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雇用保険の被保険者の方の基本手当 |テクノファ

投稿日:2022年4月2日 更新日:

キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、社会保障に関して必要な知識、資料などについて前回の続きから説明します。

■雇用保険給付
|基本手当
基本手当とは雇用保険の被保険者の方が、定年、倒産、契約期間の満了等により離職し、失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探し、1日も早く再就職していただくために支給されるものです。
雇用保険の一般被保険者に対する求職者給付の基本手当の所定給付日数は、受給資格に係る離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間及び離職の理由などによって決定され、90日~360日の間でそれぞれ決められます。
特に倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた受給資格者(特定受給資格者)及び、特定受給資格者以外の者であって期間の定めのある労働契約が更新されなかったことにより離職した者(特定理由離職者)については一般の離職者に比べ手厚い給付日数となる場合があります。

|就職促進給付
就職促進給付とは雇用保険の失業等給付の就職促進給付のうち「就業促進手当」として、「再就職手当」、「就業促進定着手当」、「就業手当」などがあります。
その概要は以下のとおりです。

・・・再就職手当について
再就職手当は、基本手当の受給資格がある方が安定した職業に就いた場合に基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給されます。

・・・就業促進定着手当について
就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた人が、引き続きその再就職先に6か月以上雇用され、かつ再就職先で6か月の間に支払われた賃金の1日分の額が雇用保険の給付を受ける離職前の賃金の1日分の額に比べて低下している場合、就業促進定着手当の給付を受けることが出来ます。

・・・就業手当について
就業手当は、基本手当の受給資格がある方が再就職手当の支給対象とならない常用雇用等以外の形態で就業した場合に基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上あり一定の要件に該当する場合に支給されます。

・・・常用就職支度手当
常用就職支度手当は、基本手当の受給資格がある方、高年齢受給資格者、特例受給資格者又は日雇受給資格者のうち、障害のある方など就職が困難な方が安定した職業に就いた場合に、一定の要件に該当すると支給されます。

・・・・・移転費について
受給資格者等がハローワーク、特定地方公共団体または職業紹介事業者の紹介した職業に就くため、又はハローワークの所長の指示した公共職業訓練等を受講するため、その住所又は居所を変更する必要がある場合に、受給資格者本人とその家族の移転に要する費用が支給されます。

・・・・・広域求職活動費について
広域求職活動費とは、受給資格者等がハローワークの紹介により遠隔地にある求人事業所を訪問して求人者と面接等をした場合支払われるもので、交通費及び宿泊料が支給されます。

・・・・・短期訓練受講費について
受給資格者等が平成29年1月以降に、ハローワークの職業指導により再就職のために必要な職業に関する教育訓練を受け、当該訓練を修了した場合に、本人が訓練受講のために支払った教育訓練経費の2割(上限10万円、下限なし)が支給される制度です。

|教育訓練給付について
働く方の主体的な能力開発の取組み又は中長期的なキャリア形成を支援するため、教育訓練受講に支払った費用の一部を支給するとともに、専門実践教育訓練を受講する45歳未満の離職者の方に対しては、基本手当が支給されない期間について、受講に伴う諸経費の負担についても支援を行うことにより、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度です。

|雇用継続給付について
雇用継続給付とは、職業生活の円滑な継続を援助、促進することを目的とし、「高年齢雇用継続給付」、「育児休業給付」、「介護休業給付」が支給されるものです。

・・・・・高年齢雇用継続給付とは・・・
高年齢雇用継続給付は、「高年齢雇用継続基本給付金」と基本手当を受給し、60歳以後再就職した場合に支払われる「高年齢再就職給付金」とに分かれますが、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給されます。

・・・・・育児休業給付とは・・・
育児休業給付には、育児休業期間中に支給される「育児休業給付金」があります。
育児休業給付は、被保険者が1歳又は1歳2か月(支給対象期間の延長に該当する場合は1歳6か月又は2歳)未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある完全月又は育児休業開始日が令和2年8月1日以降であって、育児休業開始日以前の2年間に賃金支払基礎日数の11日以上の完全月が12か月に満たない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上である完全月が12か月以上あれば、受給資格の確認を受けることができます。その上で、育児休業給付金は、育児休業期間中の各1か月ごとに、休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと。就業している日数が各支給単位期間ごとに10日以下であることの要件を満たす場合に支給されます。
(つづく)A.K

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