実践編・応用編

総合的な若者雇用対策の推進 | テクノファ

投稿日:2022年4月23日 更新日:

新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな変化を呼び起こした。キャリアコンサルタントとしてクライアントを支援する立場でこの新型コロナがどのような状況を作り出したのか、今何が起きているのか、これからどのような世界が待っているのか、知っておく必要があります。

6.総合的かつ体系的な若者雇用対策の推進
青少年の雇用の促進等を図り、その能力を有効に発揮できる環境を整備するため、青少年の適職の選択並びに職業能力の開発及び向上に関する措置等を総合的に講ずる「青少年の雇用の促進等に関する法律(昭和45年法律第98号。若者雇用促進法)」が、2015(平成27)年9月18日に公布されました。
同法においては、
①若者の適職選択に資するよう、職場情報を提供する仕組みの創設、
②一定の労働関係法令違反の求人者について、ハローワークでの新卒求人の不受理(職業安定法の改正に伴い、2020(令和

2)年3月30日から新卒求人に限らず全ての求人について求人不受理の取扱が可能)、
③若者の雇用管理が優良な中小企業についての認定制度の創設などの内容が盛り込まれ、
その取組みに係る周知等を実施しています。また、同法第 7条に基づく指針に、採用内定取消しの防止や学校等の卒業者が少なくとも3年間は応募できるようにすること等の事業主等が講ずべき措置について、周知徹底に取り組んでいます。

また、2015年の改正において、法施行後5年を目処に施行の状況等を勘案しつつ検討 を加え、その結果に基づく必要な措置を講ずることとされていることから、「今後の若年者雇用に関する研究会」において検討を行い、2021年(令和3年)3月29日に2021年 度から2025(令和7)年度までの青少年の雇用対策に関する施策の基本となるべき事項について示した青少年雇用対策基本方針を新たに定められました。また、若者雇用促進法第7条に基づく指針について、募集者の個人情報管理を追加するなどの改正を2021年度に予定しています。

7.就職活動から職場で活躍するまでの総合的なサポート
新卒者・卒業後おおむね3年以内の既卒者専門の「新卒応援ハローワーク」(2021(令和3)年4月1日現在、56か所)で、エントリーシートや履歴書などの作成相談や、就職支援セミナー・面接会を実施しています。2020(令和2)年度は延べ約32.4万人が利用し、 約8.0万人が就職決定しました。また、学生や既卒者の支援を専門に行う相談員である就職支援ナビゲーターを新卒応援ハローワークやハローワークの学生用相談窓口に配置し、担当者制を基本とした個別相談、求人の紹介等就職まで一貫した支援を行うとともに、大学等 との連携による学校への出張相談や、就職後の職場定着のための支援等を実施しています。

8.若者と中小企業とのマッチングの強化
若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業について、 若者雇用促進法に基づき厚生労働大臣が「ユースエール認定企業」として認定する制度を 2015(平成27)年10月に創設した。認定企業の情報発信を後押しすること等により、 若者の雇用管理が優良な中小企業と若者のマッチングを強化し、若者の適職選択と企業が求める人材の円滑な採用を支援しています。

9.キャリア*2教育の推進
若者が、学校から社会・職業に円滑に移行できないなどの課題に直面しています。この問題は、社会全体を通じた構造的な問題があることが指摘されていますが、学校教育は若者の社会的・職業的自立や、生涯にわたるキャリア形成を支援するための重要な役割を果たすものであり、キャリア教育の重要性が増しています。2011(平成23)年 1月31日には中央教育審議会において「今後の学校における キャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」が取りまとめられました。答申では幼児期の教育から高等教育までの体系的なキャリア教育の推進や職業教育の充実が提示されたが、その中で、キャリア・カウンセリングを行う専門人材の学校への配置、教職員のカウンセリングに関する知識やスキルの習得の重要性、学校・産業界・関係府省間の連携等についても指摘されています。

