キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について説明していますが、今回は能力開発基本調査について、前回の続きから説明します。
② OFF-JTを受講した者の延べ受講時間
令和元年度にOFF-JTを受講した者の延べ受講時間では、労働者全体でみると、「5時間未満」が24.6%、「5時間以上10時間未満」が28.0%と、10時間未満の者が全体の2分の1以上を占めている。正社員と正社員以外を比較すると、「5時間未満」の割合については、正社員(19.0%)に対して正社員以外(47.4%)がかなり高くなっている。また、正社員以外については、10時間未満の者が、全体の4分の3以上を占めている。
平均延べ受講時間(推計) でみると、労働者全体では20.3時間であり、正社員(22.7時間)に対して正社員以外(10.4時間)が少なくなっている。
男女別にみると、「男性」(23.1時間)に比べ、「女性」(15.1時間)が少なくなっている。
最終学歴別では、「大学(文系)」(21.4時間)、「大学(理系)」(27.1時間)、「大学院(文系)」(22.8時間)、「大学院(理系)」(30.4時間)の大学卒以上の者が20時間を上回っており、文系よりも理系の方が多くなっている。
年齢別にみると、「20歳未満」(37.3時間)、「20~29歳」(30.9時間)、「30~39歳」(21.7時間)、「40~49歳」(17.7時間)、「50~59歳」(13.8時間)、「60歳以上」(12.7時間)と、年齢階級が高くなるほど受講時間が少なくなっている。
③ 受講したOFF-JTの役立ち度
講したOFF-JTの役立ち度をみると、正社員では「役に立った」が46.6%、「どちらかというと役に立った」が48.3%であり、肯定的意見(94.9%)が多くを占めている。正社員以外についても「役に立った」が51.2%、「どちらかというと役に立った」が43.1%と、肯定的意見(94.3%)が多くを占めている。
(3)自己啓発について
① 自己啓発の実施状況
令和元年度に自己啓発を行った者は、「労働者全体」では32.1%であり、「正社員」で41.4%、「正社員以外」で16.1%と、正社員以外の実施率が低くなっている 。
男女別にみると、「男性」は39.9%、「女性」は23.6%と、女性の実施率が低くなっている。
最終学歴別では、「中学・高等学校・中等教育学校」(21.8%)、「専修学校・短大・高専」(26.8%)、「大学(文系)」(43.3%)、「大学(理系)」(48.7%)、「大学院(文系)」(65.2%)、「大学院(理系)」(67.6%)と、大学院卒での実施率が高く、文系よりも理系の方が高くなっている 。
年齢別にみると、20歳以上では、「20~29歳」(39.1%)、「30~39歳」(37.7%)、「40~49歳」(31.6%)、「50~59歳」(29.9%)、「60歳以上」(18.5%)と、年齢階級が高くなるほど受講率が低くなっている。
産業別にみると、正社員では、「金融業,保険業」(64.5%)が最も高く、「複合サービス事業」(24.3%)が30%未満と最も低くなっている。正社員以外では、最も高い「学術研究,専門・技術サービス業」(34.7%)でも30%台であり、最も低い「宿泊業,飲食サービス業」では10.0%となった。
企業規模別では、正社員、正社員以外ともに、規模が大きくなるに従って実施率が高くなっており、正社員については、300人以上の規模では、それぞれ5割以上の者が自己啓発を実施したと回答した。
② 自己啓発の実施方法
自己啓発の実施方法は、正社員では 「eラーニング(インターネット)による学習」を挙げる者の割合が37.0%で最も高く、次いで、「ラジオ、テレビ、専門書等による自学、自習」(34.7%)、「社内の自主的な勉強会、研究会への参加」(24.0%)、「社外の勉強会、研究会への参加」(20.8%)となっている。正社員以外においても、「eラーニング(インターネット)による学習 」(36.6%)を挙げる割合が最も高く、以下、正社員と同様に、「ラジオ、テレビ、専門書等による自学、自習」(33.1%)、「社内の自主的な勉強会、研究会への参加」(26.1%)が続いている。また、「社内の自主的な勉強会、研究会への参加」(正社員24.0%、正社員以外26.1%)、「高等専門学校、大学、大学院の講座の受講」(正社員1.9%、正社員以外2.9%)では、正社員以外が正社員を上回っている。
③ 自己啓発を行った者の延べ実施時間
令和元年度に自己啓発を行った者の延べ実施時間では、労働者全体でみると、「5時間未満」が14.1%、「5時間以上10時間未満」が18.1%、「10時間以上20時間未満」が18.9%と、20時間未満の者が全体の2分の1以上を占めている。正社員と正社員以外を比較すると、「5時間未満」の割合は、「正社員」(12.2%)に対して「正社員以外」(23.0%)が高くなっている。
自己啓発を行った者の平均延べ自己啓発実施時間(推計)をみると、「労働者全体」では40.7時間であり、「正社員」の41.8時間に対して、「正社員以外」は35.8時間と少なくなっている。
男女別では、「男性」は43.3時間、「女性」は35.7時間と、女性が少なくなっている。
最終学歴別にみると、「中学・高等学校・中等教育学校」(30.4時間)、「専修学校・短大・高専」(33.5時間)、「大学(文系)」(45.2時間)、「大学(理系)」(48.0時間)、「大学院(文系)」(92.6時間)、「大学院(理系)」(51.0時間)と、大学卒以上がより多く、その中で「大学院(文系)」が最多となっている。
年齢別では、「20歳未満」(35.6時間)、「20~29歳」(43.6時間)、「30~39歳」(43.7時間)、「40~49歳」(39.4時間)、「50~59歳」(39.1時間)、「60歳以上」(31.3時間)と、20代、30代で多くなっている。
(つづく)A.K