実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 150 | テクノファ

投稿日:

新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にもこのキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。

10.治療と仕事の両立支援の推進
病気の治療を行いながら仕事をしている労働者は、労働人口の3人に1人を占めます。また、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づく一般健康診断における有所見率は年々増加を続けています。労働力の高齢化が進む中で、職場において、病気を抱えた労働者の治療と仕事の両立への対応が必要となる場面は更に増えることが予想されます。
このため、事業者が、がん、脳卒中などの疾病を抱える労働者に対して、適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、労働者が治療と仕事を両立することができるようにするための取組みなどをまとめた「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」を 2016(平成28)年2月に策定(2019年(平成31年) 3月改訂)し、その普及や企業等に対する各種支援を行っています。
また、「働き方改革実行計画」に基づき、主治医、会社・産業医と、患者に寄り添う両立支援コーディネーターによる治療と仕事の両立に向けたトライアングル型のサポート体制の構築などを推進することとしており、 両立支援コーディネーターの育成・配置や、主治医、会社・産業医が効果的に連携するためのマニュアルなどの作成・普及に取り組んでいます。さらに、使用者団体、労働組合、都道府県医師会、都道府県衛生主管部局、地域の中核の医療機関、都道府県産業保健総合支援センター、 労災病院などで構成される「地域両立支援推進チーム」 を各都道府県労働局に設置し、地域の実情に応じた両立支援の促進に取り組んでいます。

11.柔軟な働き方がしやすい環境整備
(1)雇用型テレワークの普及促進
企業等に雇用される労働者が行ういわゆる雇用型テレワークについては、ウィズコロナ・ポストコロナの「新たな日常」、「新しい生活様式」に対応した働き方として、適切な労務管理下における良質なテレワークの導入・実施を進めていくことができるよう、2021(令和3)年3月に改定した「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」について、周知を図っています。そのほか、テレワーク導入を検討する民間企業等に対する専門家による無料の個別コンサルティング、テレワークによる働き方の実態やテレワーク人口の定量的な把握等を行いました。また、テレワーク相談センターでの相談対応やコンサルティングの実施、国家戦略特別区域制度を活用し、東京都と連携して設置した「東京テレワーク推進センター」による導入支援、事業主を対象としたセミナーの開催、テレワーク普及拡大の担い手育成のためのテキストブックの作成及び講習会開催、テレワークに先駆的に取り組む企業等に対する表彰の実施、テレワーク導入経費に係る支援等により、適正な労務管理下における良質な雇用型テレワークの普及を図りました。

(2)自営型テレワークの就業環境整備
請負等により自宅等で働くいわゆる自営型テレワークについては、クラウドソーシングの普及に伴うトラブルなどの実態を把握した上で2018(平成30)年2月に改定した「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」の周知セミナーの開催など、周知徹底を図っています。併せて、自営型テレワークに関する総合支援サイト「ホームワーカーズウェブ」において、自営型テレワーカーや発注者に対し、有益な情報を提供しています。

(3)副業・兼業の環境整備
副業・兼業については、副業・兼業を希望する方が近年増加傾向にある一方、副業先での労働時間を把握し、自社での労働時間と通算管理することが困難であるとして、副業・ 兼業を認めない企業が一定程度ありました。
このため、副業・兼業の場合の労働時間管理及び健康管理について、2020(令和2)年9月1日に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定し、労働者の申告等による副業先での労働時間の把握や簡便な労働時間管理の方法を示すなど、ルールを明確化しました。また、第201回通常国会において2020年3月に成立した「雇用保険法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第14号)により労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50 号)が改正され、複数就業者のセーフティネットの整備に係る規定が同年9月1日に施行されました。
企業も労働者も安心して副業・兼業を行うことができる環境を整備するため、ガイドラインのわかりやすいパンフレットや、労働時間の申告の際に活用できる様式例などを作成し、丁寧に周知を行っています。

12.多様な正社員等の普及促進等
労働者一人ひとりのワーク・ライフ・バランスと、企業による優秀な人材の確保や定着の実現のため、職務、勤務地、労働時間を限定した「多様な正社員」制度の普及・拡大に向け、オンラインセミナーを開催するとともに、「多様な正社員」制度を導入している企業の取組事例を収集し、周知を行いました。 また、「多様な正社員」制度の一類型である短時間正社員制度については、所定労働時間が短いながら正社員として適正な評価と公正な待遇が図られた働き方であり、育児・介護や地域活動など個々人のライフスタイルやライフステージに応じた働き方を実現させるものとして期待されています。
短時間正社員制度の導入・定着を促進するため、制度導入・運用支援マニュアルや 「パート・有期労働ポータルサイト」により、制度の概要や取組み事例等についての周知を行いました。
併せて、キャリアアップ助成金において、勤務地限定正社員制度や職務限定正社員制度を新たに導入し、対象労働者を転換した企業に対し、助成額の加算を行い、一層の制度普及の促進を図りました。
なお、規制改革実施計画(令和元年6月21日閣議決定)において、2020(令和2)年度中に多様な正社員の雇用ルールの明確化について検討を開始することとされたこと等を踏まえ、2021(令和3)年3月から「多様化する労働契約のルールに関する検討会」において、多様な正社員の雇用ルールの明確化等について検討を進めています。*14
*14 当検討会では、無期転換ルールの見直し等についても検討を行っています(4頁参照)。

