実践編・応用編

キャリアコンサルタント実践の要領 161 | テクノファ

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このコーナーは、活躍している「キャリアコンサルタント」からの近況や情報などを発信いたします。今回はキャリアコンサルタントのT.Fさんです。

(高齢者の支援について)
今回は高齢者の就労支援について気がついたことを書かせて頂きます。さて、高齢者って何歳からでしょう。健康保険は65才から前期高齢者に、公的な機関も65才となっているようですので、その他いろいろな定義もあるかと思いますが一応65歳ということで話を進めます。

数年前に「下流老人」という新書が出版され「下流・・・」が少し流行りました。下流に陥るのは特殊な状況にある人ばかりではなく、誰でも可能性があることを示唆した内容で、これからの生活に一抹の不安を感じられた人もいたのではないでしょうか。私どもの支援を頼りに来られる方もそんな人が多く来られます。”多く”というのは困っていない人も来られるからなんです。

話は変わりますが、年金について少し触れてみたいと思います。高齢に近づいて先ず直面することは失業です。60歳定年で継続雇用され65才まで多少なりとも収入があればいいのですが、定年後離職してしまうと生活は退職金を含めた貯金からの取り崩しが一般的ではないでしょうか。

現在の年金制度は、企業に属している人は厚生年金に、自営業や企業に属していても短時間の人は国民年金に、その他公的機関に属している人は共済年金に加入します。さて、国民年金っていくら掛けていくら貰えるのでしょう?

現在は保険料月額16,260円で40年掛けて年額780,100円、月額で65,000円貰えます。そう!これだけです。厚生年金は加入期間と貰う給料の金額で受給額が決まるのですが平均では14万5千円程度ということです。

既に年金を受給されている方もいらっしゃると思いますが、多くの人はこれだけでは生活はできませんので、貯蓄を取り崩しながらの生活になります。以前、このコラムにも書きましたが、生活保護の受給額は男性の単身ですと住居費込みで13万円数千円が支給されます。

お気づきの通り、国民年金だけでは生活保護費の半分にしかならず、平均の厚生年金でも大差はなくカツカツの生活とならざるを得ないんです。そして大病にかかり大きな手術を繰り返したりするとどうなるか?これが下流に流されてしまう大きな要因という訳です。

私達が支援する人達をみますと、ここに至るのには幾つか流れがあるようです。一つは無年金か小額の年金で、貯金が底を尽いて生活が立ち行かなくなってしまったケース。年金が10万円~15万円程度で、もう5万円程度仕事をして生活に余裕を持たせたいと思われている人。そして、年金が20万円前後あり、貯金も相当有り、当面の生活には困らないが、何か仕事をして社会と関わりを持ちたい、健康のために働きたいと言う人達の大きく3通りのパターンがあるようです。

意欲をみますとそれぞれに就労意欲は高く直ぐにでも仕事をしたいと話されるのですが、実際に支援をすると意外なことに気付かされます。「それではお仕事について・・・」と、いざ支援をしていきますと、話が進展しない人が少なくありません。

その共通する条件のキーワードは”手近”で”無理なく””経験を活かして”働きたいということのようです。通勤は30分以内で電車バスはイヤ!、週3日で昼頃から3~4時間程度!、一人で仕事ができて人間関係に気を使わず、責任の無い軽作業。こっちが教えて欲しいくらいです。この傾向は高齢になればなるほど強くなっていくようです。

多くの方は、就労を目標にしても身体の衰えや根気が続かないことで仕事を充分遂行できないのではといった不安を持たれ、できる範囲をさらに狭めているように思われます。しかし、支援は「そうですねぇ」でエンドにはならないわけで、そこから「私にもまだできるかも」と思われるよう支援をしていかねば事は始まらないのです。

そんな時、高齢者理解と支援者の姿勢が重要となります。新しく経験したことのない仕事は誰でも不安です。中には軽度の認知症を隠している方もいます。高齢になれば不安は更に増すのは想像に難くないでしょう。そんな高齢者を支援するためには人生の先輩として接しながら、経験されていた仕事を尊重しながら、そんな経験から新しいこともできることを勇気付ける、そんな接し方が良いようです。

これからの労働環境は間違いなく高齢者を必要とします。しかし、高齢者の皆さんが積極的な活動をされることは難しいでしょう。これから益々我々の支援が生きてくるのではと思っています。そして、やがて私も高齢者に。
(つづく)K.I

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