実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 159 | テクノファ

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新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こしました。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。ここでは厚生労働省の白書からキャリアコンサルタントが知っておくべき情報をお伝えします。これからキャリアコンサルタント養成講座を受けようとする方、キャリアコンサルタント国家試験を受けようとする方、キャリアコンサルタント技能試験にチャレンジする方にもこのキャリアコンサルタント知恵袋を読んでいただきたいと思います。

第1節 女性・若者・高齢者・就職氷河期世代等の活躍促進等
1.女性の雇用の現状
総務省統計局「労働力調査(基本集計)」によると、2020(令和2)年の女性の労働力人口は3,044万人(前年比14万人減)で、女性の労働力人口比率は53.2%(前年比0.1 ポイント低下)です。生産年齢(15~64歳)の女性の労働力人口比率は、72.6%(前年と同率)です。また、女性の雇用者数は2,703万人(前年比17万人減)で、雇用者総数に占める女性の割合は45.3%(前年と同率)となっています。

2.女性の活躍促進等
(1)男女雇用機会均等対策の推進
労働者が性別により差別されることなく、また、働く女性が母性を尊重されつつ、その 能力を十分に発揮できる雇用環境を整備するため、男女雇用機会均等法に沿った男女均等取扱いがされるよう周知徹底するとともに、法違反が認められる企業に対しては、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)において、迅速かつ厳正な指導を行っています。

また、労働者と事業主の間の紛争については、都道府県労働局長による紛争解決の援助 及び機会均等調停会議による調停で円滑かつ迅速な解決に取り組んでいます。

(男女雇用機会均等法に関する相談内容の内訳)
2019(令和元)年度に雇用環境・均等部(室)に寄せられた男女雇用機会均等法に関する相談件数は19,595件です。その内容を見ると、職場におけるセクシュアルハラスメントや妊娠・出産等を理由とする解雇その他不利益取扱いに関する相談が多くなっています。また、是正指導件数は15,822件、都道府県労働局長による紛争解決の援助件数は248件、機会均等調停会議による調停件数は68件となっています。

セクシュアルハラスメントに関する相談や妊娠・出産等に関するハラスメントに関する 相談については、適切に対応するとともに、男女雇用機会均等法に沿った対策が講じられていない企業に対しては、指導により是正させ、必要に応じて、具体的な取組み事例やノウハウを提供しています。妊娠・出産等を理由とする解雇その他不利益取扱いに関する相談には、相談者にとって最も適切な方法で紛争の円滑かつ迅速な解決を図るとともに、男女雇用機会均等法違反が疑われる場合や、雇用管理上の問題があると考えられる場合には積極的に報告徴収を行い、法違反が認められる場合には、厳正な指導により、法の履行確保を図っています。

さらに、2020(令和2)年6月1日に施行された改正男女雇用機会均等法により、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメントに関する国、事業主及び労働者の責務の明確化や、相談したこと等を理由とした不利益取扱いの禁止等、セクシュアルハラスメント等の対策が強化されました。また、職場における母性健康管理を推進するため、企業や女性労働者等に対して母性健 康管理に関する情報を提供する支援サイト「妊娠・出産をサポートする女性にやさしい職場づくりナビ」の運営等を行っています。

新型コロナウイルス感染症対策として、妊娠中の女性労働者の母性健康管理を適切に図 るため、2020年5月に男女雇用機会均等法に基づく指針を改正し、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置を新たに規定しました(対象期間は同年5月7日から2022 (令和4)年1月31日まで)。さらに、同措置により休業が必要な妊娠中の女性労働者が取得できる有給の休暇制度を設け、社内に周知し、当該休暇を取得させた事業主に対し助成する制度を創設しました。これらの制度の周知・啓発を行うことで、妊娠中の女性労働者が安心して出産を迎えられる職場環境の整備に取り組んでいます。

(2)女性の活躍推進に向けた企業の取組み支援
女性の職業生活における活躍を一層推進するため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(以下「女性活躍推進法」という。)に基づき、一般事業主行動計画の策定等が義務付けられている常用労働者数301人以上の事業主について、必要な助言を行うこと等により、法に基づく取組みの実効性確保を図っています。

