キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、社会保障に関して必要な知識、資料などについて前回の続きから説明します。
・・・・・介護休業給付・・・
家族を介護するための休業をした被保険者で、介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月又は介護休業開始日が令和2年8月1日以降であって、介護休業開始日以前の2年間に賃金支払基礎日数の11日以上の完全月が12か月に満たない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上である完全月が12か月以上ある方が支給の対象となります。その上で、
・介護休業期間中の各1か月毎に休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
・就業している日数が各支給単位期間ごとに10日以下であること
の要件を満たす場合に支給されます。
|移転費、広域求職活動費、短期訓練受講費、求職活動関係役務利用費について
都市部から地方への就職等を希望する雇用保険を受給中の方が、ハローワーク等の紹介によって、就職のために、住所または居所を変更する場合やハローワークの紹介によって、遠方の事業所で面接などを行う場合に、これらの費用を国が負担する「移転費」「広域求職活動費」という制度があります。
・広域求職活動費は、雇用保険の受給資格者の方が、ハローワークの紹介により遠隔地にある求人事業所を訪問して求人者と面接等をした場合(以下、広域求職活動という)に支給されます。支給には一定の条件があり、支払われる費用には、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃と、宿泊料があります。
・移転費は、雇用保険の受給資格者の方が、ハローワーク、特定地方公共団体または職業紹介事業者の紹介により職業に就くため、または公共職業訓練等を受講するために、住居所を変更する場合に支給されます。いずれも、ハローワークの所長が必要であると認めたときに支給され、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、移転料および着後手当があります。
・短期訓練受講費とは、雇用保険の受給資格者等が、平成29年1月以降に、ハローワークの職業指導により再就職のために1か月未満の教育訓練を受け、訓練を修了した場合に、支払った教育訓練経費の2割(上限10万円、下限なし)が支給される制度です。
・求職活動関係役務利用費とは、雇用保険の受給資格者等が、平成29年1月以降に、求人者との面接等をしたり、教育訓練を受講したりするため、子のための保育等サービスを利用した場合、そのサービス利用のために負担した費用の一部が支給される制度です。
〇労災保険制度
厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/index.html
より引用説明します。
■労災保険制度の概要
労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。その費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれています。
■事業主は
農林水産の事業の一部を除き、パート・アルバイトを含めた労働者を1日でも雇っていれば、その事業主は必ず労働保険(労災・雇用)に加入する手続をしなければならない。
保険給付を受けるべき者の労災申請手続きについて助力しなければならない。
労災保険給付を受けるべき者から、労災申請の請求書における負傷または疾病の年月日、災害の原因及び発生状況等の証明事項について証明を求められたときは、速やかに証明をしなければならない。
■労災保険の適用
① 適用事業
労災保険は、原則として一人でも労働者を使用する事業は、業種の規模の如何を問わず、すべてに適用されます。なお、労災保険における労働者とは、「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」をいい、労働者であればアルバイトやパートタイマー等の雇用形態は関係ありません。
なお、国家公務員、地方公務員(現業の非常勤職員を除く)及び船員は労災保険の適用除外となっている。
| 被保険者の範囲
適用事業に雇用される労働者は、事業主・労働者の意思にかかわらず、すべて被保険者になります。(ただし、法人の役員・昼間学生・臨時内職的に雇用される者・個人事業主と同居の親族などは被保険者になりません。)
| 被保険者の種類
1 一般被保険者[65 歳未満の常用労働者等]
2 高年齢継続被保険者[65 歳に達した日以前から引き続き雇用されている者等]
3 短期雇用特例被保険者[季節的に雇用される者等]
4 日雇労働被保険者[日々雇用される者、30 日以内の期間を定めて雇用される者]
| パートタイム労働者(短時間就労者)が被保険者となる要件
① 1 週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。
② 31 日以上引き続き雇用されることが見込まれること。
③ 賃金や労働時間、その他の労働条件が就業規則、雇用契約書、雇入通知書等に明確に定められていること。
この場合社会保険の加入の有無等に関係なく、被保険者になります。
労災保険は労働者の業務上及び通勤途上の災害について補償する保険です。したがって社長や個人事業主は労働者にあたらないため、労災保険を利用することができません。しかし、労災保険の特別加入制度を利用することによって、労災保険の適用を受けることができます。
(つづく)A.K