実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 154 | テクノファ

投稿日:2022年4月16日 更新日:

新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。
キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。
これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、
キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、
キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にも
このキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。

8.生産性向上に資する人材育成の強化
人手不足の深刻化や技術革新の進展の中で、中小企業等が事業展開を図るためには、従業員を育成等により労働生産性を高めていくことが必要となっています。このため、2017(平成29)年度から、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する公共職業能力開発施設内に「生産性向上人材育成支援センター」を設置し、中小企業等の人材育成に関する相談支援から、課題に合わせた「人材育成プラン」の提案、職業訓練の実施までを一貫して行っています。

第3節 地方創生の推進
1.地方創生に向けた地域雇用対策の推進
地域ごとに産業構造、人口構成、社会情勢等は異なっており、ミスマッチの問題や地域特有の課題もみられることから、地域の実情に応じた雇用対策に取り組む必要があります。
また、人口減少や地域経済の縮小といった課題を克服するために取り組む地方創生の観点から、地域に魅力のある仕事をつくるとともに、そこに必要な人材の育成や大都市圏からの人材還流等を推進することが重要となります。

厚生労働省では、上記の状況を踏まえ、産業政策と一体となって良質で安定的な正社員雇用の機会の確保に取り組む都道府県を支援する「地域活性化雇用創造プロジェクト」を実施しています。特に、2020(令和2)年度第3次補正予算においては、新型コロナウイルス感染症の影響等を受けた地域雇用を再生するため、「地域雇用再生コース」を新設し、事業主の業種転換や多角化による雇用の場の確保や求職者のキャリアチェンジを伴う再就職等を促進する都道府県の取組みに対する支援を実施しています。 また、雇用機会が不足している地域や過疎化が進んでいる地域等において、市町村や経済団体等により構成される協議会に対して事業を委託し、地域の自主性・創意工夫を生かした「魅力ある雇用」や「それを担う人材」の維持・確保を図る「地域雇用活性化推進事業」を実施しています。

さらに、大都市圏から地方への人材還流を促進するため、東京圏・大阪圏において、セミナー等により地方就職の準備が整った者をハローワークへ誘導し、全国ネットワークを活用したマッチングにより就職へ結びつける「地方就職希望者活性化事業」を実施しているほか、「中途採用等支援助成金(UIJターンコース)」により、東京圏からのUIJターン者を採用した事業主に対し、その採用活動経費の一部を助成しています。

2.地方拠点強化税制における雇用促進税制
2015(平成27)年8月10日より、地方創生の一環として、「地域再生法」(平成17年法律第24号)等に基づき、事業者が、移転先の施設や拡充した施設で、雇用者増加数や法人総給与額に関する要件等を満たしながら雇用者を増やせば、その増加人数に応じて法人税等の税額控除を受けることができる制度(地方拠点強化税制における雇用促進税制)の創設が行われました。本税制は、2020(令和2)年度税制改正により、適用期限が2年間延長されるとともに、要件の一部緩和等の見直しが行われました。

第4節 良質な労働環境の確保等
1.労働条件の確保改善
全国の労働基準監督署には、賃金の不払、解雇等に関する申告・相談が依然として数多く寄せられています。全ての労働者が適法な労働条件の下で安心して働くことができるよう、事業主等の法令遵守に対する意識をより一層高めていくことが必要です。このため、法定労働条件の履行確保を図るための的確な監督指導等を行うとともに、申告・相談がなされた場合には、申告・相談者が置かれている状況に十分配慮し、その解決のため迅速かつ的確な対応を図っています。また、企業倒産、事業場閉鎖等の場合であっても、賃金不払等が発生しないようにするため、賃金・退職金の支払、社内預金の保全等についても早い段階から的確な対応を行っています。

(1)労働時間に関する法定基準等の遵守
豊かでゆとりある国民生活を実現するためには、長時間労働の削減等を図っていくことが必要です。このため、労働基準監督署では、「時間外労働・休日労働に関する労使協定」(以下「36 協定」という。)について、労働基準法等の法令及び「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」(以下「指針」という。)に適合したものとなるよう、指導を行っています。また、時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめられるべきものであることから、36協定上、月45時間を超える時間外労働を行わせることが可能となっていても、実際の時間外労働については月45時間以下とするよう指導を行っています。