第2節 人材確保対策の推進や労働生産性の向上等による労働環境の整備
1.労働生産性向上のための雇用関係助成金の見直し
(1)雇用関係助成金の見直し
雇用保険二事業に係る保険料を原資として事業主に支給される雇用関係助成金について、事業主が行う雇用安定を支援、促進するものとなるよう、新たなニーズに対応した助成金を新設する一方で、政策的に類似のものを統合するとともに、利用率が低いものを廃止するなど、必要な見直しを行っています。

(2)労働関係助成金における生産性要件の設定等
雇用環境の改善や、職業能力開発の向上等に取り組む企業を支援するための労働関係助成金に設けられた生産性要件について、生産性向上の取組結果を重視した助成となるよう順次見直しを行っています。また、生産性要件を設定している多くの助成金について、その要件の判定に当たっては、金融機関と連携し、「事業性評価」の結果も参考とすることとしています。労働生産性が向上することで、更に企業が働く方の処遇の改善や人材育成への投資を図ることが期待されています。 なお、経済上の理由により事業を縮小等せざるを得ない企業への助成金や、就職が困難な方々の就労支援のための助成金等の一部の助成金については、生産性要件の対象外としています。

2.労働移動支援施策の推進
(1)労働移動支援助成金を活用した企業の再就職支援の実施
人生100年時代に向けて、高齢者、女性、不安定就労者なども含めた様々な立場の方が、個々の事情に応じて多様で柔軟な働き方を選択できるよう、労働移動の円滑化を図るため、「年齢にかかわりない転職・再就職者の受入れ促進のための指針」の策定や、「中途採用・経験者採用協議会」の開催を通じた中途採用に積極的な企業の好事例の共有、転職・再就職支援のための助成金の支給等を進めています。転職・再就職支援のための助成金については、2018(平成30)年度は、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者等を早期に雇い入れた事業主に対して助成する「労働移動支援助成金早期雇入れ支援コース」等において、成長企業が転職者を受け入れて行う能力開発や賃金アップに対する助成を行うとともに、「労働移動支援助成金中途採用拡大コース」において、中途採用者の雇用管理制度を整備した上でその採用を拡大させた企業への助成を行うことにより、成長企業への労働移動の促進に取り組みました。なお、「労働移動支援助成金中途採用拡大コース」については、2019(令和元)年度より「中途採用等支援助成金中途採用拡大コース」として実施しています。
また、2020(令和2)年度は「中途採用等支援助成金中途採用拡大コース」において、中途採用率の拡大を実施した事業主で、これまで中途採用を行ったことのない事業主に対しての上乗せ助成を創設するなどの制度の見直しを行いました。
加えて、成長戦略実行計画(令和元年6月21日閣議決定)に基づき、労働政策審議会における議論を行い、大企業に対し、中途採用比率の公表を義務付けることを求めること等を盛り込んだ、労働施策総合推進法改正法案を令和2年通常国会に提出し、同年3月31日に成立・公布しました(令和3年4月1日施行)。

3.雇用管理改善による「魅力ある職場づくり」の推進
雇用創出の中核的な担い手である中小企業等では採用意欲がありながら人材が確保できない等の雇用管理上の課題を抱えており、人材不足が顕著となっています。この解消のためには、現在就業している従業員の職場定着を高めるなど、雇用管理改善の取組みを通じた、「魅力ある職場づくり」を推進する必要があります。
このため、事業主が就業規則や労働協約の変更による雇用管理制度の導入を通じて従業員の離職率を低下させた場合や、事業主が生産性向上に資する人事評価制度を整備して生産性の向上、賃金アップ及び離職率低下を実現した場合等について雇用関係助成金により支援しています。
なお、こうした助成は、2018(平成30)年度から、雇用管理改善に資する助成金を整理統合して、「人材確保等支援助成金」として実施しています。
建設業に関しては、2021(令和3)年度からの5か年計画である「第10次建設雇用改善計画」を策定しています。若者が展望をもって働ける魅力ある職場づくりの推進を課題とし、若年者等の建設業への入職・定着促進による担い手の確保・育成、魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備、職業能力開発の促進、技能継承を最重点事項として、施策を実施しています。

