実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 156 |テクノファ

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新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にもこのキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。

10.透明かつ公正な労働紛争解決システム等の構築
個別労働紛争解決制度や労働審判制度、民事訴訟等の個別労働紛争解決システムについては、透明かつ公正・客観的でグローバルにも通用する紛争解決システムを構築するため、「『日本再興戦略』改訂2015」(平成27年6月30日閣議決定)等に基づき、2015(平成27)年10月から「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」において、既存の個別労働紛争の解決手段がより有効に活用されるための方策と、解雇無 効時における金銭救済制度の在り方とその必要性について検討を進め、2017(平成29) 年5月に報告書が取りまとめられました。「成長戦略フォローアップ」(令和2年7月17日閣議 決定)において、今後の方針を定めるとともに、2018(平成30)年6月から「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」において、法技術的な論点についての専門的な検討を進めています。

11.雇用労働相談センターの設置・運営
新規開業直後の企業や海外からの進出企業等が、日本の雇用ルールを的確に理解して、個別労働関係紛争を生じることなく、円滑に事業展開できるよう、また、長時間労働の抑制や雇用の安定等を図り、これらの企業の労働者が意欲と能力を発揮できるよう、国家戦略特別区域(以下「国家戦略特区」という。)内に「雇用労働相談センター」(以下「センター」という。)を設置・運営しています。2016(平成28)年度までに福岡市・北九州市、関西圏、東京圏、新潟市、愛知県、仙台市、広島県・今治市の合計7か所の国家戦略特区 にセンターを設置しました。

第5節 労働者が安全で健康に働くことができる職場づくり
1.労働災害の状況と防止に向けた取組み
(1)労働災害の発生状況 2020(令和2)年の労働災害については、死亡者数は802人(前年比43人(5.1%) 減)と過去最少となりました。一方、休業4日以上の死傷者数は131,156人(前年比5,545 人(4.4%)減)と前年より増加しました。

労働者の健康面については、精神障害による労災支給決定件数は、2019(令和元)年 度には509件と前年度と比較して増加しているものの、おおむね横ばい傾向となっています。自殺者数については、2019年は、約2万人と8年連続で3万人を下回っているが、このうち約2,000人について勤務問題が理由の1つとされているなど、働く人々の職場環境は引き続き厳しい状況にあります。

(2)第13次労働災害防止計画の推進
労働安全衛生法では、労働災害の防止のための主要な対策等に関する事項を定めた「労働災害防止計画」を策定することになっています。
2018(平成30)年度から2022(令和4)年度までの5年間を計画期間とする「第13 次労働災害防止計画」では、国、事業者、労働者等の関係者が一体となって、一人の被災者も出さないという基本理念の実現に向け、労働災害について2022年までに2017(平成29)年比で死亡者数は15%以上、休業4日以上の死傷者数は5%以上減少させること等を目標に掲げ、「建設業、製造業、林業における死亡災害等の労働災害防止対策」、「過労死等の防止等の労働者の健康確保対策」、「就業構造の変化及び働き方の多様化に対応した対策」「疾病を抱える労働者の健康確保対策」、「化学物質や石綿による健康障害防止のための対策」等に重点的に取り組んでいます。

2.労働災害を防止するための対策の充実
(1)業種横断的な対策等の推進
高齢化の進展に伴う高年齢労働者の労働災害の増加に対応するため、2020(令和2)年3月に策定した「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)に基づく取組みを周知するとともに、2020年度から、高年齢労働者が安全に働くための職場環境の整備等に要する費用を補助するエイジフレンドリー補助金による支援を行っています。

また、外国人労働者の増加傾向を踏まえ、多言語による安全衛生教育の視聴覚教材を作成し、2020年より厚生労働省ホームページで公開し、外国人労働者に対する安全衛生教育を推進しています。

休業4日以上の労働災害の2割を占める転倒災害を防止するため、「STOP!転倒災害 プロジェクト」を実施し、労働災害防止団体と連携の上、周知啓発を行うなどの取組みを実施しています。

死亡災害の約2割を占める交通労働災害の減少を図るため、「交通労働災害防止のためのガイドライン」に基づく対策の実施について、引き続き、関係業界団体が開催する集会等事業者が参集する機会や事業者と接する機会を捉え、周知を実施しています。

(2)第三次産業(小売業、社会福祉施設等)の労働災害防止対策
第三次産業については、小売業、社会福祉施設での転倒、腰痛等の労働災害の増加が著しいことから、これらの業種を重点として対策を実施しています。社会福祉施設に対しては、都道府県等と連携し、新設された施設を中心に4S(整理・整頓・清潔・清掃)活動や腰痛対策の推進などについて指導を行っています。小売業に対しては、多店舗展開をしている企業の本社や中核的な支店を中心として4S活動の推進などの指導を行っています。また、2019(平成31)年3月にとりまとめた小売業、飲食業、社会福祉施設向けの「職場の危険の見える化実践マニュアル」の周知を図っています。

2017(平成29)年から小売業、社会福祉施設、飲食店での労働災害の減少を図るため、「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動」を実施し、周知啓発や指導に取り組むほか、安全推進者を養成するための講習会や保健衛生業、陸上貨物運送事業における腰痛予防のための講習会等を行っています。

(3)陸上貨物運送事業での労働災害防止対策
陸上貨物運送事業においては、休業4日以上の死傷災害のうち約7割が荷役作業時の災害であり、その大半が、荷主等が管理する施設で発生していることから、陸運事業者への指導はもとより、荷主等に対して、2013(平成25)年に策定した「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」、2017(平成29)年に策定した「荷役5大災害防止対策チェックリスト」に基づき、安全な荷役作業を行うための設備の設置、荷役作業時の保護帽の着用等について指導等を行っています。