また、
①2016(平成28)年4月からは、
○月100時間超の残業を把握した全ての事業場等に対する監督指導の徹底(2015 (平成27)年1月から実施)について、月80時間超の残業を把握した全ての事業場等に対象を拡大
○東京労働局及び大阪労働局に設置していた複数の労働局にまたがる過重労働に係る事案等に対応する特別チーム(通称「かとく」、2015年4月に設置)に加え、全ての労働局に長時間労働に関する監督指導等を専門とする担当官を新たに任命するとともに、厚生労働省本省に過重労働に関する広域捜査の指導調整を行う対策班(2017(平成29)年4月からは「過重労働特別対策室」)を設置
②2016年12月に決定された「『過労死等ゼロ』緊急対策」に基づき、2017年1月から、
○使用者向けの新たな「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」による労働時間の適正把握の徹底
○長時間労働等に係る企業本社に対する指導
○是正指導段階での企業名公表の強化 ③2018(平成30)年4月から、全ての労働基準監督署において、「労働時間改善指導・援助チーム」を編成し、
○長時間労働の是正及び過重労働による健康障害の防止を重点とした監督指導
○「労働時間相談・支援コーナー」を設置し、法令に関する知識や労務管理体制が必ずしも十分でないと考えられる中小規模の事業場に対して、法制度の周知を中心としたきめ細やかな支援などの取組みを順次実施しています。

さらに、「過労死等防止啓発月間」である11月に「過重労働解消キャンペーン」を実施し、長時間労働の抑制、過重労働による健康障害の防止及び労働時間管理の適正化等を重点とする監督指導や全国一斉の無料電話相談などの取組みを行っています。重点的な監督指導について、2020(令和2)年においては、長時間の過重な労働による過労死などに関する労災請求のあった事業場など、9,120事業場に対して実施し、その結果、6,553事業場(71.9%)において労働基準関係法令違反が認められ、そのうち2,807事業場(30.8%)で違法な時間外労働が認められたため、是正・改善に向けた指導を行いました。また、賃金不払残業の解消を図るためには、各企業において労働時間を適正に把握する必要があることから、同ガイドラインを幅広く周知・徹底するとともに的確な監督指導等を実施しています。

全国の労働基準監督署で、時間外労働に対する割増賃金が支払われないとして労働基準法第37条違反の是正を指導したもののうち、1企業当たり合計100万円以上の割増賃金が支払われた企業数は1,611社であり、対象労働者数は7万8,717人、支払われた割増賃金の合計額は約98億円となっています(2019年4月から2020年3月までの1年間)。さらに、2019年(平成31年)1月には、裁量労働制の不適正な運用が複数の事業場で認められた企業に対する指導の実施及び企業名の公表の仕組みを定めました。

(2)経済情勢を踏まえた労働基準行政等の対応
昨今の我が国の経済は新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)の影響により、依然として厳しく、また、雇用情勢についても求人動向の持ち直しに足踏みがみられるなど、賃金不払や解雇等の申告が労働基準監督署へ数多く寄せられている状況にあります。いかなる経済情勢の下においても、全ての労働者が安心して働くことができるように、労働基準法等で定める法定労働条件は確保されなければなりません。

このため、都道府県労働局と労働基準監督署では、各種情報から法定労働条件に問題があると考えられる事業場に対して監督指導を実施し、労働基準関係法令を遵守するよう指導するとともに、企業倒産等に伴い賃金の支払を受けられないまま退職した労働者の救済を図るため、未払賃金立替払制度により迅速かつ適正な立替払を実施しているところであり、令和2年度補正予算においては感染症の影響による企業倒産の増加に備え、立替払の財源の確保を図りました。また、感染症対策として労働者が利用できる特別休暇制度を整備する中小企業事業主を支援するため、働き方改革推進支援助成金(職場意識改善特例コース)を新たに創設しました。

なお、感染症の影響による大量整理解雇等については、労働契約法や裁判例等に照らして、適切な取扱いが行われることが重要であり、問題のある事案を把握した場合には啓発指導を実施するとともに、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対しては、雇用調整助成金の活用等について周知を行っています。