4.最低賃金・賃金の引上げ等の支援の強化
厚生労働省では、最低賃金・賃金引上げに向けた生産性向上支援として、以下の支援策*15を講じています。
①事業場内で最も低い時間給の労働者の賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資などを行った中小企業・小規模事業者に対し、その設備投資などに要した費用の一部を助成しています。
【好事例:繊維製品製造業】
生産の効率化や品質の向上、働きやすさの向上などを図るため、新型電子ミシンを導入することにより、縫製作業の効率化を図り、従業員の賃上げを行いました。
②生産性を高めながら労働時間の縮減等に取り組み中小企業・小規模事業者や、傘下企業の労働時間短縮や賃上げに向けて生産性向上に資する取組みを行った中小企業団体に対し、その取組みに要した費用を助成しました。
③労務相談や経営管理に関する相談にワンストップで対応する「働き方改革推進支援センター」を47都道府県に設置し、労務管理の専門家による無料相談やセミナー等を実施しました。
④非正規雇用で働く方の処遇改善等を行った場合に助成しました。
⑤生産性向上に資する人事評価制度と賃金制度を整備し、生産性向上、賃金アップ及び離職率低下を実現した場合に助成しました。
⑥最低賃金引上げの影響が大きい業種をはじめとして、収益力向上等を目的とした、最低賃金制度や最低賃金引上げに向けた各種助成金の紹介、経営に関する専門家による無料個別相談等を行う「稼ぐ力」応援チームセミナーを全国で実施しました。
*15 最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者支援事業: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/index.html
(つづく)平林

-実践編・応用編

執筆者:

関連記事

キャリアコンサルタント実践の要領 199 | テクノファ

テクノファは、あなた自身が輝いて働く(生きる)ためのトレーニング・講座をご提供しています。何よりも、自分の人生を自分で計画し切り開いていく、そのための自分自身が、何になりたいのか? そもそも自分は何者なのか? どうやったらなりたいものになれるのか。一つ一つを明確にすることで、地面が揺らいだときにも、急に会社の方針が変わったとしても、しっかりと地面をつかむことができ、自分の働き方をつかむことができるのです。常に成長し変化している人の成長を支援することがキャリア開発支援です。 キャリアのカウンセリング・コンサルティング・ガイダンスや、キャリア教育、人材育成など、人の成長にかかわっている方々や、部下 …

キャリアコンサルタント実践の要領 204 | テクノファ

新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。 2 国民健康づくり運動の展開 がん、循環器疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの生活習慣病は、日本人の死因の約5割を占めるなど、日本人の健康にとって大きな課題となっています。また、死亡のリスク要因を見てみると、喫煙・高血圧・運動などの個人 …

キャリアコンサルタント実践の要領 46 | テクノファ

我々が学習し国家試験に合格しようとしているキャリアコンサルタントの資格に関する法的根拠は「職業能力開発促進法」によりますが、この法改正は2015年改正の「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律」の後に改正されました。 キャリアコンサルタントとして自分たちの資格の法的根拠は大切にしなければならないとの見地から前回45に続き「職業能力開発促進法」を紹介します。 (つづき) (報告等) 第三十条の十七厚生労働大臣は、資格試験業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、登録試験機関に対して資格試験業務に関し必要な報告を求め、又はその職員に、登録試験機関の事務所に立ち入り、資格試験業務の状況 …

キャリアコンサルタント実践の要領 55 | テクノファ

このコーナーは、テクノファキャリアコンサルタント養成講座を卒業され、現在日本全国各地で活躍しているキャリアコンサルタントの方からの近況や情報などを発信しています。今回はM.Iさんからの発信です。 「キャリア・カウンセリングの役目」 キャリアコンサルタントとして、求職者、企業の管理者、従業員の方々を対象にしたキャリア・カウンセリングを実施することが増えています。それぞれの方々の「仕事のこと」や「働くこと」についてお聴きする中で、キャリアコンサルタントとしての役割について色々考える場面があります。 また、職業訓練指導員講習【48時間講習】や導入レベルのキャリアコンサルティング講習で講師を担当する際 …

キャリアコンサルタント実践の要領 189 | テクノファ

新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。 5 性感染症対策について 性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、梅毒、淋菌感染症(以下「性感染症」といいます。)は、性的接触を介して誰もが感染する可能性があり、生殖年齢にある男女を中心とした大きな健康問題です。特に梅毒 …