実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 151 | テクノファ

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新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にもこのキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。

5.成長分野などでの人材育成の推進
(ハロートレーニングについて)
(1)成長分野・ものづくり分野での離職者訓練や在職者訓練の推進
離職者を対象としたハロートレーニング(公的職業訓練)として、
①(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構と都道府県の運営する公共職業能力開発施設を実施主体として、主に雇用保険受給者を対象に職業に必要な知識や技能を習得させることによって再就職を容易にするための「公共職業訓練」のほか、
②民間教育訓練機関を実施主体として、雇用 保険を受給できない求職者の早期就職を支援するため、厚生労働大臣が認定する「求職者 支援訓練」を実施しています。介護、医療、情報通信など今後成長が見込まれる分野を中心に、専修学校、大学・大学院、企業や特定非営利活動法人を含む民間教育訓練機関を積極的に活用し、多様な人材ニーズに応じた訓練機会を提供するとともに、公共職業能力開発施設では、主にものづくり分野における公共職業訓練を実施しています。

また、公共職業能 力開発施設において、在職中の労働者を対象に、技術革新、産業構造の変化などに対応する高度な技能や知識を習得させるための在職者訓練を実施しています。2019(令和元)年度においては、離職者訓練については、公共職業訓練で約10.4万人、求職者支援訓練で約2.1万人に対して訓練を実施したところです(2020(令和2)年3 月末時点)。2021年度は、公共職業訓練で約17.1万人、求職者支援訓練で約5.1万人が訓練を受講できるように措置しています。

なお、2016(平成28)年11月に公的職業訓練の愛称・ キャッチフレーズを公募により「ハロートレーニング~ 急がば学べ~」に決定し、2017(平成27)年10月にハ ロートレーニングのロゴマークを決定しました。決定した愛称・キャッチフレーズ等の定着や、制度の更なる活用の促進に取り組むこととしています。

(2)ものづくり立国の推進
(「ものづくりマイスター」の企業派遣による実施指導の具体事例)
1.熟練技能者を活用した技能継承、技能尊重気運の醸成等
若者のものづくり離れ・技能離れが見られる中、業界団体等を活用した技能継承に取り組んできたところであるが、2013(平成25)年度から若年技能者人材育成支援等事業を創設し、若年技能者が技能を向上させる、あるいは、若者が進んで技能者を目指す環境の整備等に取り組んでいます。 若年技能者人材育成支援等事業においては、ものづくりに関して優れた技能・経験を有する「ものづくりマイスター」*16が企業、業界団体、教育訓練機関において、若年技能者への実技指導を行い、効果的な技能向上及び後継者の育成を行っています。

また、将来のIT人材育成に向けて、IT技術を活用した生産性向上等に関する知識・技能をもつ技能者である「テックマイスター」が中小企業等において、従業員等に生産性向上等に係る実技指導を行っているほか、情報技術関連の優れた技能をもつ技能者である「ITマスター」が学校等において、情報技術に関する興味を喚起する講習等を行っています。

さらに、技能者を活用した技能習得のための情報の提供等を行うとともに、地域における技能尊重気運の醸成を図るため、各種技能振興イベントの開催、優れた技能士が作成した商品等に表示するロゴマーク(グッドスキルマーク)の認定・普及及び地域で行われている技能振興に資する地域独自の取組みや制度を「地域発!いいもの」として選定し広く国民へ周知するなど、地域関係者の創意工夫による取組みを推進しています。

なお、2020(令和2)年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、これらの多 くの取組みが中止となりましたが、感染防止対策を徹底した上での実施や、リモートによる実 技指導が行われました。
*16「ものづくりマイスター」を紹介したホームページ https://monozukurimeister.mhlw.go.jp/mm/mm/contents/home/