また、多くの事業主が同法に基づく「えるぼし」認定を目指すよう認定のメリットも含め広く周知し、認定申請に向けた取組み促進を図っています。さらに、同法に基づく取組みが努力義務とされている300人以下の中小企業について、より多くの企業が女性活躍に向けた取組みを行うよう、あらゆる機会を通じて周知・啓発に努めています。併せて「両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)」及び「中小企業のための女性活躍推進事業」等の活用を促すことにより、中小企業の取組み支援を行っています。

なお、一般事業主行動計画の策定・届出が義務付けられている常用労働者数301人以上の事業主の届出率は、2021(令和3)年3月末日時点で98.9%となっています。さらに、女性活躍の状況が優良な事業主に対して行う「えるぼし」認定については、同じく3月末日時点で1,301社になっています。

加えて、労働政策審議会雇用環境・均等分科会における議論の結果を踏まえ、一般事業主行動計画の策定等の義務を常用労働者数101人以上の事業主に拡大することや情報公表の強化、女性活躍に関する取組みが特に優良な事業主に対する特例認定制度(「プラチナえるぼし」)の創設などを盛り込んだ法案を、第198回通常国会に提出しました。同法案は2019(令和元)年5月に成立し、同年6月に公布されました。さらに、省令・指針等について、労働政策審議会雇用環境・均等分科会において議論が行われ、2019年12月に公布されました。改正法及び省令・指針等は、2020年6月1日から一部施行されました。(省令・指針は同年4月1日一部施行。対象拡大は、2022(令和4)年4月1日施行)。

さらに、企業の女性の活躍状況に関する情報や一 般事業主行動計画を公表する場として提供しています 「女性の活躍推進企業データベース」(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp / positive db/)について、学生をはじめとした求職者の利便性を高めるため、スマートフォン対応や検索機能の充実を図りました。

(3)女性の就業希望の実現
全国204か所(2021(令和3)年3月末現在)のマザーズハローワーク・マザーズコーナーにおいて、子育てをしながら就職を希望する女性等に対して、子ども連れで来所しやすい環境を整備するとともに、担当者制によるきめ細かな就職支援、求人情報や地方公共団体との連携による保育サービス関連情報等の提供など、再就職に向けた総合的かつ一貫した支援を行っています。

また、育児等を理由とする離職により、一定期間にわたり仕事から離れていた者に対し、「仕事と育児カムバック支援サイト」により情報提供及び再就職好事例の収集・普及・啓発を行うことにより、仕事と育児の両立が可能な再就職に向けた支援を行っています。

(4)仕事と育児・介護等の両立支援策の推進
(仕事と育児・介護の両立支援対策の概要)
仕事と育児・介護等の両立支援に向けた取組みは、少子化対策や子育て支援策だけでなく、女性の活躍促進に資するとともに、日本経済の活力の維持の観点からも重要となっています。このため、育児・介護休業法の周知徹底、次世代育成支援対策推進法に基づく事業主の取組み促進、助成金の支給を通じた事業主への支援、両立支援に関する情報を一元化した「女性の活躍・両立支援総合サイト 両立支援のひろば」の運用、イクメンプロジェクトの実施など、仕事と育児・介護等の両立を図ることができる雇用環境の整備に取り組んでいます。

3.高年齢者雇用の現状
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(昭和46年法律第68号。以下「高年齢者雇用安定法」という。)では、希望者全員が65歳まで働ける制度の導入が企業に義務づけられています。
(2020(令和2)年6月1日現在、31人以上規模企業の99.9%で)
①65歳までの定年の引上げ、
②継続雇用制度の導入、又は
③定年の定めの廃止のうちいずれかの措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)を実施済みです。

加えて、70歳までの就業機会を確保するため、事業主に対して高年齢者就業確保措置①70歳までの定年引き上げ、
②定年の定めの廃止、
③70歳までの継続雇用制度の導入(他の事業主によるものを含む)、
④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入、
⑤70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入のいずれか
を講じる努力義務を課すことを内容とする改正高年齢者雇用安定法改正法案が2021(令和3)年4 月1日に施行され、同日、高年齢者就業確保措置の実施及び運用に関する指針が、施行されました。

