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社会保障制度を支える社会保険 | テクノファ

投稿日:2022年4月1日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、社会保障に関して必要な知識、資料などについて前回の続きから説明します。

(社会保障制度を支える社会保険について)
社会保険とは一般的に、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の総称です。(会社員を対象とする健康保険、厚生年金保険の2つを社会保険と呼ぶこともあります)
社会保険に含まれる各保険について次に説明します。
〇雇用保険制度
ハローワークインターネットサービス
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_summary.html

厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147331.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000134526.html
より引用して説明します。

■雇用保険制度の概要
雇用保険は政府が管掌する強制保険制度で、労働者を雇用する事業は、原則として強制的に適用される。
雇用保険は、
① 労働者が失業してその所得の源泉を喪失した場合、労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合及び労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合及び労働者が子を養育するための休業をした場合に、生活及び雇用の安定並びに就職の促進のために失業等給付及び育児休業給付を支給

② 失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図るためのニ事業を実施する、雇用に関する総合的機能を有する制度です。

(雇用保険制度の概要)
■雇用保険
失業等給付
〇求職者給付
・一般被保険者に対する求職者給付
・基本手当
・技能習得手当
受講手当
通所手当
・寄宿手当
・傷病手当
・高年齢被保険者に対する求職者給付
・高年齢求職者給付金
・短期雇用特例被保険者に対する求職者給付
・特例一時金
・日雇労働被保険者に対する求職者給付
・日雇労働求職者給付金
〇就職促進給付
・就業促進手当
再就職手当
就業促進定着手当
就業手当
常用就職支度手当
・移転費
・求職活動支援費
広域求職活動費
短期訓練受講費
求職活動関係役務利用費
〇教育訓練給付
・教育訓練給付金
〇雇用維持給付
・高年齢雇用継続給付
・介護休業給付

(育児休業給付)
・育児休業給付金

(雇用保険二事業)
〇雇用安定事業
〇能力開発事業

■事業主は
雇用保険法に基づき、適用基準を満たす労働者について、事業主や労働者の意思に関係なく、被保険者となった旨を公共職業安定所に届け出なくてはなりません。この被保険者資格取得の届出が適正になされていないと、労働者の方が失業した場合などに支給される給付について、不利益を被る事態を生じることがあります。
このような事態を生じさせないよう、新たに労働者を雇い入れた場合には、雇用保険の被保険者資格取得の届出を事業所の所在地を管轄する公共職業安定所に必ず行ってください。

■雇用保険の適用
|趣旨 労働者を一人でも雇っていれば、雇用保険の加入手続が必要です。
雇用保険においては、労働者を雇用する事業は、その業種、規模等を問わず、すべて適用事業であり、当然に雇用保険の適用を受け、また、適用事業に雇用される労働者は雇用保険の被保険者となります。
|被保険者の範囲 雇用保険が適用となる「雇用される労働者」とは、雇用関係によって得られる収入によって生活する者をいいます。
|適用基準及び加入手続 次の(1)及び (2)のいずれにも該当するときは、雇用保険の被保険者となりますので、事業主は必ず「雇用保険被保険者資格取得届」を事業所の所在地を管轄する公共職業安定所に、被保険者となった日の属する月の翌月10日までに提出してください。
(1)31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。具体的には、次のいずれかに該当する場合をいいます。
・期間の定めがなく雇用される場合
・雇用期間が31日以上である場合
・雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
・雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合
(2)1週間の所定労働時間が20 時間以上であること。
改正雇用保険法施行により、令和4年1月より、65歳以上の労働者本人の申出を起点として、一の雇用関係では被保険者要件を満たさない場合であっても、二の事業所の労働時間を合算して雇用保険を適用する制度が試行的に開始されました。
2022年1月の改正雇用保険法の施行により、65歳以上の副業者であっても、労働時間を合算して週20時間以上であれば、雇用保険に加入できるようになりました。
|被保険者の種類
雇用保険の被保険者には、雇用されている労働者の雇用形態、所定労働時間及び年齢などにより、次の一般被保険者、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者の4つの種類があり、この被保険者の種類によって失業した場合の給付が異ることとなります。

①一般被保険者
下記の②高年齢被保険者、③短期雇用特例被保険者及び④日雇労働被保険者以外の者をいいます。
②高年齢被保険者
65歳に達した日以後の日において雇用されている者(③短期雇用特例被保険者又は④日雇労働被保険者を除きます)のことをいいます。
③短期雇用特例被保険者
被保険者である、季節的に雇用される者又は短期の雇用に就くことを常態とする者のことをいいます。
④日雇労働被保険者
被保険者である日雇労働者のことをいいますが、被保険者となる日雇労働者は、
1:適用区域内に居住しており、適用事業に雇用される者
2:適用区域外に居住しているが、適用区域内の適用事業に雇用される者
3:厚生労働大臣の指定する適用区域外の適用事業に雇用される者
に限定されます。
(つづく)A.K

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