また、大学設置基準及び短期大学設置基準の改正(2010(平成22)年2月公布、 2011年4月施行)により全ての大学等において、社会的・職業的自立に関する指導(キャリアガイダンス)に取り組むための体制を整備することとされています。
*2 キャリアとは、一般に「経歴」、「経験」、「発展」さらには「関連した職務の連鎖」等と表現され、時間的持続性ないし継続性をもった概 念。「職業能力」は「キャリア」を積んだ結果として蓄積されていくもの

10.フリーターの正社員就職の促進
「わかいものハローワーク」(2021(令和3)年4月1日現在、25か所)等で、担当者制による個別相談支援、正社員就職に向けたセミナーやグループワーク等各種支援、就職後の定着支援を実施し、2020(令和2)年度は約9.8万人が就職しました。

11.ニート等の職業的自立支援の強化
ニート等の職業的自立を支援するためには、基本的な能力の開発にとどまらず、職業意識の啓発や社会適応支援を含む包括的な支援が必要であり、こうした支援は各人の置かれた状況に応じて個別的に行うことや、一度限りの支援にとどまらず、継続的に行うことが重要です。 このため、厚生労働省では、地方公共団体との協働によりNPO、保健・福祉機関等地域の若者支援機関からなるネットワークを構築・維持するとともに、その拠点となる地域若者サポートステーション(以下「サポステ」といいます。)を設置し、キャリアコンサルタント等による専門的な相談や各種プログラムの実施など、多様な就労支援メニューを提供する「地域若者サポートステーション事業」を2006(平成18)年度から実施しています。

なお、2020(令和2)年度からは、全てのサポステ(2021(令和3)年4月1日現在、 177か所)において、40歳代の無業者に対する相談体制を整備するとともに、これら無業者の把握、サポステへの誘導の手法の一環として、福祉機関等へのアウトリーチを実施しています。

12.キャリアコンサルティングの活用促進
(1)キャリアコンサルティング*3の概要
キャリアコンサルティングとは「労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと」(職業能力開発促進法第2条第5項)をいい、ハローワークなどの需給調整機関や、企業、学校などの多くの現場で実施されています。

人生100年時代を迎え職業人生の長期化や働き方の多様化、雇用慣行の変化などに加え、新型コロナウイルス感染症の影響により雇用の不透明さが増す中で、これまで以上に働く者自らが職業生活設計を行うなど主体的なキャリア形成への意識に高まりが見られます。キャリア形成支援の重要性や社会からの期待が一層高まる中で、キャリアコンサルティングは、キャリア形成に関する労働市場のインフラとしての役割も担っています。
*3 キャリアコンサルティングの詳細を紹介したホームページ 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/career_consulting.html

(2)キャリアコンサルタント国家資格の創設、キャリア形成支援の更なる推進
キャリアコンサルティングを担うキャリアコンサルタントについては、2016(平成 28)年4月、職業選択や職業能力開発に関する相談・助言を行う専門家としてキャリアコンサルタント登録制度を法定化し、キャリアコンサルタントを登録制の名称独占資格として位置づけるとともに、守秘義務、信用失墜行為の禁止義務を課しました。また、5年ごとの更新に当たって必要な講習の受講を義務づけるなどにより資質の確保を図っています。

また、企業におけるキャリアコンサルティングの実施を推進するため、企業内で定期的 にキャリアコンサルティングを受ける仕組みである「セルフ・キャリアドック」の普及促進や、グッドキャリア企業アワードの実施などを行っています。このほか、キャリアコンサルティングの有用性を広め、キャリアコンサルタントの質量両面での充実を図るため、2008(平成20)年12月よりキャリアコンサルティング職種技能検定試験を実施しています。当該検定試験に合格したキャリアコンサルティング技能士 (1級・2級)は、その能力の水準がキャリアコンサルタントより上位の資格として位置づけられています。
これらの取組みにより、2020(令和2)年度末で約8万9千人のキャリアコンサルタント有資格者(延べ)が養成されています。

13.ジョブ・カード制度の推進
2008(平成20)年度創設したジョブ・カード制度については、「新ジョブ・カード制度推進計画」を策定し、2015(平成27)年10月から、個人のキャリアアップや、多様な人材の円滑な就職等を促進するために、「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び 「職業能力証明」の機能を担うツールとして、キャリアコンサルティング等の個人への相談支援のもと、求職活動、職業能力開発などの各場面において活用するよう、普及促進を行っています。