引き続き、高年齢者雇用確保措置が未実施である企業の早期解消を図るとともに、人口の減少と高齢化の進展により労働力人口が大幅に減少することが懸念される中、意欲ある高年齢者が年齢に関わりなく、生涯現役で働き続けることができる社会の実現に向けた取組みを推進していくこととしています。

4.「生涯現役社会」の実現
(1)企業における高年齢者の就労促進
生涯現役社会の実現に向けた環境を整備するため、65歳以降の定年延長や継続雇用制度の導入等、高年齢者の雇用管理制度の整備等や高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を行う事業主に対して、「65歳超雇用推進助成金」を支給しています。また、(公財)産業雇用安定センターにおいて高年齢退職予定者の情報を登録して、その能力の活用を希望する事業者に対してこれを紹介する高年齢退職予定者キャリア人材バンク事業を実施しています。

一方、働きたい高年齢求職者の再就職支援のため、全国の主要なハローワークに「生涯現役支援窓口」を設置し、特に65歳以上の高年齢求職者に対して職業生活の再設計に係る支援や支援チームによる就労支援を重点的に行っています。ハローワーク等の紹介により60歳以上の高年齢者等を雇い入れた事業主に対しては、特定求職者雇用開発助成金を支給し、高年齢者の就職を促進しています。

既存の企業による雇用の拡大だけでなく、起業によって中高年齢者等の雇用を創出していくことも重要です。そのため、中高年齢者等(40歳以上)が起業を行う際に、従業員の募集・採用や教育訓練経費の一部を「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」により助成しています。

(2)高年齢者が地域で働ける場や社会を支える活動ができる場の拡大
2016(平成28)年に改正した高年齢者雇用安定法に基づき、地方自治体が中心となって設置された協議会等からの提案による高年齢者の就労促進に向けた事業(生涯現役促進地域連携事業)を開始し、高年齢者の雇用・就業促進に向けた地域の取組みを支援しています(2021(令和3)年3月現在連携推進コース47地域、地域協働コース19地域にて実施)。

また、定年退職後等に、地域社会に根ざした臨時的かつ短期的又は軽易な就業を通じた社会参加を希望する高年齢者に対して、その希望に応じた就業機会を確保・提供するシルバー人材センター事業を推進しています(2021年3月31日現在、シルバー人材センターの団体数は1,303団体、会員数は約70万人)。

さらに、2016年の高年齢者雇用安定法の改正により、シルバー人材センターにおける業務について、都道府県知事が市町村ごとに指定する業種等においては、派遣・職業紹介に限り、週40時間までの就業が可能となりました(2021年3月31日現在712地域にて実施)。今後も引き続き本制度の積極的な活用に向け、都道府県と連携して対応していきます。

5.若年者雇用の現状
若者の雇用情勢については、15~24歳の完全失業率が、2020(令和2)年には4.6% (前年比0.8ポイント上昇)、25~34歳については、3.9%(前年比0.7ポイント上昇)と、 前年よりも上昇しています。また、2020年3月卒業者の就職率を見ると、大卒者については98.0%(前年比0.4ポイント上昇、2020年4月1日現在)、高卒者については98.1%(前年比0.1ポイント低下、 2020年3月末現在)と、いずれも高い水準となっているものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、新卒者等の就職が厳しい状況となっていることから、新卒者等に対し、より一層きめ細かい就職支援に取り組む必要があります。

このため、学校等と密に連携しながら、新卒者等の求人確保や、採用意欲のある企業と 学生・生徒とのマッチングなどにより、新卒者等の就職支援を更に強化する必要があります。あわせて、既卒者及び中途退学者についても、新卒枠での応募機会の拡大及び採用・定着の促進に向けて取り組む必要があります。フリーター数は、2020年には136万人となり、前年(2019(令和元)年138万人) と比べて2万人減少となっています。また、ニート*1数については2020年には69万人となり、前年(2019年56万人)と比べて13万人増加となっています。
*1  15~34歳の非労働力人口のうち、通常、家事を行っていない者
(つづく)平林

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