2.各種技能競技大会等の推進*17
(各種技能競技大会の概要)
技能者に技能向上の目標を与えることにより、効果的な技能習得意欲の向上、ものづくり分野の裾野の拡大や技能者の社会的評価の向上を図るとともに、若年者を始めとした国民各層に技能の素晴らしさ、重要性をより深く浸透させることにより技能尊重気運の醸成を図るため、以下の技能競技大会について、実施及び参加を行っています。
①若年者ものづくり競技大会
職業能力開発施設、工業高等学校等において技能を習得中の若年者(原則20歳以下)で、企業等に就職していない者を対象に、技能競技を通じ、これらの若年者に目標を付与し、技能を向上させることにより就業促進を図り、併せて若年技能者の裾野の拡大を図ることを目的として実施する大会です。

2005(平成17)年から実施しており、2008(平成20)年からは毎年開催しています。 2020年は、広島県で第15回若年者ものづくり競技大会を全15職種の競技により開催する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、中止となりました。
②技能五輪全国大会
国内の青年技能者(原則23歳以下)を対象に技能競技を通じ、青年技能者に努力目標 を与えるとともに、技能に身近に触れる機会を提供するなど、広く国民一般に対して技能の重要性、必要性をアピールし、技能尊重気運の醸成を図ることを目的として実施する大会です。1963(昭和38)年から毎年実施しています。
2020年11月に、愛知県の愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)を主会場として、第58回技能五輪全国大会を開催し、全40職種の競技に全国から944人の選手が参加しました。なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、無観客での開催となったが、開閉会式及び競技についてライブ配信を行いました。
*17 各種技能競技大会を紹介したホームページ ①若年者ものづくり競技大会 https://www.javada.or.jp/jyakunen20/index.html ②技能五輪全国大会 https://www.javada.or.jp/jigyou/gino/zenkoku/index.html ③技能五輪国際大会 https://www.javada.or.jp/jigyou/gino/kokusai/index.html ④技能グランプリ https://www.javada.or.jp/jigyou/gino/ginogpx/index.html

③技能五輪国際大会
青年技能者(原則22歳以下)対象に、技能競技を通じ、参加国・地域の職業訓練の振興及び技能水準の向上を図るとともに、国際交流と親善を目的として開催される大会です。1950(昭和25)年に第1回が開催され、1973(昭和48)年から原則2年に1回開催されており、我が国は1962(昭和37)年の第11回大会から参加しています。

直近では、2019(令和元)年8月にロシア連邦・カザンで第45回技能五輪国際大会が開催されました。日本選手は、42職種の競技に参加し、「情報ネットワーク施工」、「産業機械組立て」の2職種で金メダルを獲得したほか、銀メダル3個、銅メダル6個、敢闘賞17 個の成績を収めました。金メダル獲得数の国・地域別順位は、第7位でした(第1位中国 (16個)、第2位ロシア(14個)、第3位韓国(7個))。

次回は2021(令和3)年9月に中国・上海での開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により1年程度の延期が決定されました。

④技能グランプリ
特に優れた技能を有する1級技能士等を対象に、技能競技を通じ、技能の一層の向上を図るとともに、その熟練した技能を広く国民に披露することにより、その地位の向上と技能の振興を図ることを目的として実施する大会です。1981(昭和56)年度から実施しており、2002(平成14)年度からは2年に1回開催しています。 2021年2月に、愛知県の愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)を主会場として第31 回技能グランプリを開催し、全28職種の競技に全国から344人の選手が参加しました。なお、 新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、無観客での開催となりましたが、開閉会式及び競技についてライブ配信を行いました。

6.職業生涯を通じたキャリア形成支援の一層の推進
(1)企業に対する職業能力開発への支援
人材開発支援助成金*18については、労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を効果的に促進するため、事業主等が雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成しています。

(2)職業能力評価基準の整備・活用促進
職業能力が適正に評価されるための社会基盤として、職業能力を客観的に評価する「職業能力評価基準*19」の策定に、2002(平成14)年から取り組んできた。この職業能力評価基準は、業種横断的な経理・人事等の事務系職種のほか、電気機械器具製造業やホテル業など業種別に策定しています。

