キャリアコンサルタントがキャリアコンサルティングを行う際に必要な知識とそれを補う資料について、社会保障に関して必要な知識、資料などについて前回の続きから説明します。
| 適用基準及び成立手続等の方法
・保険関係成立届、概算保険料申告書
労働保険の適用事業となったときは、まず労働保険の保険関係成立届を所轄の労働基準監督署又は公共職業安定所に提出します。そして、その年度分の労働保険料(保険関係が成立した日からその年度の末日までに労働者に支払う賃金の総額の見込額に保険料率を乗じて得た額となります)を概算保険料として申告・納付していただくこととなります。
・雇用保険適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届
雇用保険の適用事業となった場合は、上記のほかに、雇用保険適用事業所設置届及び雇用保険被保険者資格取得届を所轄の公共職業安定所に提出しなければなりません。
■労災保険給付
・療養(補償)給付
業務災害または通勤災害による傷病により療養するとき(労災病院や労災指定医療機関等で療養を受けるとき)
業務災害または通勤災害による傷病により療養するとき(労災病院や労災指定医療機関等以外で療養を受けるとき)
・休業(補償)給付
業務災害または通勤災害による傷病の療養のため労働することができず賃金を受けられないとき
・障害(補償)給付
-障害(補償)年金
業務災害または通勤災害による傷病が治癒(症状固定)した後に障害等級第1級から第7級までに該当する障害が残ったとき
-障害(補償)一時金
業務災害または通勤災害による傷病が治癒(症状固定)した後に障害等級第8級から第14級までに該当する障害が残ったとき
・遺族(補償)給付
-遺族(補償)年金
業務災害または通勤災害により死亡したとき
-遺族(補償)一時金
(1)遺族(補償)年金を受け得る遺族がないとき
(2)遺族(補償)年金を受けている人が失権し、かつ、他に遺族(補償)年金を受け得る人がない場合であって、すでに支給された年金の合計額が給付基礎日額の1000日分に満たないとき給付基礎日額の1000日分の一時金
| 葬祭料葬祭給付
業務災害または通勤災害により死亡した人の葬祭を行うとき
| 傷病(補償)年金
業務災害または通勤災害による傷病が療養開始後1年6カ月を経過した日または同日後において次の各号のいずれにも該当するとき
(1)傷病が治癒(症状固定していないこと)
(2)傷病による障害の程度が傷病等級に該当すること
| 介護(補償)給付
障害(補償)年金または傷病(補償)年金受給者のうち第1級の者または第2級の精神・神経の障害および胸腹部臓器の障害の者であって、現に介護を受けているとき
■労災保険と雇用保険を総称して労働保険といいます。保険給付は両保険制度で別個に行われていますが、保険料の徴収については、両保険は「労働保険」として一体のものとして取り扱っています。
■労働者災害補償保険法の最近の改正
令和2年9月の、雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴い労働者災害補償保険法が改正されました。
改正前 災害が発生した勤務先の賃金額のみを基礎に給付額等を決定
改正後 すべての勤務先の賃金額を合算した額を基礎に給付額等を決定
対象となる給付は、休業(補償)給付、遺族(補償)給付や障害(補償)給付などです。
この他に、すべての勤務先の負荷(労働時間やストレス等)も総合的に評価して労災認定できるかどうかを判断するようになります。
〇公的年金制度
■公的年金制度の概要
厚生労働省ホームページ資料
https://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/01/01-02.html
より引用説明します。
公的年金制度は、いま働いている世代が支払った保険料を仕送りのように高齢者などの年金給付に充てるという「世代と世代の支え合い」という考え方を基本とした財政方式で運営されています。
日本の公的年金制度は、「国民皆年金」という特徴を持っており、20歳以上の全ての人が共通して加入する国民年金と、会社員が加入する厚生年金などによる、いわゆる「2階建て」と呼ばれる構造になっています。
具体的には、自営業者など国民年金のみに加入している人(第一号被保険者)は、毎月定額の保険料を自分で納め、会社員や公務員で厚生年金や共済年金に加入している人(第二号被保険者)は、毎月定率の保険料を会社と折半で負担し、保険料は毎月の給料から天引きされます。専業主婦など扶養されている人(第三号被保険者)は、厚生年金制度などで保険料を負担しているため、個人としては保険料を負担する必要はありません。老後には、全ての人が老齢基礎年金を、厚生年金などに加入していた人は、それに加えて、老齢厚生年金などを受け取ることができます。
このように、公的年金制度は、基本的に日本国内に住む20歳から60歳の全ての人が保険料を納め、その保険料を高齢者などへ年金として給付する仕組みとなっています。
■公的年金の給付の種類
公的年金制度には、国民年金と厚生年金があります。それぞれに老齢年金、障害年金、遺族年金があります。
・国民年金
老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金
・厚生年金
老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金
老齢・障害・死亡といった事由が発生したときに国民年金に加入しているのか、あるいは厚生年金に加入しているのかなどによって受給する給付の内容も異なってきます。
(つづく)A.K