60歳以上」(15.4%)と、年齢が高くなるほど受講率が低くなっている。

産業別に受講率をみると、正社員では、「学術研究,専門・技術サービス業」(48.7%)、「情報通信業」(48.4%)が高く、一方で、「複合サービス事業」(22.8%)、「生活関連サービス業,娯楽業」(23.6%)が低くなっている。正社員以外では、「学術研究,専門・技術サービス業 」が33.1%と、唯一3割を超える受講率となっており、最も受講率が低いのは、「情報通信業」の8.8%となっている。

企業規模別の受講率では、正社員では、「300~999人」が45.3%、「1,000人以上」が43.8%と、規模が大きい企業での受講率が高い。一方で、正社員以外では、「50~99人」(18.2%)、「100~299人」(17.5%)、「300~999人」(15.5%)、「1,000人以上」(17.1%)で、企業規模による大きな差はみられない。
(つづく)A.K

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