(ジョブ・カード制度)
2020年(令和2年)4月より、キャリア形成サポートセンターを設置(ジョブ・カー ドセンターを再編整備)し、労働者の主体的なキャリア形成を支援するため、労働者等に対するジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティング機会の提供や、セルフ・キャリアドックの導入等を支援しています。

14.就職氷河期世代に対する集中支援
いわゆる就職氷河期世代は、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代であり、現在も、不本意ながら不安定な仕事に就いています。無職の状態にある、社会参加に向けた支援を必要としているなど、様々な課題に直面している。
2019(令和元)年6月に取りまとめられた「就職氷河期世代支援プログラム」(2019年6 月21日閣議決定)では、就職氷河期世代の抱える固有の課題や今後の人材ニーズを踏まえつつ、個々人の状況に応じた支援により、就職氷河期世代の活躍の場を更に広げられるよう、2020(令和2)年度からの3年間で集中的に取り組むという政府全体の方針が示されました。

また、2019年12月23日、就職氷河期世代支援の推進に関する関係府省会議において、「就職氷河期世代支援プログラム」に盛り込まれた各施策を具体化した「就職氷河期世代 支援に関する行動計画2019」を取りまとめ、行動計画に基づき、各種支援を推進していくこととしています。

15.就職氷河期世代の活躍促進に向けた取組み
(1)地域ごとのプラットフォーム等を活用した社会気運の醸成
地域の関係機関を構成員とする地域レベルのプラットフォームを設置し、福祉と就労はじめ各界一体となって、地域における就職氷河期世代の活躍促進の社会的気運を醸成することとしています。また、就職氷河期世代やその家族、関係者に対して、「安定就職や社会参加の途を社会全体で用意、応援しています。」ということを効果的に伝えるため、関係省庁や経済団体との連携、地域ごとのプラットフォームを活用する等のあらゆるルートを通じた積極的な広報を実施しています。

(2)不安定な就労状態にある方等の安定就職に向けた支援
現在不安定な仕事に就いており、正規雇用化を目指す就職氷河期世代等を支援するため、全国の主要なハローワークに「就職氷河期世代専門窓口」を設置し、キャリコンサルティング、生活設計面の相談、求人開拓等の各専門担当者のチーム制による伴走型支援を実施しています。
さらに、企業に対する就職氷河期世代の正社員雇用化の働きかけとして、ハローワーク等の紹介により、正社員経験が無い方や正社員経験が少ない方等を、正社員として雇い入れる事業主に対する「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」の支給等を実施しています。

(3)長期にわたり無業の状態にある方等の就職実現に向けた基盤整備
就職氷河期世代で長期にわたり無業の状態にある方が直面する、就職、職業的自立の実現に向けた困難さや複合的な課題を踏まえ、これまでニート等の自立支援拠点として実績を上げてきたサポステの専門的知見を就職氷河期世代の方々にも積極的に活用して、福祉施策とのワンストップ型・アウトリーチ型の組合せにより支援対象者を把握し、働きかけ、支援する体制を全国的に整備しました。また、ハローワーク就職支援・訓練プログラム、 企業との連携強化を図ることで、就職・正社員化等の職業的自立につながる働き方の実現を推進しています。

(4)社会参加に向けた支援を必要とする方等への丁寧な支援
社会とのつながりをつくり、社会参加に向けたより丁寧な支援を必要とする方を支援するため、アウトリーチなど自立相談支援機関における機能を強化するとともに、ひきこもりに特化した相談窓口として都道府県・指定都市に設置されている「ひきこもり地域支援センター」に医療、法律等の多職種から構成されるチームを設置し、市町村等のバックアップ機能を強化しています。また、ひきこもり状態にある方が安心して過ごせる居場所づくりや、その家族に向けた相談会や講習会等の実施等、それぞれの方のニーズに応じた、きめ細かな支援を行います。
(つづく)平林

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