(キャリアマップ ~スーパーマーケット業~)
主に人材育成に活用できるツールとして、職業能力評価基準を基にキャリア形成の過程をモデル化した「キャリアマップ」を作成しました。

(職業能力評価シート ~スーパーマーケット業~)
職業能力を簡易にチェックできる「職業能力評価シート」を、スーパーマーケット業やビルメンテナンス業などの業種別に作成しています。
2020(令和2)年度は、職業能力評価基準の活用に係るセミナーをオンラインで実施しました。
*18 人材開発支援助成金の詳細を紹介したホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
お問い合わせ先(事業所の所在地を管轄する都道府県労働局) https://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/madoguchi.html
*19 職業能力評価基準、キャリアマップ、職業能力評価シートの詳細を紹介したホームページ 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/ability_skill/syokunou/index. html

(3)技能検定制度の整備
(試験実施内容の詳細)
(試験実施内容の一例
「技能検定制度*20」は、労働者の有する技能の程度を検定し、これを公証する国家検定制度であり、技能検定に合格した者は、「技能士」と称することができる。職業能力開発 促進法に基づき1959(昭和34)年から実施され、ものづくり労働者を始めとする労働者の技能習得意欲を増進させるとともに、労働者の社会的地位の向上に重要な役割を果たしています。

( 受検申請者数の推移)
技能検定は、2021(令和3)年4月1日現在で、130職種について実施しており、 2019(令和元)年度には全国で約87万人の受検申請があり、約36万人が合格し、技能検定制度開始からの累計で延べ約734万人が技能士となっています。 ただし、2020(令和2)年度は、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、一部の 試験が中止となりました。

なお、若者が技能検定を受検しやすい環境を整備するため、2級と3級の実技試験を受検する35歳未満の者に対して、最大9,000円を支援する措置を実施していま。
*20 検定制度の詳細を紹介したホームページ 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/ability_skill/ginoukentei/index.html

(4)社内検定認定制度
社内検定認定制度は、職業能力の開発及び向上と労働者の経済的社会的地位の向上に資するため、事業主等が、その事業に関連する職種について雇用する労働者の有する職業能力の程度を検定する制度であって、技能振興上奨励すべき一定の基準を満たすものを厚生労働大臣が認定する制度です。
2021(令和3)年4月1日現在、48事業主等120職種が認定されており、認定を受けた社内検定については、「厚生労働省認定」と表示することができます。

7.国と地方自治体が連携した雇用対策の推進
憲法に定められた勤労権の保障のため、全国ネットワークを通じて、職業相談・職業紹介、雇用保険制度の運営、雇用対策を一体的に実施し、セーフティネットとしての役割を果たす国と、地域の抱えるそれぞれの課題について、無料職業紹介事業(地方版ハローワーク)を含む各種の雇用対策を独自に実施する地方自治体が、それぞれの強みを活かし、相乗効果を発揮しながら一体となって雇用対策を行うことで、住民サービスの更なる強化を目指すことが重要です。

国と地方自治体との連携をより強固にするため、国と地方自治体による「雇用対策協定」の締結が進んでいます。2020(令和2)年度には、新たに7市と締結し、2021(令和 3)年3月末現在、213自治体となりました。またハローワークが行っている無料職業紹介と、地方自治体が行っている福祉に関する相談等を、共同運営施設においてワンストップで実施する取組み(「一体的実施事業」)を進めています(2021年3月末日現在、33道府県150 市区町)。

さらに、2014(平成26)年9月より、ハローワークが保有する求人情報を、地方自治体や民間人材ビジネス等にオンラインで提供する取組みを開始するとともに、2016(平成28)年3月22日からハローワーク求職情報の提供サービスを開始しました。2020年1月6日からは両サービスを統合し、求人・求職情報提供サービスとして運用しています。
(つづく)平林

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