(4)建設業等での労働災害防止対策
建設業における労働災害は、墜落・転落災害によるものが最も多く、死亡災害の約4割を占めています。このような状況を踏まえ、2015(平成27)年7月に施行された改正労働安全衛生規則に基づく足場からの墜落防止措置の徹底や同年5月に改正した足場からの墜落・転落防止対策推進要綱に基づき、手すり先行工法等の「より安全な措置」の一層の促進を図るとともに、墜落・転落災害防止対策の充実強化について検討を重ねています。

また、2017(平成29)年3月に施行された「建設工事従事者の安全及び健康の確保の 推進に関する法律」及び同年6月に閣議決定された「建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画」に基づき、墜落・転落災害の防止対策の充実強化、一人親方等に対する安全衛生に関する知識習得等のための教育等について計画的に推進しています。

加えて、2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会*24の大会施設工事における労働災害防止の徹底を図ること等を目的として、関係省庁、発注機関及び建設業団体を構成員として設立した「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会 大会施設工事安全衛生対策協議会」においては、2016(平成28)年6月に、大会施設工事を今後の快適で安全な建設工事のモデルとすること等を内容とする安全衛生対策の基本方針を取りまとめ、同方針に基づき、大会施設工事での安全衛生対策の実施状況について、構成員に確認共有しています。

また、フルハーネス型の墜落制止用器具と、つり上げ荷重3t未満の移動式クレーン等については、新しい規格へ各機械等の更新を促進するため、2019(令和元)年度から、「既存不適合機械等更新支援補助金事業」を展開しています。*24 2020年3月30日に、東京オリンピックは2021年7月23日から8月8日に、東京パラリンピックは同年8月24日から9月5日に 開催されることが決定されました。

(5)製造業の労働災害防止対策
機械災害は製造業における労働災害の多くを占めており、また、死亡災害や後遺障害が残る重篤な災害も多いため、労働安全衛生規則による規制のほか、危険性の高い機械の種類ごとに構造規格や労働災害防止対策ガイドラインを作成するなどの個別対策を行っています。一方で、産業現場では新たな機械設備が導入されていることから、機械一般について、メーカー、ユーザーの両者が製造段階及び使用段階で機械のリスクの低減を図ることを目的とした「機械の包括的な安全基準に関する指針」の普及・定着を図っています。

特に、電気・電子技術やコンピュータ技術の進歩に伴い、これら技術を活用することにより、機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。)に対して高度かつ信頼性の高い制御が可能となってきています。このため、従来の機械式の安全装置等に加え、新たに制御の機能を付加することによって、機械等の安全を確保する方策(機能安全)の要求事項を定めた「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」の普及・定着を図っています。

また、自動走行など自律的に作業を行う機械の導入に向けた開発が進んでいることを受け、自律走行台車(AMR)を例として安全機能の実証方法に関するパンフレットを作成し、自走自律制御機械の製造者等に対して周知しています。また、いわゆる装置産業における高況を調査した結果をまとめ、チェックリスト等を示したパンフレットを作成して、計画的な設備の更新・補修を指導しています。

さらに、厚生労働省と経済産業省が連携し、主要な製造業の団体を対象に設置された「製造業安全対策官民協議会」において実施されたリスクアセスメント等の有効性等に関する分析結果を活用し、事業者の自主的な改善や新たな取組みを促進しています。

(6)林業等における労働災害防止対策
林業における労働災害による死亡者数は、チェーンソーによる伐木等作業に関するものが約6割を占めており、伐木等作業の安全を確保することが急務となっています。このため、2019(平成31)年2月に伐倒時の立入禁止、下肢の切創を防止する保護衣の着用の義務化、かかり木処理の禁止事項の設定等の労働安全衛生規則等の改正を行い、同年8月(特別教育の部分は、2020年(令和2)年8月)に施行された。また、2020年1月に「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」を改正し、なお一層の伐木等作業における安全の確保を図っています。

3.労働者の健康を確保するための対策の充実
(1)ストレスチェック制度の周知・啓発等
労働者の心理的な負担の程度を把握し、セルフケアや職場環境の改善につなげ、メンタルヘルス不調の未然防止の取組みを強化するため、2015(平成27)年よりストレスチェック制度が施行されています。

ストレスチェック制度の運用に当たっての重要な事項(具体的な実施方法、実施体制、不利益な取扱いの禁止等)については、「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」等で示しており、制度の周知などを進めています。さらに、ストレスチェック制度の適切な運用を図るため、実際に事業場においてストレスチェックの導入に携わる人事労務担当者や産業 保健スタッフ向けに、より具体的な運用方法等を解説した「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」を作成し周知するほか、独立行政法人労働者健康安全機構における「ストレスチェック制度サポートダイヤル」での相談対応、全国の産業保健総合支援センターにおける研修等を実施しています。

このほか、ストレスチェック制度の実施が努力義務となっている、労働者数50人未満の小規模事業場においても取組みが進むよう、一定の要件を満たした場合にその費用を助成する事業を実施しています。また、ITを利用してオンラインでストレスチェックを実施する場合に活用していただけるよう、「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」を作成し、厚生労働省のWebサイトで無料配布しています。これらの取組みを通じて、ストレスチェック制度の周知・啓発等を進めています。
(つづく)平林

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