(3)若者の「使い捨て」が疑われる企業等への対応策
政府においては、若者の活躍推進の観点から、「『日本再興戦略』改訂2014」(平成26 年6月24日閣議決定)等の中で、若者の「使い捨て」が疑われる企業等への対応策の充実強化を図ることとしています。 それを受け、厚生労働省では、若者の「使い捨て」が疑われる企業等への対応策の強化として、次のような取組みを行いました。

① 2020(令和2)年11月の「過重労働解消キャンペーン」において、若者の「使い捨て」 が疑われる企業等に対しても重点的な監督指導を行いました。
②常設のフリーダイヤル「労働条件相談ほっとライン」を設置(2014(平成26)年9月) し、労働基準監督署が閉庁している平日夜間、土日・祝日に日本語を含む14カ国語 (外国語は令和元年度開始)での相談対応を行うことにより、相談体制の充実を図りました。
③労働条件ポータルサイト「確かめよう 労働条件」の設置(2014年11月)や、大学・ 高等学校等でのセミナーの開催(2014年10月開始)により、働く際に知っておきたい労働基準法などに関する基礎知識の周知を行い、情報発信の強化を図りました。
④新卒応援ハローワーク、わかものハローワークに、職場における悩み等に関する相談に対応する「在職者相談窓口」を設置しました。
今後とも、過重労働や賃金不払残業などが疑われる企業等に対して、監督指導を行うとともに、こうした相談体制の強化や情報発信の取組みを進めていきます。

(4)学生アルバイトの労働条件確保
2015(平成27)年に実施した「大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査」、 2015年~2016(平成28)年に実施した「高校生に対するアルバイトに関する意識調査」の結果、労働条件の明示が適切になされなかったものや、中には満18歳未満に禁止されている深夜業をさせられたなど、労働基準関係法令違反のおそれがある回答があったほか、採用時に合意した以上のシフトを入れられたなど、学業とアルバイトの適切な両立への影響が疑われる回答もありました。
このような状況を踏まえ、2015年から厚生労働省では、文部科学省と連携し、事業主団体や高校生アルバイトが多い業界団体に対し労働基準関係法令の遵守のほか、シフト設定等の課題への配慮について要請を行っています。

これと併せ、引き続き、4月から7月に かけて学生等へのアルバイトの労働条件の確認を促すことを目的としたキャンペーンを実施する等の取組みを進めていきます。また、高校生などのより早い段階から労働法の理解を深めてもらうために、2016年度の高等学校等、2017(平成29)年度の大学等、2018(平成30)年度の若い社会人向けの労働法教育のための指導者用資料の作成に引き続き、2019(令和元)年度には働き方改革関連法の施行に伴い高校・大学等向け指導者用資料の改訂、2020(令和2)年度には指導者向け動画の作成を行うなど、学校等における労働関係法令に関する知識のさらなる周知・啓発に取り組んでいます。

(5)特定分野における労働条件の確保・改善対策
技能実習生、自動車運転者等の労働条件の確保上問題が認められる特定分野については、重点的な監督指導を実施しています。技能実習生については、違法な時間外労働、賃金不払残業、労働災害防止の措置の未実施など、法定労働条件に問題があると考えられる実習実施者に対して重点的に監督指導を実施し、確認した法違反の是正を指導しています。また、強制労働等技能実習生の人権侵害が疑われる事案に対しては、外国人技能実習機構等との合同監督・調査を実施し、重大又は悪質な事案については司法処分にするなど厳正に対処しています。

自動車運転者については、依然として長時間労働の実態が認められるところであり、労働基準関係法令のみならず改善基準告示の遵守徹底を図るための監督指導を行っています。自動車運転者に係る賃金制度のうち、累進歩合制度については、長時間労働やスピード違反を極端に誘発するおそれがあり、交通事故の発生も懸念されることから、その廃止に係る指導等について、引き続き徹底を図っています。

(6)司法処分について
労働基準監督機関が行った監督指導の結果、重大又は悪質な法違反が認められた場合には、司法処分を含め厳正に対処しており、2019(令和元)年における送検件数は821件となっています。
(つづく)平林

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